24.プレゼン成功
早速カールさんに城下町に行ってみたいとお願いしたら、あっさり却下された。
曰く、お披露目をしていない内に、民の前に出るものではないらしい。
そこにはお貴族様特有の選民意識が強く現れ、自分たちも見ていないのに、と思われるとそうだ。
そうは言っても過去の聖女達はこっそり抜けて出て遊んでいたらしい。
そういう記録が残っているとカールさんは教えてくれた。
でも変装したりして、一応聖女とは分からないように外出していた。
つまり、私は変装しても意味がなく、一発でバレてしまうからダメだと。
そりゃそーだ。
正式に発表していなくても、噂は広まっているので私が小さいという事はみんな知っているんだって。
ちぇ。
◇
ダメだと言われたら、より行きたくなるのが人情だよねー。
って事で暇な私は考えました。
要は私だと分からなければ良いんでしょ?
ディアナさんにお願いして、衣装などを運ぶ箱を用意してもらった。
見た目、籐で出来たような箱で、蓋付き。
箱の側面に3つくらい穴を開けてもらい、中にクッションを入れてもらって完成!
カールさんを呼んで、プレゼン開始!
なぜか隣にルーシャス様もいたけど。
「じゃーん! 見てください、コレ。どうですか?」
「……アリス様、これは何でしょう?」
「これに入って出かけたら、私だとバレないかと思いまして!」
はぁ……。
アレ? ふっかい溜息をつかれちゃいましたね。
「諦めてなかったのですね?」
「勿論です!」
「どうしてそんなの城下に行きたいのです?」
「そうだ。欲しいものがあるなら商人を呼び寄せれば良いだろう?」
違うんです。そうではなく、街をぶらぶらしてみたいんです。
実際にぶらぶらするのはディアナさんと護衛さんだけど、良いって言ってくれたもん!
「街を探索してみたいんです!」
「そうですか……まあ、それならば気付かれないでしょうし、大丈夫でしょうか……」
「なら私が連れて行こう」
「ダメですっ!!」
「えっ!?」
「ルーシャス様だと絶対にお忍びにならないじゃないですかっ!!」
「まあ、確かに」
「ぐぅ……」
こうやって、渋々、ホントーにしっぶしぶ許可をもらいました。
◇
念願の町歩きの日。
朝からわくわくしてました。
別に欲しいものがある訳じゃなく、ぶらぶらするのが好きだった。所謂ウィンドウショッピングってやつ。
しかもここは異世界。
見た事もない物がいっぱいあるはず。楽しみ〜。
ディアナさんには良いとこのお嬢さん的な服を着てもらい、護衛さんにはお付きの人っぽい服装をしてもらった。これでお嬢様の買い物に付き合う従者さんに見えるはず。
馬車まで行くとそこにはなぜかアンジェリカ様が町娘風な服装を着て待っていらっしゃった。
「アリス様、今日はいい天気で良かったですね」
「はい、アンジェリカ様。……えっと〜どうしてここに?」
「え? 私も町歩きにご一緒させていただこうかと思いまして」
にっこり微笑まれましたけど、聞いてませんよっ!?
ディアナさんから話を聞いたアンジェリカ様は、自分も行ってみたくなったらしい。
どうやら貴族のご令嬢は町歩きなどというものは、全く知らない未知の体験らしい。ましてや王族ともなれば、簡単に出歩く事も出来なかったそうだ。
でも私が一緒に行くとなると話は別らしく、了承されたんだって。
その代わり護衛はこっそりたくさんつくそうな。
ま、そりゃそうでしょうよ。
そんな事は全く知らなかったので、改めてディアナさんに謝った。
「とんでもない」と言ってくれたけど、私にとって普通でも貴族の方々にとっては非常識な事もあるってことを忘れていた私が悪いに決まっている。
でもまあ、お二人とも楽しみにしてくれたみたいだし、一緒に行く事にした。
結果として、ものすごく楽しかった。
箱に入った私が堂々と話す訳にもいかないので、お二人が話しながら私にも話を振ってくれた。もしディアナさん一人だったら、怪しく独り言をいう人になってしまう所だった。危なかった。
可愛い小物のお店や、人気のお菓子屋さん、様々な日用品の売っているお店など周ってもらい、屋台で買ったクレープを豊かな木々のある公園で食べたりした。
とっても充実した町歩きでした!!
帰りには箱の中で寝ちゃったけどね。




