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プロローグ

見切り発車です。よろしくお願いいたします。

最近、よく夢を見る…

訪れたことのない、白い砂浜に波がざざんと押し寄せる。


私の背後を振り返ると高い崖があって、そこには背中に大剣を背負った、とても大きな隻眼の騎士がいて、その右隣には銀髪のまるでビスクドールのような愛らしく整った顔の幼女がいて微笑んでいる。


その左隣にはいたずらが大好きそうな、少年が鼻を親指で擦っている。


コスプレ?どこかで会ったのだろうか?


記憶にはないはずの、見知らぬ土地であるはずのその光景が、私にはひどく懐かしく感じられていた。


上空を一羽のカモメのような鳥が鳴き声を残して飛び去り、その鳥を目で追って振り返れば、暗くうねる海からは歓声とも、唸り声ともとれる数多の雄たけびが聞こえ…

そこでいつも私は目を覚ます。


「愛子?起きたんなら早く朝ごはんを食べて… あら?また編集しながら寝たのね。困ったお嬢様だこと」


二階の私の自室兼編集スタジオの扉をノックと同時に開けた母が「ほほほ…」と笑いながら早くダイニングにきてねと言葉と足音を残して階下に向かう。


「お母さん、入るときはノックしてって…」

まあ言っても暖簾に腕押し、言い返しても「あら?ちゃんとノックはしたわよ?」と返してくれるまでが我が由良辺家の朝のルーティンだ。


うーんと伸びをして、もそもそと身支度。


冴えない顔を洗面所でひっぱたいたあと、そのままダイニングに向かう。頬にはキーボードの跡が残っているのはないしょだ。


今日は野外を歩きやすいように、茶色とオレンジの中間ぐらいの色でパンツスタイルを選んだ。


「愛子は定職にはつかないの?お隣の恵ちゃんは製薬会社に就職して、もう部下も出来たって言ってたわよ?」


椅子に掛ける前にジャブを打つのは、やめてほしいものである。

一瞬、乙女が出してはいけない声が出そうになったではないか。


香川の田舎町に住んでいる我が身としては、割と濃い人付き合いのあるご近所ネットワークの呪縛からは易々とは逃れられないらしい。


「はいはい、でもちゃんと私も稼いでるでしょ?」


「知っているけれど…マイチューバーってお仕事としてはどうなの?浮き沈みも激しいらしいし…愛子もいい年だし、いいひとの一人や二人、いるんでしょ?」


就活の話題にえぐりこむようにして、ならば嫁に行け、早く出ていけと朝っぱらから暗にプレッシャーをかけるのは、やめてほしいものである。


まったく…この遺伝子の半分の提供者である我が母としてはいかがなものか。


品が良いといえば聞こえは良いが、由良辺の血は、その…本当に地味なのである。


なにがとは聞かないでほしい。足元を見下ろして、その清々しいほどすっきりした胸部が、自分のお臍を見る妨げにならないほどには上品…いや違う!清貧なのだ。


誰だ!貧相って言ったのは!


いえ…違うわね。わかってはいるのだよ!

母の遺伝子のせいなどではないと。

小さいころから楽器を奏でるのがとても好きで、手を出した楽器は数知れず。


ただただ奏でること、歌うことがたまらなく好きで、音大をでて何かの巡りあわせか成り行きか、気が付いたら地元の今にも消滅しそうな管弦楽団に所属していた。

母いわく「愛子は見かけによらず猪だねえ」だそうで。


うん…ちょっとは自覚はあるよ。自重はしないけどね。


そして、ある日その楽団に解散の危機が訪れた。

とにかく知名度を上げなければと、いろいろな努力…悪あがきを重ねた末にマイチューバーの道にたどり着いた。

フラッシュモブや、"歌ってみた"や"奏でてみた"をやり、ストリートピアノに手を出して、さらには"楽器を作ってみた"もやった。


この"作ってみた"シリーズが意外にも再生が伸び、様々なキットを組み立てたり手作業で完成させた楽器は10を下らない。


モノづくりで有名なマイチューバーTOTIGI‐18さんともコラボしてバイクなんかにも手を出したこともある。


楽器作成で力をお借りした馬淵創造工房の社長の伝手で、なんと動くガンダ〇のお披露目に楽団の生演奏の機会をいただいた。

「愛子ちゃんが動くと何かが起こるね…」とチェロの根津ちゃんが遠い目をしてたっけ。


さて順風にのってこれから。

そんな日が明日も続くと思っていた矢先。

わたしはMVを撮ろうかと下見に立ちよった海岸で、突然の落雷にあう。


確かに雲は垂れこめていたけど、何の予兆もなかったのに。ピンポイントで私にズドンとか…誰が想像するよ。


直撃。

これは死ぬ。走馬灯の時間はあったのか、なかったのか。

唐突に途切れる意識…

その刹那に願ったのか、それとも身体を離れた魂が見た幻想だったか…


ああ、お披露目の威風堂々やりたかったな…


私は多分願ったんだと思う。

ああ、神様…次の人生も音楽に関わりたいです、どうか… どうか… と。

               

こうやって、長編の作品に取り組むのは初なので、何かと至らないところも散見すると思いますが、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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