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大丈夫!

誤字報告ありがとうございます。

「シーバス、二人を別室へ」

「はっ、かしこまりました奥様」


女性の言葉に了解の意を示す執事の男。シーバスって言うのか…お酒みたいな名前だな…。と思ったりしていると、執事の男シーバスがスゥっと静かに近付いてきた。

速い…のとは違う、多分体術的な何か。まあ、この世界ならソレがスキル化されていたとしても驚きもしないが…。


まあ、ソレは置いておいて…女性の後ろにいた男が、距離はほんの数メートル程度とはいえ一瞬で近付いてきたのである。

俺は視えていたし驚きもしないが、セイ兄は別である。

そのセイ兄も驚いてはいるものの、恐らく前にも経験があるのだろう、声は出さずにいた。


「…さ、坊っちゃま方…こちらへ」

「………………」


シーバスは俺たちに声を掛ける。ソレは低く静かな声だったが、どこか威圧を含んだ声。

セイ兄はソレに沈黙で返す。が…ソレは反抗ではなく怯え…。


「………………」


シーバスはセイ兄を睨むでもなく、しかし威圧的な視線を送る。

俺のセイ兄にガン飛ばすとは、良い度胸だこの野郎っ!お前も俺のぶっ飛ばすリストに入れておくからなっ!


「シーバス…僕が行くからユーリは…」

「セイリウス様、失礼します」


セイ兄が言い、シーバスが返す。そして黒の執事服を纏った男が、セイ兄の腕を取ろうとする。

はい!もうコイツぶっ飛ばします!決定事項ですっ!

俺が心の中でそう思い、ギュッと拳を握った。


『ガチャリ…ドタタ…』

「おおっ!セイリウス、久しぶりだなっ!」

「久しぶりね、セイリウス。元気だったかしら?」

「…え?」


「君がユーリウスか。うん、セイリウスに似ているな」

「貴方がユーリウスね!やだ、カワイイ!」

『ギュッ』

「…わぷっ!?」


突然、応接室隣のドアが開き、四人の男女が出てくる。

二人はセイ兄へ。もう二人は俺へ。

俺はそのうちの一人の女性にギュッと抱きしめられ、視界は真っ暗になっていた。


まあ、正直なところ隣に四人がいるのは知っていた。『マップ』もあるし『気配探知』も持っているのだから、察知するのは容易いものである。

しかし、このタイミングで…さらに抱きつかれるのは、ちょっと想定外。

あの…ちょっと息がしにくいんですが…。良いモノをお持ちで…とか思ってないったら思ってない。


「母さん、先ずは食事…でしょう?」

「そうだな、二人はまだ着いたばっかりだ」

「お義母様…」

「義母さん…」


『マップ』でも敵意が無いのは分かっていたけれど、この四人…初めて会うが俺の兄姉だろう。…はどうやら味方のようである。

何故なら、発言もそうだが、何より現在進行形で姉に抱かれている俺の心は、気持ちは、とても暖かい。


心だよ!気持ちだよ!

厭らしくなどないっ!

ホントだよっ!


だから俺はこう言うのだ…。


「ん~~~っ………ぷはっ!大丈夫…コイツ、ぶっ飛ばすから!」


お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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[一言] シーバス……スズキか
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