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短編集

SFと聞いて思い浮かべるのは、こんなファンタジーっぽい話だったりするので、そんな妄想を書いてみた

作者: よぎそーと
掲載日:2020/09/08

「あそこだ」

 操縦席から声がかかる。

 宇宙冒険者用の乗り合い宇宙船の荷台兼客室にいた者達は、それを見て色めき立つ。

「あれがクエストの目的地か」

 そう言って多くの冒険者達が固唾をのんだ。



 人類が宇宙に進出して幾星霜。

 様々な神秘にあふれた宇宙では、人類の想像を超える出来事が待っていた。

 その一つが、宇宙モンスター。

 星から星を渡る生物である。

 この地球の常識からかけ離れた者達は、人類の宇宙進出を大きく妨げていた。

 当然それらに対抗するため軍などが派遣されてきた。

 しかし、それだけでは手が足りなくなった。

 そこで登場したのが宇宙冒険者。

 宇宙を駆け巡って宇宙モンスターと戦う者達だ。

 そんな宇宙冒険者の新人達が。今一つの小惑星に降り立とうとしている。



 そこは資源採掘のために使われていた場所だった。

 その役目を終えて、今では廃棄されている。

 しかし、迷路のようにくりぬかれたその内部は、宇宙を渡るモンスターの巣にされる事がある。

 今も小型の宇宙モンスターがそこにやってきてるという。

 それならば穴を塞ぐなり、小惑星を破壊するか面倒にならない場所まで移動させるべきなのだろう。

 しかし、入り口を塞いだ程度ならば宇宙モンスターがこじ開けてしまう。

 小惑星そのもの破壊、あるいは移動は手間と金がかかってしまう。

 まだしも、宇宙冒険者による定期的な駆除の方が安上がりだ。

 根本的な解決にならないのは明白だが、先立つものがない貧乏地方行政の悲しさである。

 かくて今日も、宇宙冒険者達がこの小惑星にやってくる。



 だが、それならそれで利用しがいがあるのも確かだった。

 内部構造がはっきりと分かっていて、なおかつ中にいるのはたいてい弱い宇宙モンスターくらい。

 新人の訓練を兼ねて仕事をさせるには適していた。

 実際、宇宙冒険者に仕事を斡旋している冒険者ネットワークは、こういった場所をいくつかおさえている。

 むろん、時がくれば徹底的な処分をすることにはなっている。

 だが、その時が来るまではかのうな限り利用しようというのがネットワークの意向だった。

 また、地方行政だけでなく、銀河連邦にもそういった思惑があるという。



 そんな妥協と打算が多少は絡んだ小惑星。

 降り立つのは当然ながら新人冒険者達になる。

 様々な理由で宇宙冒険者となった彼らは、初の仕事に臨んでいこうとしていた。



「それじゃ、行くぞ」

 緊張気味の声が宇宙服の通信機で伝わっていく。

 これが初めての仕事。

 しかも初心者達のリーダーという役目なのでそれもしょうがないだろう。

 一応、研修などは受けている。

 仮想体験装置によりやり方もある程度訓練もしてきた。

 だが、実際にモンスターとのやりとりがあるとなると、どうしても緊張と恐れを抱く。

 それは彼と一緒にやってきた者達も同じだ。



 ここにいるのはほとんどが新人だ。

 宇宙モンスターと戦った経験のある者などほとんどいない。

 辺境地帯ならば、彷徨いこんでくる宇宙モンスターを見る事はあるだろうが。

 それでも、明確に駆除や排除を目的とした戦闘行動の経験はない。

 緊張して当然だろう。



 そんな彼らの頼みの綱は、同行した先輩冒険者。

 新人の引率として、経験のある冒険者がつくのはなかば常識のようになっている。

 今回も例に漏れず、引率の先輩冒険者が新人達を見守っている。

 そうする事で新人の全滅率を下げ、生き残りを少しでも残す事が出来るようにしている。

 これにより経験者を増やし、安定した稼ぎを得ようというのがネットワーク側の意向である。

 新人を使い潰すよりは効果的で効率的だ。



 そんな新人達がいよいよ小惑星の坑道跡に入っていく。

 手には宇宙時代にはそぐわないような格闘戦用の武器。

 剣に槍に斧といった者が握られている。

 もちろん銃なども持ってはいるが、それらを持ってるのは後方にいる者達くらいだ。

 これは弾薬の消耗を押さえるためである。

 銃は効果的で強力な武器だが、使えば弾丸を消費してしまう。

 当然なのだが、それが経費を圧迫する。

 一発二発ならともかく、それなりの数の宇宙モンスターを倒すとなると、かなりの出費になってしまう。

 それを避けるために、可能ならば接近戦で戦うのが主流になりつつあった。

 たいして強くも無い宇宙モンスターが相手なら特に。

