表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
極大魔法戦争マジックシューターズVR  作者: 告井 凪
第2話「魔法使いたち」
6/45

1「運命的な再会」


 春休みが終わる。

 晃人はハガーアミューズメントに通い詰めたが、Sランクには上がれなかった。


 しかしランクについては、以前ほど執着していない。

 それよりもリーナと再会できなかったことに、焦りを感じていた。


(どうすれば、リーナともう一度会えるだろう?)


 正直、ハガーアミューズメントですぐに会えると思っていた。

 しかし時間が合わないのか、そもそも来なかったのか。結局会えず仕舞。

 それがなによりショックだった。


(今の俺は、Sランクになることよりも、リーナとチームを組むことの方が大事なんだ)


 そもそも、晃人がSランクに拘っていたのは。

 高校に入りチームメンバーを探す際に、自分がSランクの方が集めやすいと思ったからだ。


 晃人が通うことになる、私立真ヶ峰(しんがみね)高等学校には、マジックシューターズの部活があると聞いている。……稼働して一年のゲームに専用の部があるというのも珍しいが、それだけ流行っているということだろう。


 部活に入れば、きっとチームが組める。Sランクならよりスムーズに。

 それが、晃人がSランクを目指していた理由だった。


 つまりチームを組むことが、第一目的なのだ。

 その手段が、部活に入ってメンバー集めから、リーナとチームを組みたいに変わった。

 だからランクよりも再会できなかったことに、ショックを受けている。


 もちろん入学後は、マジックシューターズの部に入ろうと考えている。

 ランクだって、上げられるに越したことはない。

 上がりそうで上がらないのは、やっぱり悔しいから。


 ……結局、再会もランクも叶わないまま、春休みは終わったが。



 四月、迎えた高校の入学式。

 新入生でごった返す玄関前。貼られたクラス表から、自分の名前を探す。

 五クラス分あるから大変だ……と思ったが、あっさり見付かった。1組だ。


 名前を見付けたならとっとと移動しないと邪魔になるのだが、晃人はぼんやりとクラス表を眺め続けた。


「リーナもこの春から高校なんだよな。同じ学校だったら、奇跡なんだけど」


 教室でリーナの姿を見付け、指を差し合って「あーっ!」と声を上げる。

 何度かそんな、もうそ……奇跡を思い描いていた。

 いや、同じ学校ってだけで奇跡か。さらに同じクラスだったら、それはもう……。


「あ~! ヨミちゃん! 同じクラスだよ同じクラス! よかったー、やっぱりヨミちゃんと同じクラスだと安心するよ。中三の時は別々だったしね。あ、でもあれはあれで忘れた教科書借りられて良かったなぁ。でもノートとか見せてもらうにはやっぱり同じクラスの方がいいもんね。これから一年、よろしくね! ヨミちゃん!」


 突然後ろから聞こえてきた、元気な声。

 捲し立てるように、ひとりで話を進めてしまう、この感じは……。


「へへっ、よろしく! ノートくらい、いつでも見せるさ。完璧にしておくからな!」

「ありがとう! さっすが! 頼りになるなぁヨミちゃんは」

「私も同じクラスで嬉しいぜ。リーナちゃん(・・・・・・)



『早瀬 理流那』



 何気なく見ていたクラス表にその名前を見付けるのと、リーナという名前が聞こえてきたのは、ほぼ同時だった。


「リーナ?!」


 名前を呼び、勢いよく振り返る。そこには、驚いた顔の少女。

 髪をまとめて横で結んだサイドポニー。星形のヘアピン。


 間違いない、春休みに出会ったリーナだ。


 水色のブレザーに紺のチェックのスカート、青のネクタイと、この学校の制服姿で目の前にいる。


 その隣りにもう一人、長い髪を下の方で二つ結びにした女の子が……晃人をギロリと睨んだ。


「なんだこいつ……。リーナちゃん、知り合い?」


 随分男勝りな感じの子だな、と思ったが、それどころじゃなかった。

 睨まれているのがわかっていても、目の前のリーナから目が離せない。


「あーっ! コートくーん?!」


 思わずぶるりと震える。

 奇跡。いいや、奇跡を越えている。

 なにしろ、リーナの名前が書いてあったのは、同じクラスの1組だったのだから。


「運命……か?」

「うん? ごめんね、なんて言ったの?」

「な、なんでもない!」


 思わず口に出してしまった。

 奇跡を越える。運命のような再会。


「そう? でもやっぱり、コートくんと同じ学校だったかぁ。ほら、ここマジックシューターズの部活があるでしょ? もしかしたらって思ったんだよね。まさか同じクラスだったり? どれどれ……ああっ! やばい、すごいよ! 1組! ほんとに同じクラスだ! すっごい偶然! あははっ、なんかおかしくなってきちゃった!」


