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03.寝るまでも遠かったです


 私は壁際に控える侍女さん達の近くまで寄って行った。距離があるからね。

 侍女さん達は三人いて、みんな少し俯いて控えていた。


「初めまして、有栖川楓です。よろしくお願いします」


 そう言うと一番年配の方が、軽く頭を下げてから言ってきた。


「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。私は侍女長のオリガ・バーレンと申します。こちらはロサナとセルマにございます」

「「どうぞよろしくお願いいたします」」


 そして顔を上げた三人は、私を見て固まった。


 うん、ずっと俯いていたから見えてなかったんだ……。


「えっと……私はこんななりなので、色々とご迷惑おかけするかと思います。こちらの世界は全く分からないので、色々と教えていただけますか?」


 いち早く我に返ったのは、侍女長さんだった。

 はっとした後に、佇まいを直し柔らかな笑みを浮かべた。流石です。


「はい、もちろんでございます。なんなりとお尋ねくださいませ」



 それからお部屋を案内された。寝室には天蓋付きベッドとその横にサイドテーブル。さらにソファーと小さめのダイニングテーブルみたいなものが置いてあった。……体育館くらいの広さに。


 色々と聞いた所、この世界は電気の代わりに魔力を使っているらしい。

 人は全員魔力を持っているが、平民は少なく、貴族は多いとか。

 そこで魔石に魔力を溜めて使っているそうな。


 部屋の明かりは壁にあるスイッチを押せば点くし、もう一度押すと消える。

 ただ、そのスイッチは侍女さん達の胸の高さにある。


 ……4mくらいかな?ははは……。



「あの、私は魔力がないのですが、大丈夫ですか?」

「え? そ、そうですね……どうでしょうか? ちょっと私にも分かりかねます」

「じゃあ、ちょっと押してみても良いですか?」

「はい、もちろんです」

「……」

「……」

「……すみません、お手数ですが持ち上げてもらえますか?」

「あっ! 申し訳ございませんっ!! では、失礼します」



 後ろから持ち上げられて、壁についているスイッチを押してみると、灯りが点いたり消えたりした。

 良かった〜。とりあえず私にも使えるみたい。押せるかどうかはわからないけど……。

 下ろされる時に、スピードが早くてジェットコースターに乗った時のようにお腹の辺りがふわっとした。……ちょっと怖かった。



 その後は水回りの説明だった。

 洗面所的な所、お風呂、トイレと別々にあった。

 水やお湯も魔石を押せば出るらしい。魔法便利。


 ただ洗面所の高さも私の身長よりも高いし、お風呂に至ってはもやはプール。

さらに通常侍女さん達が身体を洗ってくれるらしく、洗い場もめちゃくちゃ広かった。


 トイレは見た事のある洋式でほっとしたが、後ろについている水のタンクはなく魔石で水を流すタイプだった。そして聞いた所によると、トイレやお風呂の排水はスライムが食べているらしい。ほぉ〜、配管が楽ですね。


 トイレは辛うじて私の首くらいの高さだったけど、乗れるはずもなく。侍女さんにお願いして台を持ってきてもらった。私には台だけど、侍女さん的には箱だったけど。それでなんとか自力で登れたのでよしとする。紙も遠過ぎて届かなかったので、近くに置いてもらった。便座が大きくて怖かったが、そこは乙女の努力で頑張った。



 とりあえず化粧を落としたいと伝えたところ、小さなボウルを持ってきてくれて、それに水を入れてくれた。これは……お皿かな?

 

 キャリーバッグから化粧道具を取り出し、リムーバーで落として顔を洗っているのを、侍女さん達が興味深そうに見ていた。

 

 簡単に洗顔して基礎化粧をつけて着替える。

 お泊まり用にルームウェアを持っていたのでそれに着替える。一応会社でもおかしくないように、真っ黒の長袖長ズボンなので見目は悪くない思う。ついでにマイスリッパも出して履く。


 ベッドも高かったので乗せてもらった。

 そこでようやく全貌が見えたけど……12畳くらいありそう。絶対落ちないね、コレ。

 枕もあったけど、おっきいし、もうなくても良いや。

 

 色々と疲れ切った私は、横になった途端にストンと眠りについた。




キャリーバッグの中身


着替え(下着と白シャツ五日分)

タオル5枚

基礎化粧品

化粧道具

お風呂道具

ドライヤー

ソーラー充電器(実家が災害で停電になったことがあったため)

長袖長ズボンのルームウェア(パジャマ用)

マイスリッパ



ショルダーバッグの中身


スマホ

ミニタオル

マスク

お財布

マイバッグ

ポケットティッシュ

のど飴

マイ箸(箸とスプーンのセット)



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