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極大魔法戦争マジックシューターズVR  作者: 告井 凪
第2話「魔法使いたち」
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3「とっても美味しいクレープ」


「おっいし~いクレープたっべたっいな~、たっべちゃっうぞ~」


 ハガーアミューズメントに到着した三人は、早速フードスペースでクレープを食べていた。


「いやぁわりーなー、私まで奢ってもらってさぁ」

「まぁ……いいよ。これくらい。俺、ここのクレープ初めて食べたけど、確かに美味いな」


 流れで代未にも奢ることになった晃人。こうなったら自分も食べてやる、と三枚注文したのだ。

 生クリームとチョコレートソースだけのシンプルなクレープ。一口食べると、ふんわりクリームが口の中に溢れて溶けた。パリッとした生地が甘さを抑え、あっさりした食べ心地にしてくれている。これは美味しい。


「でしょでしょ~。気に入ってもらえると思ったよ~。あ~おいしっ。ほんとおいしい……けど……う~ん、どうしよっかな」

「どうかしたのか? どうしようって?」

「自腹でもう一枚食べるか悩んでたんだよ。今度は苺ソースのを食べたいなってね~」

「本気か? 美味しいからもう一枚って気持ちはわからないでもないけど、さすがに多くないか? そんなに食べて大丈夫なのか?」

「おいバカ、リーナちゃんにそんなことを聞くな!」


 慌てて止めに入る代未だったが、リーナはニッコリ笑う。


「大丈夫! わたしね、どれだけ食べても太らないんだ~」

「ああ~、そうなのか。いるよな、そういう人」

「クッ……リーナちゃんのそういうところだけは、許せないよ……」


 ぼそりと呟く代未。晃人は気にならなかったが、聞く人が聞けば殺意を抱きかねない台詞かもしれない。


「なぁリーナ。先にマジックシューターズやらないか? 二枚目食べるにしても、終わってからにしてさ」

「あ、それもそうだね! そうと決まれば……ほらコートくん! 早く食べて食べて!」

「ちょ、まて、落ち着け。あとちょっとだから!」

「今バトル終わったみたいだから筐体空くよ! 急いで急いで! ヨミちゃん行ってくるねー!」

「ちょーっと待ったぁ!! なぁ、本当にそいつとタッグを組むのか? 私とやろうよリーナちゃん!」

「ん~、ごめんね。今回は晃人くんと組んでみたいんだ」

「な、なにぃ……ぐぐぐっ。リーナちゃんのタッグは……私なのにぃ……どうしてだっ」

「もう、だめだよ~ヨミちゃん。晃人くんにクレープ奢ってもらったでしょ?」

「はっ! これはそういう賄賂的なものだったのか?! おい、ずるいぞ沖坂!」

「いや私の分も奢れって言ってきたの渡矢さんだろ……。でもそうだな。渡矢さん、ここはクレープに免じて俺に譲ってくれ! というわけで、さあ行こうリーナ!」

「うん! 待っててね~ヨミちゃん!」


 晃人とリーナは、代未を置いて筐体へと向かう。



「くぅ……納得行かないっ。リーナちゃんは、なんであんなヤツとタッグを…………。ハッ、そうだ!」


 代未は二人の背中を見ながら、ニヤリと笑うのだった。



                    *



『マジックシューターズ、バトルスタート!』



「よろしくお願いしま~す! わたしたちタッグで、拠点行きますね!」

「というわけで、二人前衛です。よろしくお願いします」


 始まると同時に、挨拶と行動の宣言。

 この声に応えてくれるかどうかは、その人次第だし、答えなきゃいけないというものでもない。

 ただ、返事をくれた方がバトルはスムーズに進む。


 そして、コートたちの声に答えたのは……。


「ふっふっふ、やったぜ! リーナちゃんと同じチームだ!」

「えっ?! その声、ヨミちゃん? 野良で入ってきたの?」

「まあな! ランダムだから敵チームになるかもだったが、上手くいったぜ!」


 運良く同じブルーガイム王国側にマッチングしたようだが、タッグを組まずにゲームに入ればチームが分かれる可能性もあった。


「もう、しょうがないな~。でも仲間なら心強いね。ヨミちゃん後衛任せたよ!」

