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カモシカ  作者: 百舌鳥屋
6/6

復活

隆弘は、オフロードバイクの費用調達の為にバイトを始めた。高校中退。かと言って仕事をしても長続きのしない隆弘にとって働くという事は拷問に近かった。


「おーい。バイト。これ運ぶの手伝え。」

と、年配の親父が隆弘に声をかけた。隆弘は今…引越し屋のバイトで修理費用の工面をしていた。正直、今まで好き勝手にしてきた隆弘にとっては人に指図される事が何よりも腹立たしくストレスがたまる。


「あぢぃー。働くのも楽じゃねぇーな。かと言って、かずちゃんに出世払いとか言ったら即却下だもんなぁ。働くしかねぇーか」


ブツブツ言いながら作業をしていると電話が鳴った


「隆ちゃん。今日、バイト終わったらおいでよ。隆ちゃん好みのパーツが揃ったから…。」

「うん。行く行く。六時くらいになっちゃうけど必ず行くから」と電話を切った。急に何だかやる気が湧き出てきた


「おっさん。これ二階だよなぁ?」

「おっ。バイト。どうした?急にやる気出して笑。まぁ、ええ。さっさと片付けて終わらせてしまおか。」


隆弘のやる気に促されたオヤジもテキパキと仕事をこなし予定の時間よりも早めに仕事を終え、かずの家に向かった。


「かずちゃん。まいどーぉ!」と、いつものように、かずの自宅ガレージのシャッターを上げて中に入ると、前に追いつかなかった奴が隆弘のバイクをかずと一緒に眺めていた。


「おー。隆ちゃん。まいどまいど。」かずが愛想よく答えた。それで、横にいた奴も隆弘を見て

「なんだ。おまえ。オフを始めようって?かなり悔しかったのか?」と馬鹿にするように言った


少しムッとしたが

「少しはある。でも、あんたに追いつかなかった後に、たまたま見てたテレビのCMで砂漠でカップ麺食ってるのを見て、なんとなくな…。」と答えた


「なんとなく…って?笑」

「だから何となく…あれだ。」

「あれって?なんだよ?」


その会話を聞いていたかずが二人の会話に飛び込んできた。


「北村。もうええやん。隆ちゃんには何かオフロードに魅力を感じた。ただそれだけで」と、北村の方を見ていった。そして隆弘の方を向いて


「隆ちゃん。こいつ北村っていって、俺と同級なんよ。で…こいつも、元々は隆ちゃんみたいにスピード狂で、スピードにバイクの良さを魅入らないとオフロードに転向した。そういう奴。だから、隆ちゃんとは似てると思うよ」


「へぇー。そうなんだ。オンなら、この北村って人には負けなかったのかも…」

北村の方を見て隆弘が言うと

「あはは。井の中の蛙って怖いなぁ」と笑いながら答えられたのに、隆弘は妙な親近感を覚え、さっきほどムッとした感覚は無かった。

「ところで、おまえ…さっき、かずちゃんからも聞いてたけど、速いって…オフの設定って、道無き道を行くのと、林道みたいな砂利道を行くのと、砂深いダートを走るのでは全く設定も変わるが…なんか目的みたいなんはあるんか?」


隆弘は、目をパチクリさせた。


「え?オフって…どれもこれも同じじゃないのか?」

北村は呆れたように

「ばぁーか。オールマイティな設定だと考えてるよりも走れんし、バイクを傷めるだけ。一回、俺らのクラブで走ってみるか?」

「え?クラブ?暴走族みたいなグループがオフでもあるんだ笑。行く行く。」と、隆弘は北村に答えた。その間を割って入るようにかずが口を挟む


「隆ちゃん。先ずはコレ直さなきゃ。」

隆弘は慌てたように「うん。うん。」と答えた。かずがチョイスしたパーツは、一般的にオンでもオフでも対応できる。ほぼノーマル設定。しかし、オフロード未経験の隆弘にとっては、この設定でも手に余るが、まずは直して乗る事を最優先に作業が進められた。

「おー。これが、これからの俺の相棒かよ!なんかワクワクするなぁ」


「でも、隆ちゃん。これはあくまでも純正に少し手を加えただけだから、隆ちゃんがどの程度求めるか?わからないけど普通に楽しむ分には十分だから」とかずは隆弘に伝えた。

「あ。そんで…隆ちゃん。この前に会った北村が、今週末に山に入るって言ってたから、少し早いけど土曜の朝七時。うちで待ち合わせしたらいいよ。」


「あー。ほんまに?楽しみやわあー。あの北村って人、俺の凄いところ見せたれるわ。」と目をキラキラさせた


「あー。隆ちゃん。見せれたらええけどね」とかずは意味深く笑って答えた

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