表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/60

52.久しぶり


 引っ越しの準備は、侍女の皆さんがやってくれた。

 私はお手伝い出来る事もないし、邪魔になるので大人しくしていた。と言っても、私の荷物はディアナさんに作ってもらったお洋服と、ベリガルと言う魔獣のぬいぐるみとルーシャス様の人形のコルー様くらい。

 椅子やカトラリーは私が来た時のために置いておく事になったらしい。あとトイレも。

 

 元々の私の荷物も入れて、大きな箱二個で間に合った。私にしては大きな箱だけど、護衛さんにとっては一人で軽々持てるものだった。それらは先に侯爵家に送られた。



 そしていよいよ王城を去る時間となり、ルーシャス様が迎えに来てくれた。そのまま外に連れて行ってもらうと、そこには見送りのために沢山の人々がいた。


 私のお世話をしてくれた侍女さん達や護衛さん、さらには王様やエリザベス様やアンジェリカ様など王族の方々も並んでいた。


 パレード用の馬車を見ると、屋根はあるものの扉の上半分の部分がなく、外からは上半身のみ見える仕様になっていた。


 

 ルーシャス様にみんなに向き直ってもらい、別れの挨拶をする。


「皆さま、大変お世話になり、本当に有難うござました」


 するとアンジェリカ様がたたっと前に出て来て、瞳をうるうるさせながら言ってきた。


「アリス様! あの……また遊びに来てくださいね!」


 わぁぁ〜かわいいっ!!


 綺麗な金髪がふわふわと揺れて、不安げに見つめる美少女。

 こんな可憐な美少女のお願いを聞かない人など、いるわけない。

 私はにっこりと微笑みながら「勿論です。またお会いしましょうね」と言うと、ようやくほっとしたお顔になった。


 もう一度皆さんにお礼を言ってから、ルーシャス様と共に馬車に乗る。


 そのまま王都を一周してから、貴族街でルーシャス様の馬車に乗り換えて行く事になっている。


 ……頑張ろう。





 王城を出て街中に入ると、そこには街道を埋め尽くす人々が待っていた。家々の二階からも大勢の人が顔を出し、花びらを撒いて私を歓迎してくれた。


 私は外から見えやすいように、ルーシャス様の首元に抱きつきながらみんなに笑顔で手を振った。

 馬車はとてもゆっくり動いてくれているけれど、それでも振動は半端ない。


 でも私が顔を向けた方から歓声が上がる。みんな喜んでくれているようで嬉しかった。振動で引き攣りそうになる顔を、何とか笑顔でキープして王都を走りぬけた。



 

 ルーシャス様の馬車に乗り換えた頃には疲れ切って、ぐったりとルーシャス様に寄りかかってしまう。


「お疲れ様、カエデ。もう少しだからね」


 そう言いながらぎゅうと抱きしめられ、ゆっくりと頭を撫でられた。

 実際ルーシャス様と密着していると、振動が割と楽なのでされるがまま。

  

 偉い人って凄いわ……。

 

 こんな苦行に耐えているなんて、などと考えながらもうすでに動く元気もなかったので、じっと目を閉じひたすら到着するのを待った。





「着いたよ、ここがランドール家のタウンハウスだ」


 そう言われて窓を見てみると、門を潜るところだった。その向こうには大きな建物があり、手前には広大なお庭が広がっていた。


 玄関に着くと、一旦外に下ろしてもらった。



 大きな深呼吸を何度も繰り返し、手を広げて伸びをする。


 こちらの淑女としては有り得ない動作だが、気持ち悪いのだ。仕方ない。吐くよりはいいだろうと勝手に判断して、深呼吸を繰り返す。

 すると先に来ていたディアナさんが、お水を持って外に来てくれた。


 有難くコクコクと飲み干すと、少し楽になった。


 ほぅと息を吐いて、お礼を言う。


「有難うございます、ディアナさん」

「いいえ、お疲れ様でした。アリス様」


 改めて周りを見ると、玄関の前には見知った人たちが並んでいた。

 ディアナさん、カールさん、フリージアさんに、ダニエルさん。それと執事の格好をしたロマンスグレーをオールバックにしたダンディな人がいた。


 私の視線に気付いたのか、ルーシャス様がひょいと私を抱き上げながら「彼はこの屋敷の家令のヴィクターだよ」と教えてくれた。

 すると彼は一歩前に出て、腕を後ろに回し綺麗な礼をしながら「家令のヴィクターでございます。何か御用の際は私めに何なりとお申し付けくださいませ」と挨拶してくれた。


 そのまま玄関を潜ると、中には侍女さんや護衛さん、料理人などこの屋敷に住まう人達が全員並んで迎えてくれていた。


「「「大聖女様、ようこそおいでくださいました!!」」」


 ルーシャス様に抱っこされながら、挨拶をする。


「カエデです。どうぞよろしくお願いします」

「「「はい、奥様!!」」」


 ちなみにルーシャス様と結婚して、私の名前はカエデ・アリスガワ・ランドールになった。アリスブランドを立ち上げてしまったので、名前が消えてしまうのはどうかと言う事になり、結果こうなった。


「カエデ、どうする? 屋敷を見て回る前に少し休むかい?」


 スルリと私の頬を撫でながらルーシャス様が聞いてきた。


「そうですね……申し訳ないですが、少し休みたいです」


 その方がいいね、と言いながらルーシャス様は私の部屋に連れて行ってくれた。気付かなかったけど、どうも私の顔色が悪かったみたい。



 そして連れて行かれた私のお部屋には、何とっ!!


 私サイズのベッドがありました!

 しかも天蓋付き!!


 さらに私サイズのソファーや椅子なども完備されているし、当然のように扉にも私用の扉がついてました。



 わぁぁぁ〜と感動していると、ディアナさんに捕まり、ささっとお風呂に入れられて着替えさせられ、ベッドに運ばれました。



 枕もちゃんと私サイズ。


 久しぶりのベッドの感覚に嬉しくなったけど、疲れもあってあっという間に眠りについた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