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46.一大イベント


 目覚めたら、にこやかなディアナさんが待っていた。

 

 え?

 何時から起きてるの?


 そんな疑問を持った私をサクッとお風呂に入れ、念入りにマッサージをされ、髪に香油を塗りこめてくれた。


 いつもなら何人か他の侍女さんもいるのだけど、今日はディアナさん一人。勿論私はちっさいから、ディアナさん一人で十分準備が出来るので問題はない。


 なにせ今日は忙しい。

 今日どころか、ここ最近はずっとみんな忙しそう。


 何故なら世界中の王族が、この国に集まっているから。



 聖女の式典の参加は基本的に自由。

 距離や自国の都合上、出席出来ない事もあるので強制ではない。

 

 故に過去の式典でも、近場の国々のみの場合もあった。


 が、私が小さいと知った各国の王様達は珍しがって、ほぼ全ての国が参加を希望してきた。

 更に通常王様のみの参加なのに、王妃様までも是非とも!と請われ、嘗てない参加人数の式典となったのだ。


 遠くの国からは時間がかかるので、ある程度余裕を見て出発する。

 そのため一週間前くらいから、何ヵ国か集まってきてる。そして式典までは王宮で過ごす。

 彼らのお世話は当然侍女さん達が行うため、めちゃくちゃ忙しい日々を送ってるらしい。

 

 更に昨日は王族のみの夜会もあったみたい。

 私は式典までは姿を見せないようにと、引き篭もっていたので不参加。


 各国の王族達の対応に追われて、エリザベス様もアンジェリカ様も忙しそう。


 そんなバタバタしている最中に、カールさんを呼んで昨日の事を報告するのは気が引けた。

 それにフィー様はサプライズがしたそうだったし。


 まあ、いっか。


 そう思いながらディアナさんに、化粧され、髪を結い上げられた。







 さてさて、あれから全身すっぽり被るベールを被せられ、馬車で神殿に移動した。ルーシャス様は結婚式で会うので、馬車の中ではディアナさんに抱っこされた。

 馬車は相変わらず震度が激しいので、一人では絶対に乗れない。長距離の移動も無理だろうな〜。色んな所にも行ってみたかったけど、もう諦めた。


 神殿には聖女専用の控室が用意してあって、そこで式典の開始まで待機する。

 でも私には長いので、軽食をとったり、仮眠を取ったりしながら待っていた。


 するとカールさんがやってきて、報告された。

 なんと急に、エルフの王と竜族の王が来る事になったのだと。



 ……フィー様が何かしたのかも。


 そう思ったけど、確証もないので黙っておいた。



 滅多に人族の前には姿を現さない種族なのに、今朝方いきなりの参加希望が届き、周りは慌てふためいた。


 それもそうだ。

 二種族とも殆ど幻とされるくらい人族との関わりがない種族。


 人族は彼らに畏敬の念を抱いているが、何しろほぼ伝説なのであまりよく分かっていない。長い月日を生きる彼らにとって、短命な人族はあまり重視していないのだろうという見解が多い。

 

 勿論敵対している訳ではないので、急遽彼らが到着する場を用意した。

 通常は神殿の前に広がる大広場は、一般人が遠目で式典を見れる場所だったけど、そこを開けて一般人には下がってもらう事になったと言われた。


 到着? と聞いてみると、エルフ王は転移魔法で、竜王は飛んでやってくるんだって。

 

 ほぇ〜。

 流石伝説。やる事が違うね。



 


 …………見たい。



 そんな一大イベント、見逃すなんて勿体ない!!



 

 見たい見たいと駄々をこねてみたら、なんと通った!


 とは言え、堂々と姿を見せることは許可されなかったので、急遽箱を用意してもらって、箱に入ってこっそり見る事に。


 ディアナさんと護衛さんに運ばれて、広場の見える場所まで連れてきてもらった。



 

 王族達は神殿内に、もう座って待機している。

 広場の向こうには人々がひしめき合っているけど、私には遠すぎてよく見えなかった。


 しばらくすると広場に緻密に描かれた魔法陣が現れ、光り輝き出した。


 その光がおさまるとそこには透き通るような金と銀の長い髪を持ったエルフが二人立っていた。

 予想通り耳が尖っている。ルーシャス様は神様のように美しいと思っていたけど、それを上回る美しさ。それなのに儚げで、まさにザ・エルフ。日本人の想像力って凄い。合ってる。

 

 エルフ王に見惚れていると、遥か上空に真っ白いドラゴンが見えた。そのドラゴンはあっという間に近付き、巨大なその体躯を感じさせず静かに降り立った。そのドラゴンの上で両手を組み、悠然と立っていた人がヒラリと降りた。すると白いドラゴンもふわりと輝き、人の形をとった。

 白いドラゴンだった人には白い角があり、とても立派な身体で強そうだ。

 乗っていた人には黄金の角があった。……もしかして黄金のドラゴンなんだろうか?共に瞳孔が縦で、眉がしっかりとした凛々しい顔をしている。

 ドラゴンも西洋のドラゴンに似ていて、人型もよく竜人として描かれている人にも似ている。日本人、凄すぎる。誰か異世界と繋がっているのではなかろうか。



 そんな感想を抱いていると、おずおずとディアナさんが言ってきた。



「アリス様、そろそろご用意しないと……」

「あ、そうね。無理を言ってごめんなさい。有難う、行きましょう」



 ヤバイヤバイ。

 到着されたって事はそろそろ式典が始まるって事で。

 主役である私がこんな所にいたのでは、話にならない。


 急いでディアナさんと用意しに戻った。



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