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極大魔法戦争マジックシューターズVR  作者: 告井 凪
第3話「バーチャルセンス」
12/45

1「フリーモードの魔女」


「昨日のあの子、色々すごかったね~。漫画とかに出てきそうな感じだったよ」

「まるで狙ったかのようなタイミングだったよな」

「どーせ私たちの会話聞いてて、本当にタイミング計ってたんだろ」



 入学式の翌日、朝。晃人たち三人は、リーナの席に集まっていた。

 話題は当然、昨日のことだ。


「あと、わたしはちょっぴりショックだったよ……」

「き、気にすることないぞ、リーナちゃん!」

「そうだよ。あんなの……」


 バトルの後、晃人たちの会話に割り込んできた少女。

 晃人はその時のことを思い出していた。



                  *



「フリーモードの魔女! フリーモードなんてやってる場合じゃないわ! あなたはランクモードでSSSを目指すべきよ!」


「…………」

「…………」

「…………」


 次から次へとなにが起きているのか、頭の追いつかない晃人。

 どこから突っ込んだらいいか迷って、珍しく言葉の出ないリーナ。

 真っ先にキレて怒鳴りそうな代未は、何故か顔を片手で隠して「あちゃー」というポーズをしていた。


「ちょっと、なにか反応しなさいよ! あなたに言ってるのよ?」

「あっ、うん。でもその、フリーモードの魔女…………ぷっ。あ、笑っちゃ失礼だよね。ごめんね。なんていうの、二つ名っていうの? まさかそんなの付けてくれてる子がいるなんて、思わなくて。ちょっと戸惑っちゃった。それも、ま、魔女とか――ぷぷっ」

