表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
極大魔法戦争マジックシューターズVR  作者: 告井 凪
第4話「強くなりたい理由」
19/45

1「一対一のバトル!」


「なによ、口ほどにもないじゃない!」

「うるせー! くっそ、いやらしい攻撃ばっかしやがって!」


 巨大な石があちこちに転がっている、採掘場フィールド。

 岩から岩へ移動しながら、アヤメの攻撃をかいくぐるヨミ。

 アヤメの通常射撃魔法は光属性。短いレーザーのような魔法だ。

 ヨミの移動を先読みして魔法を撃ち込む。いわゆる偏差射撃が上手い。それを凌ぐヨミもすごいが、さすがに全部は避けられなかった。おそらくあと一発でも食らえばやられてしまうだろう。


「このっ……ストーンエッジ!」


 土属性通常射撃魔法。鋭く尖った石がアヤメを襲う。


「その射撃をあたしが回避をするタイミングで……突っ込んでくる、と」

「くらえ! ハルバート、一閃!!」


 ヨミはカスタム魔法で巨大な炎のハルバートを創りだし、アヤメに突進。薙ぎ払おうとする。

 だがそれは読まれていた。ヨミの足下が眩しく光り、キンッという甲高い音がする。


「しまった、跳弾――」

「リフレクトレーザーよっ。何度も見せていたのに、迂闊ね!」


 アヤメのカスタム魔法は、光属性の通常射撃魔法をカスタムしたものだ。障害物に当たると跳弾するようにカスタムしている。それを地面に向けて撃ったのだ。



『敵プレイヤー:アヤメに プレイヤー:ヨミがやられました』



「くっ……そう……! 私が負けるなんて……」

「すごーい、アヤメちゃん! 本当に強いんだね!」

「と、当然よ。ランクモードのSランクなら、これくらい普通なんだから!」

「っ…………!」


 アヤメの言葉に、コートは崩れ落ちそうになる。

 ヨミの前にアヤメと戦い、跳弾の対処がまったくできずにやられてしまったのだ。

 EVSも発現していたのに、それでも手も足も出なかった。


(つまり今の俺は……まだまだSランクにはほど遠いってことか?!)


「さあ、あとはあなただけよ、リーナ! 勝負しなさいっ!」

「よーっし、二人の仇を取らないとね!」


 アヤメの魔力回復を待って、リーナが飛び出していく。

 同時に、復帰したヨミがコートの側までやってきた。


「はぁ~、まだあと2分以上あるのかよ。くっそ~」

「アヤメ、強いな……」

「お前はあっさりやられ過ぎ。20秒も保たなかったんじゃないか?」

「ぐっ……」


 なにも言い返せなかった。


 今、コートたち四人はマジックシューターズのプライベートモードでプレイしていた。

 このモードはランクが関係無いのはもちろん、観戦モニターにも映されない非公開のモード。ランダムでのマッチングは無し、仲間内だけで、人数が四人対四人じゃなくてもバトルを始めることが可能。そのため、チームバトルの練習で使われることの多いモードだ。

 稼働当初このモードは無かったのだが、要望が殺到し、去年の大会直前に実装された。


 儀式塔のルールでゲームは始まるが、別にそれに従う必要はない。特別ルールを自分たちで決めて遊ぶプレイヤーも少なくない。


 晃人たちもそうだ。チームを三対一にし、一人ずつアヤメとバトルをしている。


 ……何故、そんなことになったのかと言うと。




「だから、リーナはランクモードやるべきなの! フリーモードばっかりやったって意味ないでしょ!」

「意味があるかどうかは関係ねーんだよ!」

「あるわよ! リーナ、あなただったらSSランクどころかSSS(トリプルエス)ランクも狙えるかもしれない。そんなに強いんだからやるべきよ! やりなさい!」

「あのなぁ……。だいたいお前はどーなんだよ。偉そうにやれって言うけど、自分はへっぽこでーすとか言うんじゃないだろうな?」

「はぁ?! あたしSランクよ? へっぽこなわけないじゃない!」

「どうだか。Sランクだってピンキリだろ?」

「なっ……だったら勝負しましょう! プレイベートモードで一対一のバトルよ! あたしが勝ったら言うこと聞いてもらうからね!」

「受けて立とうじゃねーか! それならわかりやすいしな!」

「わぁ! 面白そう! わたしもやる! 晃人くんもやろうよ! 一対一のバトル!」

「えっ、俺も?」

「えっ、リーナちゃんも?」



 ……というわけで、ヨミとアヤメの喧嘩にリーナが乗っかり、しかもコートまで巻き込まれてこうなったのだ。


(でも……もう十分わかった。アヤメには偉そうに言うだけの実力がある)


 アヤメは光属性魔法の使い手だった。

 通常射撃魔法とカスタム魔法の跳弾魔法。その二つを使い分け、上手く相手を誘導して仕留める戦法だ。

 問題は、この二つの魔法の見分けが付かない点だ。

 おそらく威力や跳弾回数、消費魔力のどれかを犠牲にしていると思うが、レーザーのような見た目と弾速がまったく同じだ。そのためすべての攻撃に対し、跳弾を気にしなくてはならない。

