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主人公じゃない!  作者: ウスバー
第六部 全てを知るモノ
148/184

第百四十四話 女神との再会

うおおおおおおお!!

今日も(ちょっと遅めになっちゃった気がするけど概ね)更新間に合ったぜえええええええええ!!



もはや恒例というか、更新のたびに毎回言っていて申し訳ないんですが、読んでいて「これはもしや!」と何かに気付いちゃった方も本編で明かされるまでは感想欄ではあまり触れないようにしてもらえると助かります!

特にこの第六部は五十話先とか百話先に使う伏線が「地雷原かな?」って勢いで大量に埋まっているので、どうかご協力お願いします!


「――圧倒的じゃないか、我が軍は」


 思わずそうこぼしてしまうほどの快進撃。

 王都の遺跡〈屍兵の戦場〉は、かつて攻略した〈死の番人の洞〉よりも全体的な難易度は上のはずだが、まるで相手にならなかった。


(ま、まだ解放された遺跡は一ヶ所だけだからな。こうなるのも当然か)


 攻略した遺跡はフィンが一人で攻略したものと、俺たちが攻略したもので二つだが、俺たちはボスを倒してそのまま帰還したため、難易度の上昇はされていない。

 なので遺跡の攻略難易度としては、ゲームで言えば中盤の初め程度が適正といったところか。


 対して現在の俺のパーティ、いや、六人を超えているのでパーティと言えるかは分からないが、その陣容はそうそうたる顔ぶれだ。


 まず、王都でのレベル上げによって、ゲーム開始から半年程度のこの時期に、なんとレベルを四十近くまで上げてしまったラッド、ニューク、プラナ、マナの四人。

 本来「主人公」よりも素質値が低いはずの彼らだが、効率的にクラスや装備を変えることによって、俺がゲームをしていた時の「主人公」よりも数段強くなっている。


 以前よりも連携も強化されていて、タンク寄りの前衛であるラッドが敵を引き付け、ニュークが補助と魔法でのサブアタッカーを担い、ダメージソースとしてプラナが射撃をして、マナが全体の回復とサポートを行う役割分担を、まるで呼吸するようにこなしている。


 特に戦力アップしたのは、意外なことにプラナだ。

 彼女は俺が錬金術で作った矢を使って攻撃しているが、その矢は作成者の魔力が高ければ高いほど、その威力を増す。


 ――つまり、俺の魔力が上がれば上がるほど、プラナの攻撃力も上がっていくことになるのだ。


 今朝作ったばかりの新しい矢の威力はすさまじく、一射一殺のペースで魔物たちを的確に刈り取っていく。

 だが、それ以上に目を引くのは、



「――〈バーニング・レイブ〉」



 静かな宣告と共に戦場を支配する銀髪の剣士、フィン。


 仲間キャラとして最高の素質を持ち、さらにそこに反則スレスレの手段での強化まで行った、最強の剣士。

 その千にも迫ろうという筋力の数値は、特化したラッドたちの能力値の実に倍。


 鎧袖一触というのがふさわしい無双振りで、魔物たちを蹴散らしていく。

 その反対側では、



「――〈冥加一心〉〈オーバーアーツ〉〈スティンガー〉」



 縦横無尽に戦場を駆ける青髪の妖精、レシリア。


 流石に純粋な火力ではフィンに劣っているが、レシリアには二刀流と、アーツを重ねる〈ダブルアーツ〉が使えるという強みがある。

 二刀による圧倒的な手数と、速度上昇効果のあるアーツを移動に使えるという利点により、その格下に対する殲滅力はフィンを超えるほどだ。


 そして最後に……。


「ファイア! ファイア! ファイア! ファイア! ファイア!」


 魔力値千二百、装備効果によって実質二千四百という圧倒的な魔力を持ち、七十五という圧巻のレベルを誇る俺、レクス・トーレン。

 まあ魔力値は高くても魔法を自力で唱えられないとか、レベルは七十五あるけど能力の合計値はレベル三十の時のラッドたちよりも低いとかいう些細な問題はあるが、とにかく砲台としての火力は屈指のものだ。


 杖を利用した初級魔法の連打でも、バカみたいな魔力値とアホみたいなMP量で撃ちまくれば格下相手には十分な脅威。

 まして、こういう弱点属性がはっきりしているダンジョンなら、一方的に殲滅出来る。


 レベル差があるため経験値なんてほとんど入らないし、この中で俺だけ突出してレベルが高いためパーティにも入れずぼっちだが、それはそれとして戦力として貢献してる感がたまらない。


(〈魂の試練〉前は、ぶっちゃけクソ雑魚ナメクジだったからなぁ)


 やっぱりバランス振りとか害悪だわ。

 均等振りが許されていいのは小学生までだよなー、とかなんとか考えながら、俺たちは快進撃を続け、あっという間に、ボス前の扉まで辿り着いてしまった。


 ただ、ここから先は、流石に楽勝、とはいかない。


「ここのボスは、〈猛将フェニル〉という『指揮官型』のボスだ」

「指揮官型、ですか?」

「ああ。ほかのボスが一体、あるいは二、三体程度でその力を見せつけるのに対し、ここの守護者である〈猛将フェニル〉は集団戦でこその強みを持っている」


 遺跡のボス、守護者というのはどんな相手であっても一筋縄ではいかない。

 それは当然、ここのボスの〈猛将フェニル〉も例外ではない。


「こいつはランダムな取り巻きモンスター十体を連れて参戦するんだが、〈将軍の覇気〉ってとんでもないバフ技を持っててな。こいつを使うと、部屋にいるモンスターの攻撃力と防御力が一定時間三倍になるんだよ」

