36.スイーツパーティー
結果としてサプライズではなくなってしまったが、エリザベス様とアンジェリカ様はとても喜んでくれた。
お二人でキャアキャア言いながら、我々の周りをグルグル回っていた。ちょっとルーシャス様が困っていたのが可愛かった。
絵師さんはささっとデッサンをとり水彩画っぽいものを描いてくれた。見せてもらうとほぼ写真ですか? ってくらいな仕上がりだった。それを後日、希望に応じて油絵とかにするんだって。
エリザベス様は大きな油絵を希望していた。
……どうするんですか? それ。
◇
その疑問はスイーツパーティーで解消された。
会場から一段高い舞台みたいな所にエリザベス様に抱っこされて登場すると、令嬢たちの視線が集中する。そしてお披露目会でお世話になった私専用の台に乗せてもらい、ルーシャス様人形を抱っこしたまま挨拶すると盛大な拍手で迎えれくれた。
さらにエリザベス様が「お待ちかねのサプライズよ」と合図とすると背面にかかっていたカーテンが開かれ、そこにはルーシャス様との大きな絵が掛かっていた。
聞いていなかったのでびっくりしたが、それ以上に驚いたのはそれを見た令嬢たちの歓声と熱気だった。
……何だろう?
歌って踊ったらアイドルになれそうな雰囲気だ。踊れないし、無理だけど。
それから令嬢たちがそれぞれ挨拶に来てくれた。みんな可愛くて、キラキラした瞳で見られたけど、貴女方の方が絶対綺麗ですよ?
会場には色とりどりのスイーツが並べられ、好きなものを選んで食べれるバイキング形式になっていた。
令嬢たちはそれぞれおしゃべりしたり、スイーツを食べたり、私の所に来てくれたり。楽しそうで良かった。
私にもおすすめのスイーツを持ってきてくれたり、今の流行を教えてくれたりと、私も楽しくおしゃべりしたりして、大規模な女子会は幕を下ろした。
◇
一先ずイベントをこなしたので、のんびりとルーシャス様とお茶を飲んでいるとカールさんが訪ねてきた。
「こんにちは、カールさん。どうかされましたか?」
「ご機嫌麗しく、アリス様。実は……この前作られたランドール侯爵との絵は販売していないのかとの問い合わせが殺到しておりまして」
「え? そうなのですか?」
「はい。如何いたしましょう?」
「絵ってたくさん作れるものなのですか?」
「そうですね……絵画は基本的に絵師が描かれるので、大量に作るには時間がかかります。小さいものを紙に印刷するならそれほど時間はかかりませんね。ただ、その場合も元の絵は絵師に書いてもらわねばなりません」
「なるほど。……ルー様、どうしましょう?」
「ん? 私はカエデが良ければ、販売しても良いよ」
うーん。ブロマイド的なものかな?
でも……ぺらぺらの紙でボロボロになるルーシャス様は見たくないな。
「それってちょっとした厚紙に印刷出来ますか?」
「厚紙ですか? 出来なくもないと思います」
「それで作ると値段ってどんなもんでしょう?」
「そうですね……平民にも買える値段に出来ると思いますが、職人に確認してみますね」
後から聞いてみた所、印刷は浮世絵版画みたいに主版を何個も作り、何度も色を重ねて作るんだって。その主版は魔法で作るらしい。へぇ〜。
この世界に写真の技術はまだないみたい。でも私に写真の作り方なんてわかる訳ないし、黙っておいた。ラノベでは魔法で映像を映す事も出来たけど、魔法が使えない私に構造を理解できる筈もなく。既存の技術を有難く使わせて頂きます。
そして出来上がった絵は『ブロマイド』として売り出された。
ぽつっと言った言葉が聞かれていたみたい。うにゃぁ。
それも瞬く間に話題になり、刷っても刷っても売れているんだって。
まあ、あのルーシャス様は美しいから、売れるのも分かります。
私も欲しかったけど、自分も描かれているので諦めた。
自分の絵なんて見たくなくない?
良いんだー。
私にはコルー様がいるから。
※コルー=小さいルーシャス
ルーシャス人形の事をそう呼ぶようにしたらしい




