20.魔法って便利
次の日ルーシャス様が、人形職人を連れてきてくれた。
見た目は30代で、くりんくりんの緑の髪を後ろで一つに束ね、茶色の瞳に左目の泣き黒子が印象的な人だった。
「カエデ様、紹介しま……」
「あっらーっ! 何て可愛らしいのっ!! 初めまして、聖女ちゃん。私はミゲル・リンドグレーンよ。ミレーって呼んでね。ヨロシクネ」
バッチリウインクまでされちゃいました。
「……すまない、これでも腕の立つ職人なんだ……」
「あら〜ん、これでもって何よっ! 私はちゃんとしてますぅ」
仲が良いんだろうなぁ。
クスクス笑いがなら挨拶した。
「初めまして、ミレーさん。有栖川楓です。こちらこそよろしくお願いします。私の事はアリスでお願いします」
「アリスちゃんね〜。名前も可愛いなんて、罪深いわぁ〜」
みんな私の事を可愛いと言ってくれるけど、それは小さいからであって、等身大だったらそうも言ってられないと思うんだけど……?
私から見れば、みんな全員もれなくイケメンに美人さんだ。
褒めてくれるのは社交辞令だろう。
うん、アレだよ。
外人さんがコケシを可愛いとか言うとの同じじゃないかな?
「ミレーさん、私の人形って作れますか?」
「まっかせてー。物凄いインスピレーション感じたから! 早速だけどスケッチしても良いかしら?」
「はい、勿論です」
そう言ってミレーさんは、私をチラチラと見ながらスケッチしだした。
あまり動いちゃダメかと思って、そーっとルーシャス様に聞いてみた。
「スケッチして作るんですね」
「そうだな。今回は試作品だからミレーが最初から全部作るそうだ」
「へぇ〜、凄いですね。私はまたてっきり型でも取られるのかと思ってました」
「型?」
「はい、こう……粘土みたいなものに突っ込んで、型を取るんです。あれ? こっちではしないんですか?赤ちゃんの手型とかを記念に残したりしませんか?」
「いや、こちらでは聞いた事がないな……」
「そうなんですか? 最初は柔らかくって、後から固まるからそれを友達は飾ってました」
そんなキットを出産祝いに他の友達が、贈っていたのを思い出した。
それを壁際で聞いていたディアナさんが食いついた。
「アリス様の手型!? 欲しいですっ!!」
「え?」
「そ……そんなもの、どうするんですか?」
「勿論飾りますっ! 家宝にします!!」
「えー……それはちょっと……」
普通に引きますよ?
「それも売りに出しましょう! 絶対売れますっ!!」
「いやいやいや、売れないでしょ。そんなの」
「そんな事はありませんっ!」
そんな事を言うのはディアナさんくらいだと思いますよ?
「じゃ……じゃあ、お人形が出来たら、それにサービスでつけますか?」
「そんなっ! サービスだなんて! もったいないです!!」
「まあまあ、それは後で決めれば良いでしょ? それより、型を取るって中々良いアイディアね。全くそんな発想はなかったわ。確かにアリスちゃんなら取れそうね」
スケッチをとり終えたミレーさんが話に加わってきた。
「あ、でも全身つかるのは嫌です」
「ふふふ、そんな事は流石にしないわよ。そうね、手と脚をとらせてもらえるかしら?」
「はい、良いですよ」
そう言うとミレーさんは、あっという間に箱を作り出した。
びっくりしてると「私は土魔法が使えるからね〜」とウインクされた。
「この中に手を入れてもらえる?」
「はい」
入れると箱いっぱいに盛り盛りと粘土らしきものが出てきて、手を覆った。
「はい、良いわよ〜。多少ずれても良いから手を抜いてみて」
魔法って便利。
「じゃあ、次は脚ね」
「おいっ! 脚はダメだろうっ!!」
「なーに言ってんの? そんな事言ってたら人形なんて作れないわよ?」
「……そうだが……」
「大丈夫ですよ? ルーシャス様」
「……カエデ様がそう言うなら」
不服そうなルーシャス様はほっといて、さっさと脚も入れる。
まあ、どうやら考慮され脹脛までだったけど。
「じゃあ、早速帰って作ってみるわ。楽しみにしててね」
そう言って嬉しそうにミレーさんは帰っていった。
どんなのが出来るのかな?
楽しみー。