「さ、三倍ですか!?」


 ニュークが驚いた声をあげるが、無理もない。

 あまりにも雑に強すぎるバフで、本当に嫌になる。


「だ、だったら先に取り巻きを倒すのが正解ってことに……」


 その言葉に、俺はまたしても首を振る。


「こいつが厄介なのはそこでな。部屋のモンスターの数が三体以下になると、今度は自分自身がパワーアップして暴れだすんだ。パワーアップした〈フェニル〉の力は通常の倍。今の俺たちでも、まともに攻撃が当たれば一発で終わる可能性があるな」

「取り巻きを残してもダメ、一人にしてもダメ。じゃあ、一体どうするってんだよ」


 焦れたラッドに、俺は口の端を上げてみせる。


「よく分かってるじゃないか。取り巻きを残してもダメ、一人にしてもダメ、だったら……」

「だったら?」



「――両方やらなきゃいいのさ」



 ※ ※ ※



「最初が肝心だ! 頼むぞ!」


 これがもっと攻略が進んでボスのレベルが上がると開幕で〈将軍の覇気〉を使ってくるのだが、この強化段階ではそこまではされない。

 だからこそ、相手がバフをかける前に、取り巻きを一掃する。


「〈フレア・カノン〉!」

「〈ホーリーランス〉!」

「〈ミラージュ〉!」


 入室と同時に後衛組が叫び、色とりどりの魔法が、矢が、取り巻きたちに殺到する。

 そして、


「よし! 全員倒せた! ……おっさん!」

「ああ、任せろ」


 取り巻きがやられ、部屋にいるモンスターの数が三体以下になった時、ボスである〈フェニル〉が狂乱状態になって暴れ出す。


 だが、それはそのまま戦った場合。

 だから俺は、インベントリから「とある装備」を取り出す。



「――頼むぜ、お前らの、出番だっ!」



 そう叫んで取り出したのは、ミミックが擬態したスティールソード。

 放られたスティールソードは次々に本来の魔物の姿を取り戻し、ミミックによって部屋の中のモンスターの数は四体になる。

 これで、フェニルの狂乱は抑えられる。


 さらに……。


「――〈将軍の覇気〉!」


〈猛将フェニル〉が吼え、バフがミミックたちに降り注ぐが、もともとミミックはレベル十程度の雑魚モンスター。

 それがいくら強くなったって、今の俺たちの敵ではない。


 全く意味のないバフを繰り返し、本気を出せないボスと、攻撃手段に乏しく、バフされても威力がまるで足りない攻撃をするだけのミミックが、今の俺たちに敵うはずもなく……。


「――敵将、打ち取ったりぃ!」


 結果的に、俺たちは完封に近い形で、ボスを倒すことが出来たのだった。



 ※ ※ ※



(……ハメを使ったとはいえ、思ったより呆気なかったな)


 そんな風に思ってしまうが、まあそんなものだろう。

 相手がストーリーボスだろうがなんだろうが、この世界のベースはゲーム。


 物語的にどんな重要キャラだろうが、強さはステータス数値で決まる。

 ラスボス相手だろうがステータスを上げていれば無双出来るのが正しい姿なのだ。


 それに、今回のメインイベントは、そこじゃない。


 ボスを倒したことで、光の女神を縛る「封印」の様子が目に映る。

 そして、その前に立つ、実態を持たぬ女性の姿も。


「あ……」


 それは、美の化身だった。

 画面越しではないその姿は二度目であるにも関わらず、圧倒される。



 ――〈救世の女神〉フィーナレス。



〈光の王子アイン〉や〈剣聖ニルヴァ〉と並び、ブレブレの顔とも称される彼女は、俺たちを見るとほんの少しだけ目を見開いた。

 それから、その美貌にふさわしい完璧な笑顔を浮かべ、



《――あなたたちを、待っていました。よく顔出せましたねぶん殴っていいですか?》



 ……と、女神らしからぬ言葉をのたまったのだった。

(リアル時間で)二年越しの再会!!




追記

エイプリルフール、感想欄見ると引っかかった人が喜んで、引っかかれなかった人が難民化してるとかいう謎の状況になっててちょっと笑いました

5月半ばくらいに更新再開予定です

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ちょっとした記入ミスで、登場人物も、世界観も、ゲームシステムも、それどころかジャンルすら分からないゲームのキャラに転生してしまったら……?
ミリしら転生ゲーマー」始まります!!




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― 新着の感想 ―
つまり、敵の属性がハッキリしないと、属性ごとのアイテムを両手一杯に持って行く羽目に。
[気になる点] 錬金術に集中は必要ないのか必要な時だけ装備を付け替えてるのか
[一言] エイプリルフールネタ、データとして残っていたら、書籍版には残しておいてほしいと思う。
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