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18.第一回当たりになろう会議

 

 ハズレ聖女と言われた私は一晩考えた。

 次の日の朝、ディアナさんに午後から会議を開くので、ルーシャス様やカールさん、侍女さん達に出来れば参加して欲しいと伝えてもらった。


 午後、ディアナさんに会議室に連れて行ってもらうと、そこにはルーシャス様、カールさん、今日の担当の侍女さん達と護衛の方々と……何とアンジェリカ様までいらっしゃった。


「え? あの……アンジェリカ様? よろしかったのですか?」

「はい、勿論です。アリス様の会議に出席しない訳がございません!」

「そ、……そうですか。有難うございます。ではよろしくお願いします」


 ディアナさんに机の上に下ろしてもらう。

 行儀悪いとか言わない!

 床に下されたら見えないじゃん。


「お忙しい中お集まりくださり、有難うございます。では早速始めさせていただきますね」

「今日は何の会議なのですか?」


 にこにこしながらカールさんが尋ねてきた。


「よくぞ聞いてくれました! 今日は『第一回 当たりになろう会議』です!」

「「あたりになろう……??」」

「はい、実は昨日ハズレ聖女と言われてしまいまして……ひぇっ」


 一気に会議室の室温が下がりました。

 全員から黒いオーラが見えるようです。げ、……幻覚でしょう!


「……一体、誰がそんな事を……?」


 背後から『ゴゴゴゴゴ』と効果音が聞こえそうなルーシャス様が尋ねてきました。


「あ……あの、クロード殿下ですが……その、それは別に良いんですよ? 本当の事ですし」

「「そんなことはございませんっ!!」」


 侍女さん達が声を揃えて抗議してくれました。

 有難うございます。

 

「……そうですか、クロード兄様が……ふふふ、そうですか……」

「あの……クソガキが……許さん……あいつ……」


 アンジェリカ様とルーシャス様は何やらぶつぶつと言いながら、引き続き黒いオーラが出まくってます。


「まあ、流石にハズレと呼ばれるのは不本意なので、私が聖女で当たりだったと思ってもらえるようにしたいと思ったのです」

「「……当たり……」」

「はい、一晩考えて思いついたのが、聖女ブランドを立ち上げて、それの売り上げをあげれば良いと思ったんです!」

「「……」」

「売り上げが上がれば、私も儲かるし、王家も儲かる。世界に名が通れば、王家も私を見直してくれるんじゃないでしょうか? どうですか? win-winだと思いませんか?」

「「うぃんうぃん?」」

「えっと……みんなが得をするって事です。誰も損をしないし、困らない。みんなに得になって、みんなが喜ぶって事です!」

「「……っ」」


 ……あれ?反応がない……。

 ダメだったかな?良いアイディアだと思ったんだけどな……。


「「す、素晴らしいですっ!!」」

「何てお優しいのでしょう! 失礼な事を言われたにもかかわらず、お相手の事まで考えていらっしゃるなんて……まさに聖女様ですわっ!!」


 お、おう……皆様、めちゃくちゃ感動さってますが……そんなに?


「え、えっと……でも、考えついたのはそこまでで……一向に良いアイディアが浮かばなかったんです。そこで皆様に聖女ブランドの事で、ご意見を聞かせていただきたいと思いまして」

「何なりとっ!」

「有難うございます。ブランドを立ち上げると言っても、私に出来る事が全く思いつかなくて……。過去の聖女ブランドを顧みて、何か私に出来そうな事はありませんか?」


 そう言うとみんな、うーん……と言いながら腕を組んだり、上を向いたりして考え込んだ。

 しばらくするとディアナさんが、そうだわっ! と手を叩いて思いついたようだった。


「あのっ! アリス様のお人形を作られたら如何でしょうか?」

「人形? 私のですか?」

「そうですわ! こんなにお可愛らしいのですもの。このままのアリス様を象ったお人形なら絶対に売れますわっ!」

「え〜? 売れますか?」

「はいっ!! と言うか私が欲しいです! 絶対買いますっ!!」


 そう言い切ると、私も、私もと女性陣は全員手を挙げてくれた。

 

 私の人形……等身大の……怖っ!


