13.夜中はヤバイ
ふっと目が覚めて、泣いている事に気付いた。
──あぁ……懐かしい、愛しい夢を見た。
むくりと起きて、ベッドに端に置いてある水を飲む。
久しく見ていなかったのに……朝のルーシャス様の想いに共感したからだろうか。
何をしても良い。
ただ生きていてくれれば、それで良い。
そんな事を私も思っていた事があった。
物心ついた時から一緒にいた黒猫のネロ。
落ち込んでいる時には必ず側に来てくれた。
学校での悩みやいろんな話をしたし、全力で甘えても仕方ないなぁって許してくれた存在。
いつでも側にいて、子供だった私はそれがずっと続くものだと信じていた。
でもいつからか、上れたところに上らなくなったり、食の好みが変わってきたり、寝てる時間が増えた。
確実に老いを感じるようになり、その頃になってようやく寿命が違うのだと分かった。
晩年には息をするのも辛そうなのに、私が側にいると嬉しそうにゴロゴロいってた。
毎朝息をしているのを確認して、生きていてくれることに感謝した。
生きていてくれれば、ただそれだけで良かった。
毎日毎日、神様に祈った。
どうか、連れていかないで、と。
勿論そんな私の願いなど、聞き届けられる筈もなく。
ネロは逝ってしまったけれど。
ペットとは絶対的庇護対象であり、ただただ愛を注げば良い存在だと思う。
無論責任は伴うが。
言い方は悪いが、ルーシャス様は私をそう見ているように感じた。
確実に別れが来る事を知っていても、一緒に居たいと願う。
よく別れが辛いからペットは飼わないという人がいるけれど、私はそうは思わない。
たとえどんなに別れが辛くても、出会わないよりは全然良い。
共に過ごした時間や思い出は、他の何にも変えられないものだもの。
忘れてないよ。
膝に乗る重さも、背中を歩く感触も。
私を見上げる綺麗な瞳も、触り心地の良さも。
全部全部愛してた。ううん、今でも愛してる。
ペットに対する愛情は、恋愛のそれでも、家族のそれでもないと思う。
ルーシャス様からはそんな深い愛を感じた気がした。
勿論自分一人じゃ生きていけないので、庇護してもらう気は満々だけど、それと結婚とはまた話が違うと思うんだけどなー。
うーん……それともこの世界では結婚しなければいけない何かがあるのかな?
あー……。
夜中に考えるのは良くないね。
思考がぐるぐるしちゃう。
まあ、ルーシャス様が望むのなら、それも良いかな。
まさか自分が置いていく方になるとは思わなかったけれど。
はっ!
待ってっ!!
て事は、私だけ歳をとっておばあちゃんになっちゃうじゃん。
ルーシャス様に老後を見てもらうって事?
……それは嫌かも。
うにゃーっ!
やめやめっ!
さて、勉強の続きでもしーようっと。
以上、深夜テイストでした。




