4話 護衛
「・・・護衛っていっても流石にこれはねぇよ」
「そんなに嫌なら任務降りてもいいのよ?というより貴方の腕慣らしのためにわざわざ依頼したのに・・・」
「まぁ気遣いには感謝するべきなのかもな。ありがとう、リリィ・・・あと普通に名前で呼んでくれるとこっちとしては楽だよ」
「別に気にしてないわ、こっちとしてはいい暇潰しになるわ・・・ジュン」
俺は現在リリィの護衛についている
内容はリリィの職場への往路の護衛
片道5kmほどあるらしい、この世界でも距離や時間の単位は同じようだった。
石畳で構成された道、モンスターの姿はない。
「ほんとにモンスターっているのか?さっきから全然姿を見かけないんだが」
「ここまで3kmほど歩いてきたけどそれまでで大体10匹はいたはずよ」
「・・・まじですか」
気配とか全くしないんですけどーーーーーーー!!!!
「もちろん。ただ、ここら辺の雑魚モンスターってのは基本的には私達より立場が低いの。何故だかわかる?」
「・・・わかりません」
「それは彼らが“駆逐される側”ってこと。それだけよ」
なるほど、RPGなどでは確かにモンスターは最終的には搾取される側である。言葉では理解できた。
ただ脳内ではどうしても受け入れられない
あの時見たゴブリン
鮮烈な印象、圧倒的な恐怖、そして悟った。殺されると。
「俺の見たゴブリンは俺を殺そうとしてたぞ、殺気が凄かった・・・」
「それは貴方・・・ジュンが怯えてたからよ」
「怯えてたって!あんな場面に遭遇したら誰だって怯えるだろ!!・・・あんなの見たの初めてだったんだから・・・」
リリィの言葉に思わず語気を乱してしまった
しかし、なるほど。
怯えることと殺す殺される立場に関係があるんだ
「俺が怯えてたからゴブリンは殺す立場であると認識した」
「そうよ、中々理解が早いのね。ジュンの住んでいた世界はどうだか知らないけど、この世界は弱肉強食。弱い者は強い者に虐げられて生きていく。ただ弱い者はそう簡単に強くはなれない。だから隙を狙って生きていくの」
「大体の事情はわかった、だがわからないのがひとつ、護衛の必要性だ。リリィは現にモンスターを寄せ付けてない上に、モンスターの気配まで把握してる。護衛なんていらないんじゃねぇのか?」
そうこう会話している間にリリィの職場に着いた、が。
・・・なんだここは?酒場のような雰囲気で皆揚々としている。
「・・・先に謝っておくわ、ごめんなさい」
リリィは踊り場で宣言する
俺の異世界物語の幕を開けるのは彼女だった
「彼を私のバディにします!!!!!」
バディ 相棒
おひさしぶりです
気が向いたので更新しました
すげぇ話が飛びましたが許してください!!