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モノクローム・ロッカーズ  作者: ヒラヤン
1/1

出会い

「なぁ、死体を探しに行こう。」

あいつはいつも突然だ、ただ今深夜0時過ぎ

毎日の日課のように商店街の外れを二人で歩いると急に言い出した。

こないだ面白い映画を見たんだよ。

そんなことを言いながら、嬉々とした顔をして話している。

僕はまたか・・・と少々呆れながら話を聞いていた。


「なぁ、シンクロしないか?」

これが去年の話だ、確実に某映画もしくはドラマの影響だろう。

その半年前は「今日から、俺はペコお前はスマイルだ」

スマイルからは程遠い顔をした僕に向けて、満面の笑みを浮かべ指さしてきた

「お前が、スマイルじゃね?」という言葉をぐっと我慢した僕を褒めてほしい。

これも某漫画、もしくは映画の影響だろう。

僕の隣を歩くこの変人もとい友人はとても厄介な癖がある。

1年から半年の周期で必ず何かに夢中なものを見つけるのだ、大体は映画だったり、漫画の影響なのだが

その世界にのめりこんでしまうのである。

そして厄介なことにある程度の結果を残してしまうのだ。

男のシンクロをした時は学園祭の目玉となり、その時の5段櫓は伝説となっている。

その次に次始めた卓球では、初心者のくせに県大会でなかなかのとこまで行ってしまった。

そうしたある種天才的な奴なのに、彼にはある欠点がある。

「いやぁ見事なシンクロだったよ来年も期待しているよ。」

「いや、俺はもう来年はやりませんよ?」

「は?」


「来年の主将はお前だ、このチームを引っ張って行ってくれ!」

「あ、俺今日で退部しますわ。」

「は?」

そう彼は究極の飽き性なのだ、当初の目的を達成すれば満足なのである。

シンクロでは学園祭で披露できれば、卓球では反対のブロックにスマイルがいれば

それで満足してしまうのである。

そんな彼がはまった今回の映画、なんて映画にはまってしまったんだろうか

僕は軽く頭を抱える

今回の彼の目的は「死体」を見つけることだ。

いや見つけるまで探すのだろう。

それは勘弁願いたい。見つかってしまったらそれはもう事件じゃないか

そんな厄介なことにはなりたくない。

だけど・・・

「今夜一晩だけだからな」

その映画は僕も見ていたりする。



町の外れ

もう今は使われていないであろう古い線路の上を二人で歩いていた。

10年前に利用者減少のためになくなった、私鉄の線路

電車はもう走ってこないと知っていても、少しドキドキするものだ。

八月の夜風は心地よく、死体を探すにはうってつけの夜だろう。

そんな夜はないと思うが

「おい、あれ見ろよ」

彼が指さす方向には、もう使われてはいないだろう車両があった。

「とりあえず、あの中を探してみようぜ」

彼は笑いながら駆け出す

「おい、ちょっと待てよ」

そんな僕の静止も聞かずに、駆け出した彼を僕は追いかけた。

僕が追いつくと彼はもう車両の中に入ってしまっていた。

彼を追いかけ、車両の中に入るとその中は確かに古いが思っていたよりきれいだった。

そんな車両の中を探索していると、立ち止まっている彼を見つけた

そんな彼に声をかけようとした、その時

「おい・・・、シロ、見つけちまったよ・・・死体。」

足元に転がる人の形を見て、全身の血の気が引くのが分かった

いやいや、そんなはずがないだろう

こんなに都合よく死体なんかあるか?

マネキンか?それともダッチワイフかなんかだろう?

まぁ、落ち着けとりあえず、もし、もしもだ人だとしても死んでいるとは限らない

そう思い、慎重にその人の形をしたものの手を取る

「おい、大丈夫かよ?」

彼の心配そうな声が聞こえる中、そっと脈を図る

脈が・・・あるっ!!

