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極大魔法戦争マジックシューターズVR  作者: 告井 凪
第6話「VSシルバーマジシャンズ」
39/45

7「中央広場の攻防戦」


 マナミ部長&サオリ、対、ヨミ&アヤメ。


 できれば一人でも倒して攻めのきっかけにしたいと、ヨミは思っていた。

 射程の長い、サオリのヒートレーザーがとにかく厄介だ。連射は無いが、狙撃よりは早い間隔で撃ってくる。これはひたすら避けるしか、ヨミには手が無かった。

 だが、ここでの戦闘が長引いて困るのはマナミ部長たちの方だろう。魔力が切れても、隠れる場所がない。下がるか、横に逃げるかだ。こちらは拠点がある分、やや有利。

 それから、これはお互いに言えることだが、後続が復帰してくる。

 マナミ部長はそれまでになにか仕掛けてくるはずだ。


 そんなことを考えながら戦っていると、突然、グンッとマナミ部長が飛び出してくる。カスタム魔法の移動速度アップを使ったようだ。


「アヤメ、下がれ! 接近戦なら私が――っとぉ!」


 アヤメの代わりにヨミが前に出ようとすると、ヒートレーザー飛んできて動きを制限される。


(私に前に出られると困る? 拠点狙いじゃないのか?)


 マナミ部長はヨミとアヤメ、両方と同じくらいの距離を保って立ち止まる。

 そして身体を捻り、右腕を後ろに回す。まるでリーナがミストバリアを使う時のように――。


(――振り回す? まさか)


「まずい! 跳べ!」


 ビュオッ!

 黄色い閃光が走る。


「っ! こ、これって! あぁ!!」


 マナミ部長の手のひらから伸びる、雷の帯。

 鞭のように振り回され、ヨミは回避できたが、アヤメは避けきれなかった。

 いや、鞭状の雷がビンッと伸び、その尖端が当たってしまったのだ。



『敵プレイヤー:マナミに プレイヤー:アヤメがやられました』



 電気の鞭はアヤメを感電させ、そのまま削りきる。

 すると、マナミ部長の手から鞭が消えた。


「うわっ、サンダーウィップかよ。おい、マナミ部長カスタム魔法変えてきてるぞ!」


 サンダーウィップ。

 手のひらから鞭状の電気の帯を放つ、カスタム魔法。

 一撃では相手を倒すことができないが、相手を感電させ、そのまま当て続けることで倒すことができる。

 倒すまでにやや時間がかかるというデメリットはあるが、振り回すことで複数の相手に当て、感電で一瞬動きを止められるというメリットがある。

 ちなみにこれは、ヨミやシンタの武器創造系魔法とは違う。あくまで鞭状になる射撃魔法という扱い。リーナのウォーターランスもこのタイプだ。


「ああもう、部長が言ってたのに! 意表を突かれたわ!」


 陸緒部長が、マナミ部長はカスタム魔法をいじっていたと言っていた。

 まさか三本目で変えてくるとは。


(私を近付けさせなかったのは、ハルバードと相打ちさせないためか)


 サンダーウィップの射程は、ハルバードよりやや長い。ヨミが少し踏み込めば、ギリギリ届くのだ。

 それを警戒してサオリが牽制してきたのだ。


(まずいな! マナミ部長のサンダーウィップと、サオリのヒートレーザー、ひとりで両方捌くのは厳しい!)


 ヨミは声には出さず、心の中で叫んだ。

 泣き言を漏らすわけにはいかない。

 拠点は死守する。それが、ヨミの仕事なのだから。


「さあ……来るなら来い!」


 ヨミは飛んできたサオリの通常射撃魔法をかわす。

 マナミは魔力を温存しているのか、距離を変えずに様子を見ている。

 おかげでサオリの魔法だけに集中できるが――。


(……通常射撃魔法しか、撃ってこない?)


 疑問に思ったのもつかの間、サオリの手から赤いレーザーが飛んでくる。

 ヨミはそれを避けようとして――。


 ボンッ!


 目の前で、爆発した。


「っちくしょ! お前もか!」


 サオリもカスタム魔法を変えていた。

 移動速度アップを外して、以前アヤメが使っていたヒートボムにしたのだ。

 ヒートボムは射程が短い。通常射撃魔法が届くということは、サオリは距離を詰めていたということ。


(気付くのが遅かった――!)


