第三回 :メレテリア世界の死生観と亡者等について
この物語の世界であるメレテリア世界において、人(亜人を含む)が一生を終えると、その霊魂は本人の守護聖霊や冥界神の眷属である聖霊によって、「冥界神ネレセドア」の元に行き、「冥界神ネレセドア」とその眷属である上位聖霊により、その者の属すべき神界が何処かを裁定され、神界において生前の能力や徳目などで上位・中位・下位の何れかの聖霊に転生すると言われます。(この際、神霊の世界である神界でなく、魔王の世界である魔界へと赴くこととなった魂は、邪霊と呼ばれる存在になるとされます。)
聖霊は、基本的に地上世界の物事に介入することは出来ません。しかし、自身が守護する者に聖霊使いとしての資質があった場合、その者を介して自身の意思や力の一端を地上世界に示すことが出来ます。また、高位神官などであれば大抵の聖霊との意思疎通が可能です。
聖霊たちは一定の期間を聖霊として過ごした後、「地母神クレアフィリア」とその眷属である上位聖霊の裁定によって、人(亜人を含む)の身に転生すると言われます。(聖霊としての期間は、基本的には上位であるほど長く、下位では短いとされます。)
しかし、この転生のサイクルに囚われない存在も少数ながら存在します。
一つは、「神術師|(神仙/仙人)」と呼ばれる存在です。
これはある条件を満たした人(亜人を含む)が、神族(聖獣や高位の神術師等)に認められることによって、下位神族の列に入ることにより生ずる存在です。それによって不死に近い存在へと変化します。神人の下位神・従属神とされる存在の何割かはこれに該当します。
しかし、この神術師と言う存在自体が稀少であり、その存在を知るものは非常に少ないのです。
そして、もう一つが、亡者と呼ばれる存在です。
冥界神と対の存在とされる魔王「冥境の女王クルガセドア」とその眷属である邪霊の魔力を受けて、死体や霊魂の状態でこの世界に留まった存在です。一度死んでいる為、苦痛の類を受けることがなく、不死身と言える存在です。そして、その殆どは生前の記憶や精神を無くしているか、極度の狂気や妄執を持っており、その存在の維持の為に生物の精気を吸収する存在も多く、色々な意味で危険な存在となってます。
ただし、亡者とはその存在自体が不安定な為、下位の亡者では陽光や聖霊の力の前に崩壊する場合があります。