一気に!
「黙れ、ガキ…。潰すぞ…」
満十二歳を過ぎた俺は能力値の制限も八割が解放され、今現在のレベルも上がり、能力値だけでいえば既に前世の勇者だった頃を越えている。
いや…スキルレベルを別にしても、スキル数や統合進化など、確実に強くなっているのではないだろうか…。
だって今なら、あの時の魔王なら右エルボー三発、左エルボー一発からのローリングエルボーで倒せそうだもの。
なので…
『ダダダ…ガラガラガラ、ピシャーンッ!』
「兄貴っ………なっ!?」
「「先輩っ………なっ!?」」
どこかで見たことあるような三人組が駆け込んできた…が、教室内の光景を見て驚いている。
何故………そんな体勢になっているんだっ!?…と。
俺は右足を相手の左足に絡め、左足は相手の首に掛ける。左手で相手の右腕を抱えれば『卍固め』の完成だ。
「ぃ痛だだだだっ………は、離せっ、この野郎っ!」
「あ?うるせぇガキだな…」
『グリグリグリ』
悪態をつくので、右肘で野郎の右脇腹を強目にグリグリと追撃。
「ぃ痛だだだだっ!?」
その光景に駆け込んできた三人組は呆然としている。
それもそうだろう、自分たちはビンタだけで倒され、頼った上級生は一回り小さい俺に、ワケのわからない組技に悲鳴をあげているのだから…。
「ゼハールト君…ワケのわからないうちに…」
「ワケのわからない組技…」
「何かよくわからないが凄えな…」
「上級生相手でも容赦ねえな…」
ここに残っていたクラスメイトたちは個々に何かを口走っているようだ。そして、そのどれかを聞き取ったのだろう…
「や、やっぱりテメエがゼハールトかっ!」
「うるせぇ…」
『グリグリ、ゆさゆさ』
「ぃ痛だだだだっ!!」
俺は右肘グリグリに身体を上下に揺さぶり、卍固めの威力を最大限に強める。
『グリグリ、ゆさゆさ』
「ぃ痛だだだだっ!!」
『グリグリ、ゆさゆさ』
「ぐああああっ!!」
卍固めはオとす類いの技じゃないからな、このまま続けても、なかなか終わらないだろう。なら…
「ほら…どうする?このまま俺が本気で力をいれたら、お前の肩は外れるぞ折れるぞ?首も筋が切れるかもな…いや、下手したら折れるかもしれないな…」
「なっ!?」
俺は周りには聞こえないように言う。上級生は今、自分が痛んでいる場所を考えたのか、少し静かになった。
よし、追撃だ。
「俺はお前に何の情も無いからな…。なんならこのまま、お前の脇腹に本気で右肘を打ち込んでやろうか?」
「うぐっ!?」
さらに追撃。
「何本くらい肋骨折れるかなぁ、あっ、内臓に傷がつくくらいはもちろん覚悟してきてるよな?俺に喧嘩売りに来てるんだから?」
「………………」
「降伏しろ…しなければ、さっき言ったやつ全部一気にやるからな…」
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