「なっ……?!」

「ごめんごめん! 折角付けてくれたんだもんね。フリーモードの……魔女っ。くっ。それは、うん、できたらやめて欲しいな~あははっ」

「あ、あたしが付けたんじゃないわよ!! 知らないの? この辺じゃ有名よ? あなた」

「そんなわけないよ~。わたしそんなの初耳だよ? ぜったい流行ってないよ~」

「俺も聞いたことないぞ……」

「そう? でもそっちの子は、聞いたことあるんじゃない?」


 少女が指さしたのは、未だに手で顔を覆っている代未だ。


「え~? そんなことないよね、ヨミちゃん。わたしがそんな風に呼ばれてるわけないもんね。やだなぁもう」

「…………」

「……? 渡矢さん、まさか」


 さっきも思ったが、こういう場面で代未がキレないのはおかしい。

 まだ出会ったばかりの晃人でもそれはわかる。

 つまり……。


 晃人の視線に代未が気付き、ため息をつく。


「そうだよ沖坂。お前が考えてる通りだよ。ずっと、リーナちゃんの耳には入らないようにしてたのに……まさかこんな風にバラされるなんてなぁ!!」


 後半は少女に向けてだった。

 ようやくいつものように怒鳴った代未だったが、対する少女はむしろ胸を張って受け止める。

 代未のあの睨みを受け止められるとは、かなりのメンタルの持ち主だ。

 もっとも胸を張っても身長差があるため、どうしても見上げる形になってしまうが。


「ヨミちゃん待って! うそ、ほんとなの? わたし本当にそんな呼ばれ方してるの? ヨミちゃんなんで教えてくれなかったの!」

「だって嫌だろ?! フリーモードの……魔女っ、とかっ! そんなダサい名前で呼ばれてるなんて、リーナちゃんショックだろ?」


 代未の言葉に、晃人は頷いた。


「確かにショックだよな。渡矢さんの言う通りだ」

「だろ? だから隠してたんだ。ほんとダサいよな。誰が名付けたんだよ」

「ううっ……あんまりダサいダサい言わないで。知らなかったけど、そう呼ばれてるのわたしなんだよね。わたしがダサいみたいに聞こえてきたよ」

「リーナちゃんはダサくないぞ!」

「でもそんなダサ……二つ名、呼ぶ方も恥ずかしいと思うんだけど」

「な、なによ! 文句ある?」

「いや別にいいけどさ……本人が恥ずかしくなければ」

「待て待てぇ! 文句ならあるぞ!」


 代未がさらに前に出て、至近距離で少女と睨み合う。


「二つ名のことはともかく、お前なんなんだよ。よりによってリーナちゃんにランクモードをやれ、だと?」

「そうよ! 今のバトルを見ていて確信したわ。フリっ……彼女は、強い。ランクモードでこそ輝く強さよ!」


 今、二つ名で呼ぼうとして、頬を赤らめて止めた。やはり恥ずかしくなってきたようだ。


「関係ないんだよ! リーナちゃんは絶対ランクモードをやらない! ついでにチームモードもやらない! 当然チームも組まない!」

「って渡矢さん、チームは組むよ、仮だけど」

「沖坂は黙ってろ!」

「そうよ外野! 黙ってなさい!」

「むぐっ……」


 口を挟めば火傷する。

 だけど……わかっていても黙ってはいられなかった。


「いいや黙らない! そもそもランクモードでこそ輝く強さってどういう意味だよ!」

「ふんっ。あんた一緒にやっててわからないの? 意味なんて言葉の通りよ。……本当にチームを組むのなら、すぐにわかるんじゃない?」

「え……?」


 組めばわかる?

 晃人がタッグを組んでわかったのは、リーナの強さだけだったが……。


「ああもう、そんなのどーだっていいんだよ! リーナちゃんはランクが絡むモードはやらない! 話は以上だ! ほらどっか行け!」

「……まぁいいわ。でも必ず、あなたにランクモードをやらせてみせるわよ」


 ビシッと代未の後ろ、リーナを指さす。


「う~ん、無理だと思うな~」

「無理じゃないわよ! ……まったく。あたしは、一年D組の神津原(かみつはら)絢萌(あやめ)。どうせ同じ学校なんだし、また会うでしょ。それじゃね」


 そう言い残して、少女……絢萌は、立ち去っていった。



                  *



「……あんな二つ名、忘れた方がいい」

「フリーモードの魔女とかダサいんだよなぁ。リーナちゃん、ショックを受けるのはわかるけど、こいつの言う通りフリーモードの魔女なんて忘れた方がいいぞ」

「もうその名前出さないで~……」


 机に突っ伏してしまうリーナ。その姿に、代未が慌てる。


「わ、悪かったリーナちゃん。もう言わないから」

「……本当?」

「約束する。……はぁ。こうなると思ったから隠してたんだ」


 最後は小声だったが、晃人には聞こえた。

 意外と慎重なのかもしれない。リーナに対してだけかもしれないが。


「それよりほら、リーナちゃん。今日は部活紹介があるぞ」

「あっ! そうだったね。オリエンテーション、体育館でやるんだよね?」


 顔を上げ、パッとリーナの顔が明るくなる。

 その笑顔を見て、ほっと安心する代未と晃人。


 今日はホームルームの後に、新入生オリエンテーションが開かれることになっている。

 そこで各部の代表がどんな活動をしているのか、紹介をするのだ。


「楽しみだな~、マジックシューターズ部」


 この学校にある、マジックシューターズの部活。元々晃人はそこでチームメンバーを集めるつもりでいた。

 今はリーナとチームを組む――仮ではなく本当に――という目標があるが、それでも晃人は入部するつもりだった。


「って、リーナもマジックシューターズの部活に入るつもりなんだな」

「そりゃそうだよ~。ランクモードはやらないけど、フリーモードはやり込んでるからね! 別にそういう人が入ったっていいと思うし」


 晃人の想像では、マジックシューターズの部活はランクやチームモードをやり込むための部だと思っていたが、リーナはそうではないらしい。


「そうだな、まだどんな部かもわからないもんな」

「うんうん。だから部活紹介が楽しみなんだ~」


 笑顔で言うリーナを見て、本当にマジックシューターズが好きなんだなと思う。

 それだけに、ランクモードやチームモードをやらないのは不思議だ。


(結局、どうしてリーナが仮とはいえチームに入るって言ってくれたのか、聞けなかったんだよな)


 あの少女、絢萌のせいで、うやむやになってしまった。


(いや、うやむやになったのはそれだけじゃない)



『ねぇ……晃人くん。さっき、なんて言いかけたの?』

『え……?』

『あの人の口の……って。言いかけたよね。もしかして『口の動きでわかった(・・・・・・・・・)』とか?』



 リーナには聞きたいことがたくさんある。

 できれば代未のいない時に、二人で話したいが……そんなチャンスがあるだろうか?



「……そうだ。リーナちゃん、マジックシューターズ部のことなんだけど」


 代未が神妙な顔で切り出した。

 その様子に、リーナも首を傾げる。


「うん? どうかしたの? ヨミちゃん」

「念のためと思って、調べておいたんだよ。この学校さ、マジックシューターズの部がふたつあるぞ」


「「……え?」」


 リーナと晃人の声が、綺麗に重なった。


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