第一回 :アティス大陸略史
この物語の舞台は、メレテリア世界の西方に位置する大陸、「アティス大陸」になります。
この大陸は、神代の時代に「戦神ミルスリード」と「護神グリスドルーム」と言う二柱の軍神が鎮座する地となっていました。
二柱の軍神は金属・鉱物の神でもあり、また「戦神ミルスリード」は技術の神でもあった影響もあり、神代の後には、この地の多彩で豊富な金属鉱脈を利用した機械技術が育っていきます。
しかし、それが文明として成熟する前に、北方大陸に成立していた「ユロシア魔導帝国」の魔術師達による征服を受けてしまいます。(ユロシア帝国暦5世紀頃~)
その後にこの大陸は、大陸の主要地を所領とするアティス侯爵に国王位を付与し、「ユロシア魔導帝国」の属国として「アティス王国」が分離建国されます。(アティス王国歴元年、ユロシア帝国暦602年)
この「アティス王国」において、ユロシア帝国由来の魔法文明と大陸固有の機械文明が融合した魔法機械文明が発達し、この国は「アティス機械王国」と称され、独自の魔法機械文明による繁栄を極めます。(大陸の名はこの王国が由来となっています。)
しかしその文明も、「六大竜王」によってもたらされた「第二次大災害」(竜王のもたらす世界規模の天災及び竜族の侵攻)により、壊滅的打撃を受けて崩壊します。(アティス王国歴368年~)
その際に、アティス王国の二十あった都市の内、外延部にあった第十七から第十九都市が消失します。次々と魔法機械を破壊しながら進む竜族の侵攻を前に、王国は保有する魔法機械類を各地の工廠等に厳重に封印し、上流階級の人々を王都である中央都市へ退避させる等の処置を執ります。
「第二次大災害」とその後に続いた竜族が跋扈する「竜世紀」が終息した時(新王国歴元年、アティス王国歴に換算して503年)、中央都市に逃れていた人々は「アティス王国」再興を目指します。
しかし、既に各地の都市やその跡を中心にして、王国において蛮族や下層民と蔑まれていた人々によって諸王国が次々と建国されていました。
それに伴い、中央都市の人々は自らを「センタサイト王国」と名乗り、中央都市周辺の工廠の封印を解き、各種の魔法機械を兵器として起動させて、周辺諸王国に侵攻を始めました。
その為、「センタサイト」と国境を接する「ファーサイト」「セカンダイト」「サーダイト」「フォーサイト」等の諸王国は、「センタサイト」と同様に工廠の発見・発掘を行い、魔法機械の兵器転用を試み、「センタサイト」の魔法機械兵器に対処し始めます。この動きが他の諸王国に急速に波及して行きます。
この物語の時代(新王国歴524年)において、アティス大陸はいまだ魔法機械兵器による群雄割拠の様相を呈しています。