突然の告白!?
毎日をなんとなく生きればいいかなって思ってた。無職にして金にがめつく、交際経験なし。
「こんなんでいいの?もっと面白い人生送りたくない?」
今まで存在を排除していた幼馴染から呼び出されていた。
私はこいつが大っ嫌いだ。こいつ、桐谷 純はハーバード大学経済学部卒業、類まれな美貌をもち、そして今ネット産業everyの社長として成功を収めている。中学に入るまで私のことブスとかバカとか言ってたくせに。
「あんたの人生おくれれば楽しいでしょうね。でも生憎私は凡人なんで」
「俺は3年も生きられない。結婚してくれ、親には長くないことを悟られたくないんだ。ただでとは言わない、3年我慢すれば俺の生命保険だけで3億円だ。遺産もあわせれば膨大な金額になる。絶対に美由紀が嫌がることはしないから」
「・・・その話乗った」
「お前今一人暮らしだったな。今日から5日間俺と暮らして決めろ。決まり次第、家族に挨拶に行く」
「わかったよ」相変わらず俺様なんだから。
レクサスの新車の助手席に乗って、あいつの家に向かう。私は退屈な都会の風景を見る。
「ありがとな、今日は」
「うん!・・・何よ、人の顔じろじろ見て。」
「いや、いつも笑ってればいいのにって今思っただけ。」
冗談だよという科白でも来るかと思ったのに、言ってこない。顔が熱くなるのを感じ、思わず頬に手をあてる。
「ぷっ。何やってんの?」
子供のように無邪気な笑顔は爽やかで。初対面なら恋に落ちそうなくらいかっこよかった。
「あんたこそ、ずっとわらってればいいのに」
かっこ悪いところを見られた私は頭の中がぐちゃぐちゃになって、褒め言葉を意地悪げに呟く。純は驚いたように目を開くと、頭をかいて鼻で笑った。
「あんた今馬鹿にしたでしょ!」
「さあどうだろうな」心からおかしそうに笑い続けてるあいつ。
「ちょっとあんた大丈夫?あんたでも笑いすぎて死にそうになることってあんのね」
「何言ってるんだ、俺だってただの人間だよ。ただ人より顔と頭がいいだけ。これ以上笑わすな」
ばかなやり取りをしている間に桐谷邸についた。大きくて綺麗な洋風の豪邸は今まで見た住宅の群を抜く華やかさで、私は圧倒された。
「ようこそ。」
ただ広い部屋に夕闇が忍び込む。パチッと電気がつけられてもその静寂は破られなくて。ここが本当にあいつの家なの?生活に最低限必要なありふれた家具しかない家、その不気味なくらいの生活感の無さはどこか死を連想させた。
「美由紀、疲れさせちゃってごめんな。ほら、晩御飯作ったんだ。さめないうちに食べてくれ」
私はソファで眠りこけてしまったようだ。おいしそうなにおいがする。
「いただきます」
目の前のご馳走を夢中で食べる。
「おいしい?」
私はうなずく
「よかった」
弱弱しく微笑むと彼は、ごくりと薬を飲んだ。
「本当は寂しいんだ、一緒に寝てくれるよね」
弱弱しく俯きながら呟く彼はどこか哀れで。
純はすぐに眠りに落ちたが、私は緊張して眠れない。夜遅いのに、純が見せた意外な弱弱しさややさしさが気になってしまう。それに、なんといっても純はまれに見るレベルのイケ面だ。連絡が来るまでそこまで気にしてはいなかったけど、一度意識するとよかれ悪かれやっぱり気になってしまう。ああもう、私はこんなやつだいっきらいなのに