…じゃない…アレは…
宰相らしきオッサンのゴーサインも出てるっぽいので、サクサク片付けようかっ!と俺はペロリと上唇を舐める。
さて…どう倒してやろうか。ここは一発、大技をかまして、周りの奴らをビビらせてやろう…と思い、決め技を考える。
タイガードライバーが良いか…?タイガースープレックスが良いか…?それともエメラルドフロージョンが良いか…?
前々世…日本人で学生だった頃に好きだったレスラーの技を頭に浮かべ、どれにしようか悩む。
「………の………で…」
エルボー三連打からのローリングエルボーも捨てがたいが…などと考えていると、確か伯爵って言ってたか?…伯爵のオッサンが何か言い出した。
声が小さくてほとんど聞きとれないが…。
「き…貴様の………子供に…男爵ご……の子弟………で……………で、………に…」
………何だ?何を言っている?
「………………しだ」
様子が………それに…
「それにし……………………子だ…」
この魔力の『質』って確か…
「いや…………に任せ………だったか…」
シーバス………警戒しておけ。特に周りに被害が出ないようにな…。
「(かしこまりました…)」
こいつは…
「おいっ!そいつの周りにいるオッサンたちは離れろっ!様子がおかしいっ!近衛はすぐに防御出来るように準備っ!!」
「………何だ、小僧。どうやら貴様は気付いているようだな」
アレは伯爵じゃない…アレは…
「ハッハァ!良いタイミングで負の感情を大量に出してくれたぜっ!コイツはぁ!」
アレは『魔人』。
悪魔にその身体と魂を呑み込まれた者…。
ブワァッと紫色の魔力が伯爵から吹き出す。この状態は…
「クックックッ…コイツはもう完全に取り込んだ。この状態なら全ての力が使えるな…」
グッ、グッ、と両の拳を握り、感覚を確めている。アイツの言った通り、完全に取り込まれた…というよりは呑み込まれたのだろう。
チッ…あの伯爵のオッサンを助け………………られなかったけど、それはまあ別にいいか。それの方が俺の被害は減りそうだし…。
「(ユーリウス様………それはさすがにどうかと…)」
黙らっしゃい…。
それよりシーバスは国王と宰相?のオッサンを頼…
「『魔人』とは久しいな…」
コッ、コッ、と玉座から立ち上がり、数段下がっている俺たちのところに降りてくる国王。その体内では魔力を練り上げているのが分かる。
「陛下っ!?」
「「「陛下っ!!!?」」」
「「「お下がりくださいっ!!!」」」
「『魔人』が相手ではお前たちでは無駄に命を散らすだけだ。ここは私に………いや、俺に任せてもらおうか…」
国王にしてはまだ大分若い…セツナ=フォン=エクシアがそう言い放ち、練り上げていた魔力を解放…赤い魔力を身体に纏い、その手に持っていた王杖を剣へと変化させていた。
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