とりあえず死んでないようだ、生きていると分かり少し冷静になることができた。

耳を澄ますと寝息のようなものが聞こえてきた。

どうやら体格を見るに性別は男のようだ

髪は金髪で、何か抱えているようにして眠っている

抱えているものが、気になったので男を跨いで反対側に向かい

男を見た、その時

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

ダメだ、完全に目が合ってしまった。

起きていらシャッタんですね

「おはようございます」

「オハヨウゴザイマス」

その瞬間僕は背中をを地面にしたたかに、打ち付けた

僕が倒れた瞬間

「何すんだ、てめぇ!」

立ち上がった男に、殴りかかっていく我が友人

だが、軽くかわされて逆に投げ飛ばされてしまった。

「うわっ!」

そのまま彼は僕の上に落ちてきた

先ほどとは逆に倒れている僕らに男はそのまま、持っていた何かを僕らに向け

調子が悪そうに頭を叩きながらこう言った

「お前ら、何もんだ?こんなとこで何してんだ?」

その質問は僕らもそっくりそのまま彼に返したいとこであったが

何をされるのか分からないので、とりあえず素直に返答する

「えぇと、僕ら死体を探しておりまして」

「死体だぁ?何でそんなもん探してんだ?」

「いや、あの・・・映画の影響でして・・・」

「映画の影響だぁ?あのスタンドでバイでミーのやつか?」

「まぁその通りでして」

「なんだそりゃ?思春期真っ盛りじゃねーかよ」

そういわれると、確かに

思春期真っ盛りとか言われると、何だかとても恥ずかしい

暗くて分からないだろうが、顔は真っ赤だろう

「何だよ、思春期真っ盛りで何が悪いんだよ!!」

僕の上にいる、やつが何か叫んでいる

とりあえず重いのでどいてほしいんだが

「別に悪いなんか、言ってねぇだろむしろそういうのは大好きなんだよ。すげぇロックじゃねぇか。」

笑いながらそういうと彼は僕らに向けていた何かを置くと手を差し伸べてきた

「まぁ、いきなり悪かったな、だがお前らだって行けないんだぜ?人の家に勝手に入ってきたんだからよ」

僕ら二人を引き起こし、彼は僕らの肩を叩いた

「お前らみたいなバカは嫌いじゃねぇんだ、むしろ好意的だと思ってくれ」

そういうと、僕らを車内の椅子に座らせ、その正面に彼も座った

どこにあったのか酒瓶を取り出して口に含んだ

飲むか?と差し出してきたが、僕は断ったがもう一人のバカは興味津々だったようで

「飲ませてくれ!」と酒瓶を受け取ると

それを一気に飲み

「おいおい、そんなに一気に飲むと」

「ぶっはぁー!」

と、大きな息を吐くと、後ろにぶっ倒れてしまった。

「言わんこっちゃないな、おいそこの青春バカ2号」

僕はきょろきょろとあたりを見回すがそんな奴はいない

「お前しかいないだろ、お前だよ」

僕の事だろうか?僕は青春バカ2号なんていう、名前ではないんだが

ちなみに1号はぶっ倒れているこいつらしい

「とりあえず、自己紹介だ名前は?」

目の前の男が、問いかけてくる

「白水って言います。一応1号からは、シロって呼ばれてます。」

「1号?あぁこいつか、こいつの名前はなんて言うんだ?」

「あぁそいつは巧って名前です。」

シロに巧かと、言いながらまた一口酒を含む

「あの、あなたの名前は?」

「俺か?俺は・・・・うーん・・・」

男は顎に手を当てながら難しい顔だ、自分の名前を伝えるのが嫌なのだろうか?

僕らには聞いたくせに

少し考えた後、男はひらめいたかのような顔をして嬉しそうにこう言った

「よしっ!俺の名前はジミーだ、ジミー・ヘンドリクスこれが俺の名前だ」

一人楽しそうな笑い声を上げ彼はそう言った

それが僕らとジミーの出会いだった。





















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