あながち間違いではない…
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ギルドマスターの部屋に大きな音を響かせたあと、俺とシーバスはミリアリーゼさんに促され、部屋の一角にあるソファーへと座る。ミリアリーゼさんは対面…ではなく上座にある一人描けのソファーへ。…ちっ、残念。
「それでミリアリーゼさん…お返事は」「ユーリウス様違います」「………………」
ヒリヒリと顔に痛みが残りながらも、ミリアリーゼさんに話し掛けたが、早々にシーバスにインターセプトされる。…ちっ、シーバスめ。
ジト目をシーバスに向けるが、シーバスもジト目で俺を見ていたので、ソッと目を逸らす。
べ、別に負けたワケじゃないんだからね!と心の中でツンデレっておく。
………では本題。
「それでミリアリーゼさん…」
「ウフフ…何かしら?」
「………………」
「…ユーリウス様」
「っ!?あぁ…すまん」
アイアリーゼさんに似た容貌での笑みとちょっと冷たそうな視線に、危うくまた求婚するところだった。さすが冒険者ギルドのギルドマスター…油断出来ないぜ…。
「えぇっと…ごほん。俺に何か用がある…だからアイアリーゼさんを経由してシーバスに俺をここに訪れるように仕向けた。………で合ってますかね?」
「ウフフ…正解。よく分かったわね」
「それはまあ…手紙まで用意されていれば気付きます。シーバスもあからさまに誘導し過ぎだ」
「失礼しました…」
「…で、ミリアリーゼさんの用とは?クエスト…とかなら今は受けられませんよ?それに俺はまだ仮の冒険者ですし…」
思わず求婚してしまったが、俺は今、王命により王都に向かっている最中だ。その辺りを理由にすれば諦めてくれるだろう…。たとえすぐに終わる依頼だったとしても面倒くさいのである。
「さっき言ったでしょう?姉から聞いているって…」
アイアリーゼさんから一体何を…?
「実は…」
………実は?何故そこで頬を赤らめるんだろうか…ま、まままま、まさか…アイアリーゼさんから俺と結婚す「違いますよ」………シーバス、俺のモノローグに入ってくるんじゃないよ…。台無しじゃないか…俺のドキドキを返せ。
「実は…この部屋にもお風呂を作って欲しくて…お願いできないかしら?」
「………………」
………O・HU・RO・だったかぁ…。そうですかそうですかそうですよねぇ…。
心の中の俺はガックリと膝を折って四つん這いである。
くっ…アイアリーゼさんといい、ミリアリーゼさんも、俺のことを便利な魔法大工さんみたいな奴とか思ってない?「あながち間違いではないかと…」うるさいよ、シーバス。入ってくるんじゃないっ!
「あっ…ちゃんとお礼はするわよ。………チュ、ねっ」
人差し指を唇に付け、ウインクをしながら俺に視線を向ける。もちろん俺は…
「どの辺りに作りましょうか」
即答どころか作る気満々である。
…断る?そんな選択肢は何処にも存在しない。
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