 爆発は直撃しなかったが、ダメージは食らった。そしてそこへ、


「そう、来るよなぁ!」


 マナミ部長が距離を詰め、さっきと同じ構えをする。

 サンダーウィップが来る。

 ヨミは無理矢理一歩踏み出し、ハルバードを振り上げて――。


「ヨミちゃん!!」


 ――その体勢のまま、真横に飛んだ。


「ミストバリア!!」


 バチンッ!


 ヨミのいた場所にリーナが入り込み、ミストバリアでサンダーウィップを弾く。

 基本の威力が低いサンダーウィップは、防御が可能だ。


「……さすがね。サンダーウィップみたいな軌道の読みにくい攻撃なら、もしかしたらって思ったのに」

「練習の賜物ってヤツですよ!」


 広域通信で話しかけてきたマナミ部長に、リーナが応えた。


「これでまた2対2ですよ! 仕切り直しです!」

「そうかしら? あなたが戻ったということは……」


 マナミ部長の後方、広場にシンタとミツキが姿を見せる。


「こちらも復帰しているということ。これで4対2ね」


 どうやら、まだまだ厳しい戦いが続きそうだった。



                  *



 広場の戦いは、4対2とシルバーマジシャンズが優勢だった。

 アヤメが復帰すれば4対3になるし、なによりリーナは先ほど一人で二人倒している。

 それだけの実力があるのだ。多少の不利はなんとかなる。


(……そう、リーナは言っていたけど)


 マナミ部長の新カスタム魔法、サンダーウィップ。サオリのヒートボム。

 予想外のセッティング変更に、みんなが対応できるかどうか。


 コートはそんな心配をしながら、市街地を駆けていた。目指すは――。


「――っ!!」


 突然、後方から火属性の通常射撃魔法、ファイヤーが飛んできて、慌てて建物の影に隠れる。


「今さら隠れても無駄だぜぇ? コートだろ? そこにいんの」

「……みんな、シンタ先輩に見付かった。場所は、敵陣の拠点と拠点の中間辺り」


 コートが狙っていたのは拠点の奇襲。それも後方拠点。

 広場でみんなが戦っている隙に、復帰したコートが敵陣側に忍び込んでいたのだ。


「うわ~やっぱり気付いて後ろに下がったのかー。判断早いなぁ。ごめんね、引き留められなかったよ」

「ま、先にやられたはずのコートよりも、リーナちゃんが先に戻ってきたからな。怪しまれて当然だ」

「大丈夫、例えあんたがやられても、無駄にはならないわ。シンタ先輩が下がったのなら、あたしが戻れば広場は3対3! 少しでも長くシンタ先輩を引き付けてやられなさい」

「やられる前提で話すなよ……」


 コートは一度深呼吸し、ハイウィングで飛び上がる。

 屋根の壊れた二階建ての建物に入り、窓から右手を伸ばしてシンタ先輩に魔法を撃つ。


「ウィンド!」

「そこだな。ホーミングファイヤー!」


 シンタ先輩は右手から火球を飛ばす。まだフレイムソードを出していなかった。

 コートは避けつつ、ハイウィングで飛んで隣の建物に移ろうとする。


「あっ、くっ……!」


 するとそこへ、狙ったように魔法が飛んでくる。今度は通常射撃だ。

 移ることはできたが、一発食らってしまった。


「お前の動きなんて、お見通しなんだよ!」


 建物伝いに拠点に向かおうとしたのだが、バレバレだったようだ。


(やっぱりこの人、手強い……)


 コートはそっと、窓から外を見る。


「いない……?」


 コートの居場所は割れている。下からあがってきているのか、外に出るのを隠れて待ち構えているのか。

 とにかく、ここに留まっているのは危険だ。拠点から遠ざかってもいいから、一度別の建物に――。


 バキン!!


 外から破壊音が聞こえた。

 見ると、道を挟んで向かいの建物の窓が壊され、そこに――。


「シンタせんぱ――」

「俺が接近戦だけだと思ったら、大間違いだぜ!」


 ――思ってませんよ!


