事後処理と食い気
此処は魔王城一階フロアのとある廊下。
所々に広がっている血飛沫やススは、侵入してきた者達を清掃(という名の抹殺)した際に出て来た汚れ。只今、城内清掃員であるスイーパーイーターにキレイにしてもらっているところです。
清掃活動で発生した汚れを清掃する……ええ、ツッコんだら負けですよね。
スイーパーイーター……とは水色の巨大なバクのような姿をしており、汚れやら何やらを栄養分として体内に取り込むことが出来る雑食のエコロジストさんです。
カーペットに零したジュース、こびり付いてとれなくなったガム、消し去りたい過去の思い出……などなど、彼らの手に掛かれば数瞬で綺麗に。
そうして面倒な雑用を彼らに押し付けたフィーンは何をしているのかといいますと……タブレットを眺めてますね。
部下に仕事を押し付けた割には、大したことはやっていません。
まあ、彼女らしいといえば彼女らしいですが。
《リザードマンg×5のレベルが2上がりました》
確認しますか? ――YES,NO
すかさずYESをタッチ。
リザードマンgLv21【付与:炎++】
(Lv19→Lv21)
「おおっ、あんなのを倒しただけでこんなに経験値が……! ラッキーですね♪」
ちなみに『g』とはギフテッドの略字。
ギフトには【隠密】・【索敵】・【付与】の他にも様々な種類がたくさん存在します。
しかし、たとえその種類が同じだとしても、その強さまでもが同じだとは限らないのです。
ギフトの強さとは、ギフト自体の先天的なレベルのようなもので、表記上では『+』を使い三段階で表されます。
前にもお話したと思いますが、ギフトは遺伝要素がとても大きく働くといわれています。
それはギフトの強さにも影響されることで、有能な親からは有能な子供が産まれやすいものです。
まさにサラブレッドが推奨されている、というワケですね。
「とりあえず任務は無事完了です。これでランプロスも満足でしょう」
どうやら彼女の中では、任務に後片付けは含まれていないようですね。
ぎゅるるるるぅ〜
思わず鳴り響くフィーンのお腹。
時刻はもうお昼。お腹も空く頃合でしょう。
「……厨房に行こ」
スイーパーイーターに、後は宜しくお願いします、と頼んで(丸投げして)廊下を飛び出すフィーン。
そして、向かう先の厨房へと駆け出していきました。廊下は走っちゃダメですよー。