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カモシカ  作者: 百舌鳥屋
3/6

再会

「かずくーん。こんちわぁー」


ガレージを開けて作業をするかずに声をかけた。この”かずくん”という男はポンコツ屋の長男で隆弘と信之の一つ上の先輩になるが、不良とは全く縁の無い、ただただバイクいじりが好きな、金の無い2人にとっては貴重な存在であった。


「かずくん。俺の単車直った?」と隆弘がかずくんに声を掛けると


「隆ちゃん。直ってるよ」と数が答えた。隆弘は、全くのバイク整備に関しては無知であった。知ってる事といえばガソリンを入れなきゃ走らない…という程度。当然…オイルなんて何処から入れて、何処からオイルを排出するなんて事は知らない


「隆ちゃん。少しはバイク整備覚えた方がいいよ。でないと…いつか大きな事故起こすよ。」と隆弘に言うと、隆弘は頭をかきながら


「だって…かずくんがいるし。俺みたいなんが触れば、余計にバイク壊しちゃうよ」


かずくんは少しため息をついた後に

「隆ちゃん。今回のは故障じゃなくて…タイヤがガチャガチャと音を出してるんじゃなくて、乗り方が荒いからチェーンが伸びてんだよ。」


「なるほど…。」と言いながら、ニヤッと笑って「期待してるよ」と肩を組んで頼んだ。走行しているうちに…


「こんちわぁー。かずくんいてる?」と1人の男が訪ねて来た。その男を見るや否や…隆弘が怒鳴った。


「おまえ!この前の…」


その大きな声に一瞬ドキッとしたが男が隆弘に反応した


「この前?この前って?」と首を傾げて隆弘の事を見ている。


んー。んー。んー。んー。と腕を組み目を瞑り思い出そうとするが思い出せずにいる様子で


「誰だっけ?」と本当に隆弘の事は忘れているようだった。すると隆弘は、その男のそばまで近付き、さっきよりも小さな声だがドスの効いた声で


「この前、コンビニでおうたやろ?で、俺らから逃げたん覚えてへんのかよ?」


目をパチクリさせ、その男が隆弘の方をジッと見つめて言った


「あー。ちょっと前にコンビニで”俺は速い”とか言ってた割には、俺に追いつけへんかったヤンキーの兄ちゃんかいな。」と笑いながら応えた。


隆弘はその言葉にイラッとして男の胸ぐらを掴もうとした時に、かずくんが大きな声で


「隆ちゃん。やめときぃー。手ェ出したら、もう隆ちゃんのバイク見てあげへんで!」その声に制止された隆弘は相手の男を睨みつけ、かずくんに背を向けて


「かずくん帰るわ。」と言いガレージから出て行った。そして数日後…かずくんのガレージの奥にある、あのだっせぇーバイクと同じ様な単車に出会った。見るからに事故車だ。隆弘と隆弘達がだっせぇーと笑った単車に…隆弘達が追いつく事の出来なかった単車に出会った

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