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17.ハズレ聖女


 あれから勉強を続け、先生方には優秀だと褒められた。でもそれは暇なだけですから!!

 夜は主に勉強と運動をしている。お部屋が体育館並みに広いから好き放題してます。体力作りもしないとダメかと思って。


 誰も来ないので走ったり、縄跳びしたりしている。私が飛び跳ねた所で、音がうるさいって事もないしね。

 お風呂も自分で入れれるようになったので、勝手にはいってる。洗濯物は朝になってから、侍女さんに頼めばあっという間に綺麗になるので助かります。



 二日に一度はルーシャス様が何かを持ってきてくれて、一緒にお茶を飲んでるし、週に一度はエリザベス様かアンジェリカ様のお部屋に呼ばれて、お話ししている。

 

 アンジェリカ様のお部屋には、お人形やテディベアっぽいぬいぐるみがあった。

 でもお人形はアンティークドールっぽくて、私と同じようなサイズだけど頭身が違う。私が7等身なら向こうは3〜4等身。私にしてみれば大きな着ぐるみっぽい。リアルでちょっと怖い。

 テディベアっぽいのは勿論熊ではなく、ベリガルという魔獣らしい。見た目はまるでテディベアで可愛い。しかもこの毛皮がものすごく肌触りが良くて、気持ちいいの。ちょっと触らしてもらったら、あまりの気持ち良さにぎゅうっと抱きしめちゃったよ。


 だってー、私よりも大きくて、ふかふかですべすべだったんだもん。

 抱きしめちゃっても仕方ない。うん。


 なぜか数日後には同じ様なものを、嬉しそうにルーシャス様が持って来てくれた。

 ありがたやー。癒されます。


 



 こちらに来て一ヶ月が過ぎた。私にしてみれは三ヶ月。

 ようやくこの生活にも慣れてきて、少し余裕も出てきた。


 つまり、より暇が出来たってことだ。


 で、今はディアナさんに洋服を作ってもらう事にハマっている。

 

 お庭に行った時に思ったんだ。

 これってリアルアリスが出来るんじゃない? って。

 

 苗字が有栖川だっただけに、子供の頃からいじられてきた。小さい頃からにょきにょき身長が伸びたため、デカ女と言われ続けてきたが、ここでは私は誰よりも小さい。

 それにここには誰も知り合いがいない。

 旅の恥はかき捨てではないが、私がする事はこの世界では誰も知らない事なのだから大丈夫!!


 て事で、アリスのコスプレを作ってもらいましたー!!


 ディアナさんはすごいっ!

 私のなんちゃってアリスのイメージ画を、ちゃんとしたデザイン画に出来ちゃうんだから。そしてそれを素晴らしい出来で再現してくれている。


 レギンスらしき物を作ってくれたので、スカートが短くても心配ない。


 鏡の前でくるりと回って見てみる。

 うん、完璧。


 多少恥ずかしいが、そこは異世界って事で。

 羞恥心さんも依然、旅に出たままだし。


 ディアナさんも侍女さん達も褒めちぎってくれるので、おかしい訳ではないハズ。


 

 ディアナさんにお庭に連れて行ってもらって散策に行くことにした。

 その時遠くから音楽が聞こえた。


「今日は何かあるのですか?」

「そういえば、王妃様のガーデンパーティが開かれているそうです。国内の若い子息子女が集められているそうですよ?」

「ディアナさんは行かなくて良かったのですか?」

「はい、私はアリス様のお側に居る事の方が重要ですから」


 うーん……まあ、ディアナさんが良いと言うならいっかな。



 小さな生垣も私にとっては巨大迷路。

 わくわくしちゃうねー。


 と言っても後ろからディアナさんはついてきてくれているし、少し離れた所には護衛さんがいるので、実際に迷子になる事はない。


「今日はお天気が良くて気持ちがいいですね」

「はい、良かったです。アリス様、楽しいですか?」

「うふふ、ディアナさん。お洋服有難うございます。すっごく楽しいです!」

 

 しばらくお散歩していると、ガヤガヤと誰かが近くにある四阿にやって来た。

 誰かな? とこっそり生垣の間から覗いてみると、真紅王子と年の近いイケメン達が居た。

 彼は私の事を嫌っているので、見つかると面倒になるかも。

 そう思ってそっと離れたが、当然足が遅いので離れている途中で彼らの会話が聞こえてきた。



「クロード、気に入った子は居たのか?」

「あー……特には。大体今回のは兄上がメインだろう? 全く……面倒な事だ」

「仕方ないだろう? 聖女様と婚約出来ないなら、早々に決めなければいけないもんな」

「そうだな。すでに他国の王族に、年齢の合う王女はいないのだし、国内で探すしかなろう」

「アイツのせいで兄上が迷惑を被っている! なんで我が国の聖女がアレなんだ? ハズレじゃないか!」

「ハズレって……流石に不敬じゃないのか?」

「いや、陛下だって使えないと言っていた。アレはハズレ聖女で十分さ」

「ははは、ハズレ聖女か。言い得て妙だな」

「全くだ!」

 

 一頻り笑い合った後、彼らは「さて、あまり抜けていると母上に叱られるからそろそろ戻るか」と言って去っていった。


 彼らが見えなくなった後で、ディアナさんがぶるぶると震えながら言った。


「何て失礼なっ! 信じられません、あれが我が国の王子の発言などとはっ! アリス様、申し訳ございません!!」

「ディアナさんが謝る事はないですよ? それに……本当のことだし」

「そんな事はありませんっ!」

「ありがと。……ちょっと疲れちゃったからもう帰りたいな。連れて行ってくれる?」

「……はい、勿論です」



 テンションだだ下がりで、ディアナさんに抱っこされて自室に戻る。



 ハズレ聖女かぁ……。


 まあ、確かにそうなんだけどさ〜。



 はぁ。



 


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