 ツボに入ったのか、ケタケタと笑い続けるリーナ。


「相変わらずだな、リーナは」

「あっははははっ! あ、相変わらずって、ぷぷ、1、2週間ぶりだよ? そんな短期間で変わらないよっ。あーおっかしぃなぁ……。

 そうだ! コートくん、紹介するね! この子はヨミちゃん。わたしの幼馴染みなのっ」


 まだ油断すると笑い出しそうだったが、少し落ち着いたらしいリーナが、隣の女の子を紹介してくれる。

 リーナが笑い出してからも、晃人を険しく睨み続けていた、ヨミと呼ばれた女の子。

 背はリーナより高く、晃人と同じくらい。女子の中ではそこそこ高い方だ。


「しょうがねーなぁ。……渡矢(わたや)代未(よみ)。よろしく」


「ど、どうも。沖坂、晃人、です」


 言葉の通り、本当にしょうがなくという感じで名乗る、リーナの幼馴染み。


 リーナと話していた時は、男勝りな話し方でもまだ柔らかみがあった。

 今はもうただただ刺々しい、金属バットでも突きつけられた気分だ。


「で? リーナちゃん。こいつなんなの?」

「春休みにちょっとね。色々あって」

「いろいろー?」

「リーナとはハガーアミューズメントで会ったんだよ。そこで話しかけられて――」

「ハガーアミューズメント……マジックシューターズ、か? リーナちゃん」

「う、うん。そうなんだ~……あはは」

「なるほどな。なんとなく状況がわかったよ、リーナちゃん。……それで、沖坂だったっけ」


 すっと、代未が前に出て、晃人に顔を近付ける。



「なにリーナちゃんのこと親しげに呼んでんの?」

「えっ……あ、それは……」


 殺気――。なるほど、これが殺気っていうんだな。

 妙に冷静なことを考えてしまったが、間近でぶつけられた殺気に、晃人はたじろぐ。



「そ・れ・は? はっきり言えよ、男だろ?」

「り、リーナが、そう呼んでくれって……な、なぁ? リーナ」

「うん? そうだよ~。わたしがコートくんに、リーナでいいよって言ったんだよ」


 くるっと後ろのリーナを見て、パッと笑顔になる代未。


「リーナちゃんはリーナって呼ばれるの、好きだもんなぁ。……だからって本当に呼んだりしないだろ、普通」


 途中で再び晃人の方を向くと、鬼のような形相に戻った。

 男勝りというより、単純にガラが悪い。



「ち、違う! 誤解だ! リーナって呼ばないとタッグ組んでくれないって言うから、呼ぶようにしたんだよ!」

「……は? タッグ?」

「えーっと、そうだったっけ? えへへー……」

「なに?! うそ……だろ? リーナちゃんが……私以外とタッグ、だと……?!」


 リーナの言葉に、代未がよろめいた。


「だ、だいじょうぶか? 渡矢さん」

「う、うるさい! お前、お前みたいなヤツがリーナちゃんと……!」


「あっ、二人とも! 早く行かないと入学式始まっちゃうよ~!」


 ハッと二人は我に返る。

 見ると、周りにたくさんいた新入生はすでにいなくなっていた。


「ちっ。リーナちゃんを遅刻させるわけにはいかないからな。よし、急ぐぞリーナちゃん。んで、あとで詳しく教えてくれ!」

「う、うん。わかったよ、ヨミちゃん。さ、コートくんも急いで急いで!」

「入学式に遅刻とか洒落にならないからな。走ろう!」


 急いで校舎に入る三人。

 走り出す前に一度だけ、代未が晃人を睨んだが、その後は目も向けようとしなかった。




「今の、リーナって呼んでたわよね。しかもマジックシューターズの話をしていた。まさかあの子……。って、あたしも遅刻しちゃうじゃない!」


 影からこっそり一部始終を見ていた少女も、慌てて三人を追うように駆け出したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