 まあ、そうは言ってもそんなもの作れるのかな?

 ルーシャス様を見て聞いてみる。


「私の人形なんて作れますか?」

「作れますよ? そうですね、一度試作品を作ってみてから考えてみても良いのでは?」

「良いのですか?」

「勿論です。今度人形職人を連れて参りますが、よろしいでしょうか?」

「はい、ぜひ。ではお願いします」


 それをにこにこしながら聞いていたカールさんが言ってくれた。


「わたくしの方からは、アリス様が持ってこられた『キャリーバッグ』を商品化されたらどうかと思います」

「キャリーバッグをですか?」

「はい、中々可愛らしいデザインでしたし、機能的でもありました。あれを大きくして我々にも使えるようにすれば、売れるのではないでしょうか?」

「でも……作り方なんてわかりませんよ?」

「それなら家の職人に作らせれば良い。ただ一度分解しても良ければの話だが……」


 ほほぅ。

 ルーシャス様の所の職人さんでしたら、小さいものは扱いなれているはずですから大丈夫でしょう。


「はい、問題ありません。そちらの方もお願いします」


 ふんふん。

 中々アイディアが出てきて良いカンジじゃない?


「それと昨日のアリス様の衣装もついでに作られてはいかがでしょう?」

「衣装?」


 おぅ。

 ディアナさんが言った言葉にルーシャス様が食いついてしまいました。


「はい、先日アリス様からお聞きした衣装を作ってみましたの。とっても可愛らしくってお似合いでしたわ!」

「ほぅ……それはぜひ私も拝見したいな」

「いえ! それはちょっと……」


 恥ずかしいのですが!


「ダメなのですか?」


 ぐふぅ


 そんなしょんぼりしないでください。

 罪悪感がハンパないんですからっ!!


「わ、……わかりました。今度着ます……」

「有難うございます」


 そんなキラキラした笑顔で……。

 まあ、良いですけど。


「でも、私が作った訳ではないですよ?」

「それは大丈夫です。聖女様のアイディアで作られたものが、聖女ブランドですから」


 そうなのかー。

 だったら、色々なコスプレを……いや! 私は着ませんけどね!!


「では、明日職人を連れて参ります。試作品は……そうですね、一週間後くらいでしょうか?」

「そんなに早くに? 有難うございます。ではよろしくお願いしますね」

「では、今のうちに聖女ブランドの名称とマークを決められては如何ですか?」

「カールさん、マークって何ですか?」

「はい。我が国は識字率が高い方ですが、字を読めない者もおります。その者達のために、分かりやすいマークを聖女様それぞれが使っていらっしゃいました」


 なるほど。ブランドロゴですね。

 うーん……。


「名前はアリスでも良いですか?」

「はい、大丈夫です」

「マークはこう……こんな感じはどうですか?」


 そう言って私が書いたのは楓の葉。

 何だか某国旗みたいだけど、分かりやすくて良いと思うんだ。


「これは?」

「楓って私の世界の木の名称なんです。その楓の葉っぱです。これを使ってもらえませんか?」

「分かりました。ではそれで考えてみますね」

「よろしくお願いします、カールさん」


 こんなところかな?

 第一回にしては中々進んだんじゃなかろうか。


「では今回の会議はこの辺で。また来週良かったらお集まりください。それとディアナさん」

「何でしょう?」

「他の王宮で働く方々に、もし私の人形が売りに出されたら買うかどうか聞いてもらえますか? あとどれくらいの値段だったら買うのか。そう言ったアンケートをお願いできますか? 出来ればで良いのですが」

「畏まりました。来週までに意見をまとめておきますね」

「よろしくお願いします。では皆様、本日は有難うございました」


 

 よーし。私はコスプレの衣装でも考えてみようかな?

 要は人形が着て、可愛ければ良いはず。


 可愛いは正義って言うしね。




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