 そんなわけで、宇宙という場所において、時代に逆行したような戦闘方法がとられるようになっている。



 そんな彼らの先を、斥候役が進んでいく。

 先んじて内部に入り、様子をうかがっていく。

 それにより情報を手に入れ、作戦を立てやすくする。

 手にした探知機によって内部を調べていく彼は、慎重に、しかし迅速に中に進み、様子をうかがっていく。

 その情報は後方にいる者達に即座に伝えられていく。

 こういう時に無人の探査機を突入させる事が出来ればいいのだが、それもまた金がかかる。

 なので、新人が扱うのは困難だった。

 いずれは手に入れたいとは誰もが考えているが。



 そうして内部を調べ、状況を把握していく。

 やはり坑道跡の中にはゴブリンが巣くっていた。

 子供程度の大きさを持つ人型の宇宙生物。

 いや、宇宙怪物というべきか。

 能力は低いが数を揃えて襲ってくるやっかいな連中である。

 それらがどのように分布してるか確かめたところで、新人冒険者達は坑道を開始していく。


 出来る事なら各個撃破。

 少人数で固まってるところを確実に潰していく。

 なんだかんだでそれなりの数がいるので、これが一番安全確実な方法だ。

 巡回警戒してる者、部屋で休んでいた者、何故か単独で行動していた者。

 それらを手際よく一つ一つ潰していく。

 そうして奇襲でゴブリンを殲滅していき、新人達は奥まった所にある少しばかり大きな部屋の前にたどり着く。

 その中には、今までより規模の大きな集団がいる。

 彼らの動きから、それがゴブリン達の中枢部なのだろうと予想が出来る。

「ここだな」

 引率の先輩冒険者もあたりをつける。

「ここの連中を潰せば掃除も粗方終わりだ。

 けど気をつけろ。

 今までの連中より手強いからな」

 その言葉に新人達は無言で頷いた。



 大きめの部屋に踏み込んだ新人達は、ためらう事無く銃を使っていく。

 敵が強いなら、それに応じた武器を使う。

 下手にケチになれば、そうした代償を命で支払う事になりかねない。

 それを避けるならば、多少の出費を惜しんではいられない。

 また、手榴弾なども投げ込んでいく。

 それで敵が少しでも減れば、死傷率は更に下がる。



 それから内部に突入した冒険者達は、残ったゴブリンを次々に倒していく。

 初手で弾丸と爆薬をばらまいたおかげで、ゴブリンの多くは倒れている。

 生き残ってる者も怪我を負ってるのがほとんどだ。

 そんなゴブリンにとどめを刺していく。

 その手際はお世辞にも良いものではなかったが、初心者なりに上手くやってはいた。

 また、無傷で敵の中心を潰したのも確かだ。

 その結果は素直に賞賛するべきではあるだろう。

 何より、彼らは死なずに生き残った。

 それがもっとも重要な要素である。



 坑道の残りも探索し、討ち漏らしがないのを確かめていく。

 それなりに大きい小惑星である。

 その中に掘られた坑道もそれなりの規模がある。

 その全てを探しきるのは不可能に近いが、それでも見回れるところは確認をしていく。

 少しでも残っていれば、そこから増殖しかねない。

 宇宙ゴブリンは繁殖力が高い。

 どうやって増えてるのかはまだ完全に解明されてないが、放っておけばやっかいな事になる。

 そうならないよう、倒し漏れがないように見回っていく。



 そんな調子で数日ほど探索をしてゴブリンがいないかを確かめていく。

 その範囲で問題がなければとりあえずは良い。

 見回りきれなかった奥の方に潜んでる可能性もあるが、そこまで足を伸ばす余裕は無い。

 これまでそれで問題はなかったので、おそらくは大丈夫のはずである。

 迎えにきた冒険者ネットワークの宇宙船で帰還して仕事は終わりだ。



「おつかれさま」

 通信端末でネットワークに仕事の終了を報告。

 必要な資料として、作業中の映像などを提出して報酬を得る。

 それらは各自の口座に振り込まれているはずである。

 決して多くは無いが、当面の生活を支えるのに十分な金額だ。

 それを新人達は確かめていく。



 こうして一つの作業が終わり、新人冒険者はその分の経験をつんだ。

 今後どうなるかは彼ら次第であるが、今回の成功が参考になっていくだろう。

 だが、とりあえず今回は生き残る事が出来た。

 同じように上手くやっていけば、生活に困る事はないはずである。

 そう信じる事で、宇宙冒険者としての最初の成功をおさめた者達は、狭苦しい宿泊施設へと向かう。

 いつかもう少しマシなところで寝泊まりできるようになる事を願いながら。

もっと増えないもんですかね、こういうの。

頭空っぽにして楽しむ話とか、もっと増えてもいいと思うのだけど。

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