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08.1日の終わり?

 

 身体を測り終えた後、その流れでクローゼットの中を探検してみた。

 煌びやかなドレスから、シンプルなものまで揃っていて、見ているだけで楽しい。今まで全く着た事のないものだから、まるでコスプレを見ているようだ。

 コルセットをつけるのか侍女さんに聞いてみたら、つける人もいるし、つけない人もいるそうだ。その時の流行によって変わるみたい。ふーん。

 まあ、私には着れないので所詮は他人事だ。

 

 こんな豪華なドレスなんて洗濯が大変そうだなぁと思った所で、思い出した。

 現在持っている衣類が、帰ったら洗濯しようと思っていたものばかりだったのを。


「あの、すみません。洗濯ってどうすればいいんですか?」

「洗濯や掃除は基本的に浄化魔法で行なっております。何かお洗濯するものがございますか?」


 浄化魔法!

 そうか、魔法のある世界だった。


 私は持っている衣類を全部出して、浄化魔法をかけてもらった。


 おぉ〜、すごーい。


 浄化魔法は、基本、汚れや匂いなどをとってくれるらしい。

 見てみると、綺麗にはなっているが石鹸の匂いや柔軟剤の香りがする訳じゃなく、買った当初に戻ったカンジ。

 

 物や人にもかけられるとの事。


 ほほぉ〜。

 

 わくわくしながらかけてもらうと、さっぱりしたっ!!


 浄化魔法は侍女になるには必須らしく、王宮にいるものなら誰でも使えるのでいつでも言えばかけてくれるって。へぇ〜。


 じゃあ、お風呂は? と聞くと、普通はみんなお風呂に入るそうで、浄化魔法は軽く清潔にしたい時に使っているらしく、シャワーみたいものかな?

 平民は浄化魔法が使えないので、お風呂が基本だそうだ。ふむふむ。



 ついでに豪華な机も拝見。


 引き出しを出してもらって、中身も確認。

 扉とか引き出しとか、全部開けたいタイプなんです。


 中にはでっかい習字の筆くらいのサイズの万年筆やらインク入れ、紙などが入っていた。


 おぅ……万年筆ですか……。

 使った事ないですよ? しかもデカいし。



 一通り探検し終えて、さてどうしようと思っていたら誰か来た。


 水色神官さんと共にやってきたのは、蜂蜜色の髪に深い緑の瞳をした綺麗な人だった。

 またしてもガン見されているので、こちらも見ちゃう。


 さっき見たような豪華なドレスを着て、綺麗に髪を結い上げているから多分お貴族様かな?

 でも全然動かないけど……大丈夫かな?

 心配になり、声をかけたらハッとして名乗った後に綺麗なお辞儀を披露してくれた。


 これがラノベでよく見たカーテシーかぁと感心して見ていたら、あっという間に近寄ってきた。

 彼女はディアナと呼んで欲しいと言い、明日から私のお世話をしてくれるらしい。

 かなりぐいぐいきてちょっと怯んだけど、なんだかさっきのランドール侯爵と同類の気がした。

 

 それでずっと気になっていた窓の外を見せてもらった。

 気にはなっていたけど、あの侍女さんにお願いして見せてもらう気にはなれなかった。だって降りる時怖いんだもん。

 でもディアナさんは、なんていうか……すごく安定していて、慣れた手付きで抱っこしてくれてそっと下ろしてくれた。

 

 抱っこも下ろしてもらうのも怖くなかったのは初めてですっ!


 そう伝えると嬉しそうだった。





「聖女様。おやつでもいかがですか?」


 そう言われて気付いたけど、何故かお腹が減っている。

 お願いすると、おそらく気を使って小さく切ってくれたと思われるチーズケーキが出てきた。

 それでもホールの半分くらいのサイズだったけど。


 流石、王宮のおやつ。

 めっちゃ美味しいです!

 お腹が空いていた事もあって、全部食べちゃった。


 

 しばらくするとランドール侯爵が、椅子とカップ一式と踏み台をいくつか持ってきてくれた。


 椅子は子供用の椅子みたいで、机に合うようになっていた。

 カップはちょっと大きかったけど、洗面器よりはましだったし、綺麗な柄で嬉しくなった。

 踏み台は階段状になった台で、急遽作ったので無骨な作りで申し訳ないと言われたけど、有難くって涙が出そうです。

 ベッドとソファーとトイレに置かせてもらった。

 これでなんとか自力で登れます。

 

「ランドール侯爵、有難うございます。助かりました」

「いえいえ、これくらい何でもありません。それよりもどうか、私の事はルーシャスとお呼びください」

「ルーシャス様」

「様もいりませんが……まあ、急いでも何ですし。有難うございます、聖女様」


 そこで私は自分が名乗っていないことに気付いた。

 ヤバい。

 慌てて名乗る。


「ルーシャス様、申し遅れましたが有栖川楓と申します。どうぞ楓と呼んでください」

「……カエデ様……何と愛らしい」


 何やらふるふると震えておられますが、どんな表情をしても美しいですね。

 

「ではまた明日参りますね」


 そう言って去って行かれた。

 




 夕食はルーシャス様が持ってきてくれた椅子のおかげで座って食べれた。

 お風呂は侍女さんには遠慮してもらって、一人で入った。

 

 踏み台のおかげで自分で入れるし。

 お風呂は小さなプールレベルで、軽く泳げました。


 上がってからかなり眠たくなった。

 泳いで疲れたからかな?

 まあ、今日一日でいろんな事があったもんね〜。


 ベッドにのぼり、自分の荷物を整理していて、ふと目に止まったスマホの電源を入れて、あれ? って思った。


 その画面には『18:09』と表示されていたから。




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