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ありえない・・・。
剣から私に対しての“好き”って言葉を聞けるなんて・・・。
「乙葉?」
はっ。
剣の声で我にかえった。
「返事は?」
返事って・・・告白の?!
私は顔を赤く染める。
「でも・・・私達兄弟だし・・・」
「さっき兄弟じゃねーって言ってたじゃん」
たしかに・・・。
「でも戸籍上は・・・」「乙葉」
私の言葉を消した剣の真剣な言葉。
「自分の気持ちに素直になれよ」
私は剣の顔を見た。
剣の瞳は真剣だった。
・・・剣の言う通り。
私自分の気持ちごまかしてた。
・・・でも・・・。
「私は・・・」
私達の関係は・・・。
「剣のコト・・・」
いけないことなんだよ・・・。
「・・・好きじゃない」
たとえ実際は兄弟じゃなくても。
戸籍上は兄弟。
私達の関係を誰も信じるわけがない。
怖いンだ・・・離れ離れになるのが。
私の瞳からぽろぽろと涙があふれ出る。
「嘘だろ?」
「ホントだよッ」
私は頑張ってあふれ出る涙をこらえる。
でもどうしても溢れてしまう・・・。
「・・・じゃあなんで泣いてンだよ?」
“ホントゎスキだから”
なんて言えないよ・・・。
私は黙って走り出した。
ゴメンね・・・・・。
こんな弱いお姉ちゃんで・・・。
しばらく走ってようやく家についた。
私はドアを開ける。
玄関に足を踏み入れる。
妙に玄関ゎしーんとしていた。
なんか怖くなってきた・・・。
そりゃ今は誰もいないケドさ〜。
私はリビングに入り、ソファーにカバンを置く。
そしてリモコンを手に取り、テレビの電源スイッチを押す。
初めに映ったのは不動産系のCM。
昔は剣と一緒に暮らすなんて思ってなかったな・・・。
もし、剣に彼女が出来たら・・・。
私はこの家を出て・・・。
私は近くにあったクッションに顔をうめる。
はあ・・・。
何回でも出てくるため息。
明日・・・不動産屋さん行ってこよかな・・・。