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「・・・ねえ!」
私は剣につれて行かれて歩き続けている。
呼びかけたのに無理する剣。
ちょっとくらい返事してくれたっていいじゃない・・・。
どこ行くンだろ。
もしかして、さっき否定し続けたから怒ってるとか?
もしそうだったら謝らなきゃッ。
「剣、怒ってるンだったらゴメンねッ」
そう言った瞬間、剣が立ち止まった。
私も足を止める。
「・・・剣?」
「よしっ。ついたぞ」
「へ?」
私はあたりを見回した。
ココは・・・動物園だ。
「動物園?」
「そ。乙葉スキだろ?動物」
剣・・・覚えててくれたンだ・・・♪
「うん♪♪」
「じゃあ入るか」
剣はまた私の手を引っ張って歩き出した。
私はついて行くだけだった。
私達は動物園に入った。
「何からみる?」
剣はパンフレットを開いて私に尋ねる。
私はパンフレットを覗き込む。
「ンー・・・近くカラまわって見て行こうよッ!」
「分かった」
剣はパンフレットを閉じてジーパンのポケットに入れた。
「ン」
剣は右手を差し出す。
私はこの意味が分かった。
“手をつなぐ”という意味だと。
私は左手で剣の右手を握った。
私達は並んで歩きだした。
周りから見たら私達ってカップルだよね・・・?
でも実際は姉弟なんだよ。
こんなの・・・苦しいよ・・・。
「ペンギン見るか?」
優しく話しかけてくれる剣。
そんな優しさに涙が出てくる・・。
「え。なんで泣いてんの?!」
急に泣きだした私に驚く剣。
急にビックリしたよね・・・。
ゴメンね・・・。
私は涙を指で拭う。
「なんでもないッ!ペンギン見よ?」
私はなにもないふりをして剣を引っ張った。
「お・・・おう」
私達はペンギンのいるところに着いた。
ペンギンはいっぱいいて、トコトコと可愛らしく歩いたり、泳いだりしていた。
そんなペンギンに私はとても好奇心をもった。
「かーわいい〜♪」
私は頬をピンクに染めた。
「おめーのが可愛いけどな」
剣がボソッと何か言ったみたいだけど聞こえなかった。
「なんか言ったー?」
そう聞いた瞬間、剣の顔が赤くなった。
「なんでもねーし!」
ぷいっと私と反対を向く。
そんな行動がとても可愛くて・・・。
「なになに?気になンじゃん!」
もっと愛おしくなっちゃう・・・。
「なんでもねーっつーの!」
剣すごい顔真っ赤だよ・・・?
「ぷっ」
私はつい笑ってしまった。
「な、何笑ってんだよッ」
「ごめっ・・・つい・・・ぷぷっ」
笑いが・・・止まらないっ!
「ぷっ。ははっ」
剣も私につられて笑いだした。
私達は笑い合った。
「・・・乙、葉?」
この背後からの言葉に私達の笑いが止まった。
私は振り向いた。
そこには2・30代の女の人が立っていた。
この人・・・誰?
てか、なんで私の名前知ってンの?!
私と剣は目をまるくして女性を見た。
「あら、やっぱ覚えてない・・・か」
女性は少し悲しい顔をした。
覚えてない?
どういう意味なの?
「私は・・・あなた達の母親なのよ」