 また、跳弾の使い方も上手い。さっきヨミを倒した時のように、そっと相手の死角を突いてくる。

 あそこまで跳弾を上手く使いこなすプレイヤーはそうそういない。


「わたしが最後でよかったのかな? アヤメちゃん」

「どういうことよ?」

「ふふーん、まぁ見てて?」


 リーナはそう言うと、アヤメの魔法をかいくぐりながら少しずつ距離を詰めていく。


「な、なんかハラハラするな。リーナ、避けるのがギリギリ過ぎないか? あれだと跳弾に当たってもおかしくない」

「いいや。リーナちゃんのことだ、もう見切ってるんだろ」

「見切った? まさか、通常射撃と跳弾の違いを? どうやって……」

「さあな。私たちのバトルを見て、きっとなにか掴んだんだ」


 コートは改めてアヤメの魔法を見る。が……やはり違いがわからない。

 だけど、リーナの動きをよく見ると、ヨミの言う通り、通常射撃魔法とカスタム魔法を見切っているように思えた。通常射撃魔法はギリギリで避け、カスタム魔法は跳弾の射線を岩で遮るように回避している。

 そのことにアヤメも気付いたのだろう、顔に焦りが出始めた。


「な、なんでよ! なんでわかるのよ!!」

「終わったら教えてあげるっ。結構、力技だけどねっ!」


 リーナが一気に距離を詰め、その腕を伸ばす。

 目を見開くアヤメ。素早くリーナに右腕を向け直した。


「じゃあこれはどう?!」

「えっ……赤い、光魔法?」


 今までの魔法――白色のレーザーではない。赤く光るレーザー。

 リーナは咄嗟にそれをかわすが――


 ボンッ!!


「きゃっ?!」

「リーナ!!」


 避けた直後、赤色のレーザーがリーナの背後で爆発した。

 その衝撃でリーナの体勢が崩れる。伸ばしていた腕がブレてしまう。


「やったっ。とっておきは最後まで残しておかないとね? これで終わりよっ!」


 アヤメが腕をピッタリとリーナに合わせ、光属性の魔法を放つ。


「その通りっ、だよね!」


 バシンッ!


「えっ……?!」


 リーナが腕を振り、魔法を受け流す。

 一瞬呆気に取られるアヤメだったが、すぐさま魔法を連射した。

 しかしその一瞬でリーナは体勢を整え、追撃の魔法を軽々避ける。そしてアヤメの真横に回り込んだ。


「これで終わりっ! ウォーターランス!」

「うそでしょ?!」


 ドンッ!!


 リーナの腕から飛び出した水の槍が、アヤメを貫く。その一撃でアヤメはやられ、スッと消えた。


「ふう、爆発はビックリしたなぁ。でも勝てたよ! コートくんヨミちゃん!」

「あ、ああ……すごいな、リーナ。どうやって防いだんだ?」


 トドメの水の槍は、威力重視にカスタムした魔法。

 その前の、アヤメの魔法を受け流したのは……。


「バリア系のカスタム知らない? ミストバリアだよ」

「水属性の? ……あれ使う人いるんだ。一回しか防げないんだよな」


 種類は少ないが、自分を守るバリア系のカスタム魔法がある。

 ただし一回しか防げない上に、使い勝手がいいとは言えない仕様のため、あまり使う人はいない。

 少なくともAランクでは見たことがなかった。


「まあね~。効果時間も短いから、相手の魔法のタイミングに合わせなきゃいけないし。難しいかな」

「それだけじゃないでしょ!」


 通信に割り込んでくるアヤメの声。


「あれ、もっと細かくカスタムしてるでしょ? 範囲狭くして強度上げて、防げる魔法の種類を増やしてるわよね!」

「そ、そうなのか?」

「えへへ~……うん。普通なら、通常射撃魔法と同等の威力しか防げないんだけどね。防御範囲を狭くして、もう少し強いのでも防げるようにしてるよ。その分、きっちり相手の魔法にバリアを当てないと防げないけどね」

「あっ……だから腕を振って、弾くように当てたのか……」


(そんなこと普通できるのか? それともこれも……EVSがあるから?)


 リアルに見えているからこそ、できる芸当なのだろうか。

 いいや。だとしても相当練習しているはずだ。


「通常射撃魔法とリフレクトレーザーはどうやって見切ったのよ」

「ああ、それはね~。通常射撃とカスタム魔法って、切り替えの間があるでしょ? どうしたって同じ間隔で連射はできないんだよ」

「……えっ、まさかそれを見極めたってこと?」

「うんっ! 最初の一発目がどっちだかわかれば、あとは切り替えの間を見ていれば、通常射撃か跳弾かわかるからね~」

「すごいなリーナ……」

「…………」


 コートにはそんな間があるとは思えなかったし、もう一回見てもわかる自信が無かった。

 アヤメも口をぱくぱくするだけで、なにも言えないようだった。


「どうだ! リーナちゃんの強さ、わかったか!」

「……まぁね。ほんと、とんでもないわ」


 そこで、タイムアップになり、バトルは終了したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