 と返す間は無かった。

 シンタ先輩の通常射撃魔法の連射が飛んでくる。


「う、うわぁ! なんだこれ!」


 思わずそんな叫び声を上げてしまった。

 正面からだけでなく、真上からも火球が降り注いだのだ。


(――ホーミングファイヤーか!)


 先にコートをロックしてホーミングファイヤーを上に飛ばし、時間差で正面から通常射撃。

 狭い部屋の中を必死にかわすが――ホーミングファイヤーを二発、食らってしまう。

 威力が低いホーミングファイヤーだからやられなかったが、あと一発なにか食らえばやられる。


(……ここまでか。なら、少しでも長く引き付けないと)


 アヤメの言うとおりになってしまったのが悔しいが。


 コートが覚悟を決めた、その時。



「ふふふふふふふ! もっとあたしに撃たせてよ~。ばーんって、頭を撃ち抜かせてよ~。さっきの気持ちよかったなぁ。コート君、もういっかい撃たせて欲しいな~。撃ちがいあるよね~」


「……え? この声、ミツキ先輩?」


 突然響く広域通信。その内容にコートはぞわっとした。


「うわ、ミツキのやつ、スイッチ入ったな。そういうのはチーム通信でやれ!」

「す、スイッチって……」


「な、なに? なんなのよあの人! 恐いんだけど!」

「今のミツキ先輩の声だよね? あの優しそうな……研究部の良心みたいな先輩。人格変わってるよー?!」

「気にするな二人とも! 発言はやばいけどな、どうせ狙撃は連射できないんだ! ほら、塔に入っていったぞ!」


「あーあ。わりぃな。こっちは気にせず続きをやるか――って、おいてめぇ!」


 コートはシンタ先輩の意識が逸れた隙を突いて、ハイウィングで飛び出す。

 一気に拠点まで飛ぶ。奪えなくても、少しでもシンタ先輩を自分に引き付けられれば――。


 ――バシュッ!


「……え?」

「あ~やっぱり撃ち抜きがいがある~。マナミちゃんが~、コート君撃っていいって言ってくれたの~」

「ったくお前は、こっちまでヒヤヒヤさせんじゃねぇよな」



『敵プレイヤー:ミツキに プレイヤー:コートがやられました』


(また狙撃でやられた……)


 もう何度目だろうか。ミツキ先輩に撃ち抜かれたのは。

 せっかく、もう少しシンタ先輩を引きつけられると思ったのに。


(……でも、時間稼ぎはできたみたいだ)



「今よ! 援護お願い! リング魔法――アクセルビート(・・・・・・・)!」


 アヤメがリング魔法を発動する。

 補助タイプ、アクセルビート。移動速度アップと身体能力アップ、両方が自分にかかるリング魔法だ。

 しかも、カスタム魔法のそれよりも1.5倍の効果がある。


「――ミツキ!! 飛び降りろ!」


 シンタ先輩の声が響く。

 リーナがサオリを、ヨミがマナミ部長を押さえ、アヤメが広場を駆け抜ける。そしてジャンプで建物屋根にあがり、そのまま塔の最上階に飛び込む。

 ちょうど、ミツキ先輩は塔から後ろに飛び降りるところだった。

 アヤメは気にせず魔石を起動する。



『プレイヤー:アヤメが 一つ目の魔石を起動しました』



「やった、アヤメちゃんナイスゥ!!」

「よくやった!」

「最高だ、アヤメ!」

「ま、まだよ! まだ効果は残ってるんだから!」


 アヤメは少し照れながら、ミツキ先輩を追って塔を飛び降りる。


「このままミツキ先輩を倒してもう一つの拠点も――あっ」


「リング魔法~、ダークカーテン~」


 目の前の道が、真っ暗な闇に包まれてしまう。

 進行不能の闇のカーテン。ミツキ先輩が妨害タイプのリング魔法を使ったのだ。


「……効果切れたわ。しょうがない、迂回して拠点に向かう!」

「おい、サオリが下がった! そっち行ったぞ!」

「ヨミちゃん追って! マナミ部長は――わたしが相手するから!」


 膠着状態だった広場の攻防が動き出した。

 ここからが、正念場だ。


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