「よしきた! 魔力注入、やっとくよ!」

「へぇ……後衛なのか」


 代未――プレイヤーネームもヨミ――の性格的に前衛かと思ったが、後衛希望だった。

 しかもいつもそうなのか、リーナはヨミが後衛を担当することをわかっていた。


「後ろはヨミちゃんに任せれば大丈夫だよ。問題はもう一人だね~」

「返事、ないな。拠点の防衛に回ってくれるといいけど」


 タッグ用の通信に切り替えてリーナと話す。

 もう一人、ランダムでマッチングした人は、コートたちに声を返してくれなかった。

 ヨミと身内的な会話をチーム通信でしてしまったからかもしれない。こうなるとなかなか発言しにくい。申し訳ないことをしてしまった。


 今回のフィールドは、中央に砦があり、横長の壁で自陣と敵陣が区切られているのが特徴だ。

 それ以外の遮蔽物は、砦や拠点の周りに樹が何本か生えている程度。

 砦の上を取れると強いが、拠点を奪いに行くには遮蔽物が少なくバレやすい。前回みたいに二ついっぺんに取るのは、難しいかも知れない。


 壁には梯子がかかっていて、下から登ることも可能だ。コートたちは正面右側を目指した。


「……あ、もう一人も前衛希望だったみたい。反対側から砦を越えようとしてるね~」

「そうなのか? どうする、どっちか防衛に残るか?」


 梯子を登っている途中、リーナがそれに気付いた。

 後ろにヨミがいるとはいえ、三人で攻めるとなると拠点の防衛が手薄になる。


「とりあえず、このまま行ってみよっか。相手が警戒して防衛重視になるかも。……うん。こっち側からは敵が来てないよ」


 梯子を登り切り、砦の上から敵陣側を見渡し、確認する。


「本当だ、こっちにはいないな。ということは、左側から?」

「たぶんね~。あの人と鉢合わせるかも。そうなったら防衛してるのと同じことだし、ちょうどいいよ」


 確かにそこで足止めしてくれたら、それは防衛だ。

 コートとリーナは頷き合い、そのまま敵陣側に飛び降りる。


「今一瞬だけど、左側の壁の上に一人見えたよ~。赤いローブだった。やっぱり向こうから攻めるみたい。あとの三人はどこかな?」

「普通に考えたら、拠点防衛に一人、魔力注入に一人。もう一人は一緒に攻めてる、ってところだけどな」


 実はコートには、左側の味方はもちろん、今言った敵も見えなかった。前の時もそうだったが、リーナは周りの動きによく気付く。視野が広いのだろう。


「気を付けてね。遮蔽物少ないから」

「ああ。ハイウィングは使わない。警戒していこう」


 隠れる場所がないわけではない。見た限り敵はいないが、警戒はした方がいい。


 コートとリーナが、拠点に向かって走り出そうとした、その時。


「リーナちゃん! 正面から二人! 儀式塔前で迎撃するよ!」


 チーム通信でヨミから報告が入った。


「えぇ、うそでしょ? 正面に二人も来てるの?」

「魔力注入妨害か! あれ? じゃあ左の敵は一人――」



『敵プレイヤー:シンタに プレイヤー:カンタがやられました』



 そこへ、タイミングよくアナウンスが流れた。

 味方が敵にやられた時のものだ。


「カンタって左側の味方だ!」

「あ……まずいかも。向こうも前衛三枚だったんだ。この状況だと、拠点一つ……ううん、下手すると二つとも取られちゃうかも」

「そんなっ……! じゃあ、俺が右の拠点の守りに入るよ。リーナはこのまま攻めてくれ!」

「うん。こっち側の敵も一人ってことだもんね」

「そういうことだな。よし、俺は戻る!」

「お願い! きっと最後の一人は魔力を……って、コートくん待って! 身を隠して砦の中に! 相手の儀式塔、魔力ぜんぜん注入されてない(・・・・・・・)!」

「えっ?」


 すでにコートは、反転し砦に戻ろうと駆けだしていた。

 お互いの儀式塔にどれだけ魔力が溜まっているかは、塔の光り具合でわかる。

 魔力が注入されていないということは、残る敵はつまり――。



 バシュッ!



「なっ……!!」


『敵プレイヤー:ミツキに プレイヤー:コートがやられました』


 ――どこからか飛んできた魔法が頭に直撃し、一撃でやられてしまったのだ。


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