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拳を握って!

「ごめんなさいねユーリウス君。まさか、こんなことになるとは…」


リリアーナ王女からの謝罪。王女という立場でありながら下級貴族五男の俺に、まだ周りに野次馬たちがいる中、ペコリと頭を下げる。

王女の立場上この光景は良くないはずなのだが、取り巻き連中も王女を止めず、自分たちも頭を下げている辺り、良い関係を築けているのではないだろうか………絶賛気絶中の自称騎士のコイツを除いて。


「頭を上げてください王女殿下。見ている限り、この自称騎士の奴が暴走しただけでしょう?」

『ふみっ』


と言いつつ、自称騎士の後頭部を踏みつけながら言う。

王女が「あ、あの…踏むのは止めてあげて…」とか言いながら、少し焦る姿は可愛いのだが「ソレは無理です」と止める意思が無いことを伝えると「そ、そう…」とちょっと引かれた。…解せぬ。


まあ、ソレは置いておいて…


王女が止めなかった…というよりは止められなかったのはおそらくその穏やかな性格もあるのだろうが、取り巻きたちも止められなかったということは…


「どっかの上級貴族の子弟…ですか?」


コクリと頷く王女。

どうやら自称騎士自身は伯爵家の子弟らしいのだが公爵家に連なる血筋で、王女の婚約者候補でもあるらしい。

今回のようなことも多々起こっており、王女が止めてもあまり効果がなく、逆らえる者も少ないため、どんどんと増長していったそうだ。

まとめるとアレだ。家の力をちらつかせつつ、王女に俺ツエー、俺カッケーを見せてアピールするかまってちゃん&困ったちゃんだったワケだ。


うわ…なにソレ面倒くさ…。


「どうしよう…そんな面倒なアホだとは思わなかった。ちょっと記憶が無くなるまで殴って良いですかね?」


「止めてあげて…」


「チッ…ダメか…」


「舌打ちされました…」と取り巻きの方を向きながら言う涙目の王女は可愛いのだが「王女、違いますっ、王女にしたのではありませんっ」「本当…?」「間違いないですっ」と取り巻きの方々はナイスフォロー。


さて…どうするかな?と自称騎士の後頭部をフミフミしながら俺は考える。「あ、あの…そろそろ踏むのは止めてあげて…」と聞こえたような気がするが無視。

「今度は無視されました…」とショボーンとする王女が可愛い。「王女、頑張ってっ」とか応援する声が聞こえる。「が…頑張りますっ!」とギュッと胸の前で両拳を握る王女の姿は可愛い。


おっと…思考が「王女可愛い」に変わってしまっていたな。さすが第三…とはいえ王女、王の血を引いているだけある。…違うか、違うな。


ソレはソレとして、この自称騎士の処遇をどうしようかな…。俺は未だコイツの頭をフミフミしながら考える…。



お読みいただき、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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