ユーリウスVSエリウス④
「ハア…ハア…喰らうがいい、我が異母弟を騙る『使徒』の偽物よ…我が最大最強の技をっ!!」
自身の剣に魔力を込め、突進するぞっ!と言わんばかりに構える我が異母兄エリウス。
「はぁぁあああっ!!」
枯渇寸前の残りの魔力を身体強化に回しているのだろう、裂帛の気合を見せる。
いや、あんた、さっき「うおおおぉぉぉっ!!」とか言って気合い入れてたじゃん…もう一回かよ。
………これも待たなきゃダメ?
気合いの叫びが止まる。身体強化が終わったのか魔力が失くなったのかは分からないが…『ギンッ』と俺に向ける視線を強める。
「『閃紅烈突』っ!!」
『ズドンッ!』
ルビィィッ!?
何で横文字にしたぁっ!?さっきのは横文字じゃなかったじゃんっ!?
………まさか、俺の油断を誘うため…か?
そんなしょうもないことを思っていながらも、異母兄の動きからは目を離さない。
爆発するような音を響かせながらの高速の突撃刺突技。
魔力を込められた剣は紅い光の帯を曳き、一直線に俺に迫る。
「これでぇっ!!終わりだあああぁぁっ!!」
しかし何なんだろうか、この異母兄の最終決戦感は…?何故、異母弟に対してそんなに殺意が高いのか…。あんた、最初は痛い目に~ぐらいだったよね?
まあ、別にいいけどさ…。
いや…ちょっと待てよ。前世の対魔王との最終決戦の時の俺って…もしかしてあんな感じだった…?
必死過ぎてその辺りはあまり覚えていないし、その後すぐに死んじゃったけど…。
い、いいい、いかん。あんな感じだったなら死ぬほど恥ずかしいぞっ!?
ぐぬぬぬぬぬ…。
そんな高速で迫る刺突に俺は前世のことを考えて、内心悶えていた。というか、そんな思考が可能なほど遅いんだよなぁ…。
ま、そろそろ、終わらそうか…。
「おおおぉぉおっ!!」
紅の光が俺の眼前にまで迫る…だがそこまでだ。
『パシッ』
俺は真剣白羽取りの要領でソレを両手のひらで挟み止める。
「なっ!?」
「そんなっ!?」
驚いたのは異母兄だけでなく異母姉もだ。
それは、剣を止めただけでなく、突進技を受けているのに一歩も下がっていないから、ということもあるだろう。
異母兄の半分…は言い過ぎだが、俺の体格は異母兄と比べたら、まだそれほど小さいのだ。
だってまだ十歳になってもいないのだから…。
だから…
だからとりあえず、うちの家族は「「「おおおぉぉっ…」」」って言いながら拍手するのは止めてあげてくれないかな?
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