登城!
カラカラカラ…ガタガタと宿から城へと向かう馬車。俺が登城するのに城側で用意してくれた立派な馬車だ。
外観の装飾も凝っているし、内装も良い物が使われているのが分かる。…分かるんだけれど。
それでもやはり揺れると尻が痛い。
たまに防御力を無視して入るダメージはどういうことなんだろうか?アイアンクローとかうめぼしとかハリセンとか…。
城までの距離は大したことはないが、痛いのは嫌なので、俺はソッと『浮遊』の魔法を使い、尻を浮かせた。
外観や内装だけ凝ってもダメなんだよなあ、乗る人のことを第一に考えないと…などともっともなことを思いつつ、自分だけ魔法を使っている俺が言うな…という感じである。
それに…内装も凝ってはいるが、家の専用機とは比べるまでもない。乗り心地も含めて家の専用機の圧勝である。
なんせ俺が一から造りあげて、これでもかっ!と手をいれたワンオフの機体だからな。
まあ、サスやタイヤの技術なんかはグラム商会に卸したし、その内広まるだろうけど、空間拡張なんかは教えてないしな。
その辺は錬金術うんぬんよりは、もう使用する素材関係が大変だろうから。
俺は『無限収納』内で余裕でした。
馬車は貴族区を抜け城への門を潜る。門を抜けても城まではちょっと距離があるが…。
へえ…城へ続く道はアスファルトみたいだな。馬車の揺れが随分減った。
あのアスファルトみたなのは魔法なのか何なのか…後で教えてほしいものである。
道の両脇は綺麗に剪定されている植物が並ぶ。桜…とかだったら春は良い景色になりそうだな…。
残念ながら背の低い植物なので、ソレは無いだろうけど。
そして広がる芝生。
まさに緑の絨毯…という表現が正しいであろう手入れの行き届いている芝生と多数の色鮮やかな花たちが城壁内を彩っていた。
意外にも平和そうな様子しか見えない城壁内。
もう門を潜ったらすぐにでも貴族たちの派閥争いやなんやらでギスギスしているかも…と思っていたのだが、とりあえずはそんなことは無いようだ。
ま、城内…だと、まだ分からないけれどね。
そして城の入口に馬車は到着する。
はああ…やっぱり間近で見るとデカイね、王城。ヴァーチェの領主邸もデカイと思ったけれど、比べもんにならないくらいデカイ。
俺とシーバスは馬車から降り、入口の前に立つと…
「開門っ!!」
若い執事さんの声に合わせ、ギギギ…と重い音を響かせて入口の扉が開く。
俺とシーバスは開いた扉から出てきた兵士二人にボディチェックを受けてから、城内へと入った。
おい、シーバス。
隠し持ってるナイフとフォークもちゃんと出しとけ。
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