現実世界でステータス画面が出てきた
朝起きて、ぼーっと天井を見上げる。特に何も変化のない日常の始まりだ。
起きて、携帯を触り、ロックを解除する。
昨日寝落ちをしたのだろう、小説サイトの画面を閉じ、SNSを見る。
現実は小説のように変化に富んだ世界ではなく、SNS上には何時ものように付き合いの浅い友人達が何かをつぶやいている。僕はそれを10分程見て、小説サイトを再び出す。
「ふぅ」
朝から憂鬱になっている場合ではないと息を軽く吐き、気分を持ち直す。
そして、小説に目を通す。
寝ぼけていたからであろう、見ていたはずなのに記憶にない場面を読み直す。
少しして、きりが良いところで携帯を置き、風呂に入る。
僕は朝風呂派なのだ、風呂に入らないと目が覚める気がしない。
風呂に入りつつ、小説の中の世界のようにならないかなぁ、と取り留めのないことを考え始める。
異世界にいけたら、僕だったらこうしたいなど、言葉にすると馬鹿馬鹿しいが、頭の中で何を考えようが自由だ。
まず、自分のステータスを確認し、攻撃力や魔力が高ければ冒険者となり、そうでなければ商人などなど・・・
異世界だとやれることがたくさんある。それをやってみたい。
「ステータスねぇ・・・」
自分で考えたことをシャワーを浴びて冴えてきた自分自身で馬鹿馬鹿しく思い、鼻で笑う。
だがしかし、ふと気づくと目の前には
ステータス
HP:100
MP:0
攻撃力:50
防御力:50
素早さ:50
緻密さ:50
魔力 :0
運 :50
スキル
ステータス鑑定
・・・本当に出た。どうしよう・・・・
どうしたら良いかわからず、素早く体を洗い、風呂を出る。
・・・とりあえず落ち着こう。
椅子に座り、一息つく。
平常心を取り戻そうと僕は朝ごはんを食べることにし、パンを食べながら考える。
今日は休日で、特にやることもない。とりあえず外に出て、ほかの人のステータスが見れるか確認してみよう。
そう考え出し、パンを頬張り、支度をし、外に出る。
人を探し、あてもなく歩く。
そして、すれ違ったジョギングをするおじさんを見つつ、ステータスと心の中で唱える。
幸い、ステータスと心の中で思うことでも出すことが出来、そしてほかの人にも使うことが出来た。
出てきたものは
ステータス
HP:100
MP:0
攻撃力:55
防御力:55
素早さ:55
緻密さ:40
魔力 :0
運 :47
おじさんは僕よりも強いのか・・・と少し傷つきつつ、ほかを当たる。
人を見つけては鑑定を続けた結果、大体の人はどれも僕の±10位で収まり、特出した人はいない。
これからどうしようかなぁっと考えながら暇な休日の時間をつぶす。
ステータス画面を見つつ、家のドアの前でふと、頭をよぎった。
この平和な現実で攻撃力や防御力を知って、どうなる?
僕はまた馬鹿馬鹿しく思い、ステータス画面を静かに閉じ、家の中に入った。
現実世界で知力がないステータスが出てきても、そんなに意味がないんじゃないかと思う。