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何かに流されるまま、どこかも分からない場所を揺蕩う。意識が覚束無い。
自分という存在すら曖昧で、ただ自分と同じように周りにも漂うモノがある。
夢よりもずっとハッキリしない時間が続く。
何をするでもなく、何が出来るわけでもなく。
いつまでそうしていたんだろうか。
ゆっくりとではあるが、時間が経てば経つほど自分という存在が、意識が薄れていく。
そもそもここに、時間などあるのか。
そんな時、何か光が見えた。
正確には何も視ることなどできないが、ただそんな感覚がしたのだ。
その光は、自分を呼んでいる。
何もかもが気薄なこの状況で、それだけが明瞭に。その光は、"自分"を喚んでいる。
意識を向ければ、風に運ばれるように流れるだけだったモノが、その光へ向かって加速度的に進んでいるのがわかった。
そして、完全にその光に包まれた時。
"俺"の意識は完全に途絶えた。