VS.初心者パーティー2
二部目です
『やはり出番なし、だけども魔王』
「うっひょぅ! アイテムがこんなにたくさん。もう持ちきれねぇぜ」
「こんなもぬけの殻な場所でスゴい量ッス」
彼らのバックの中には、入手した金品が溢れんばかり詰め込まれています。
しかし、そのどれもが店先で買える安価な物ばかり……。
「もう行き止まりみたいですし、一度戻りませんか?」
「そうね。取り敢えず、向こうの十字r……っ!?」
「ど、どうしたんスか?」
急に目を見開いて、バッと戻り道を振り返る弓士。
尋常ではない様子に思わず、どうしたのか尋ねる剣士Lv15。
「……今、突然。本当に突然、向こうの十字路先に魔物が出現した」
「と、突然って……! 感知出来なかった言い訳してんじゃねえのかっ?」
「バカ言わないで! 私だって信じらんないんだから」
「2人とも落ち着くッス! 取り敢えず落ち着いて倒せばいいじゃないッスか」
「だ、ダメ。ムリだわ……!」
斧士が当然といえば当然な指摘をすると、弓士は異常なぐらい興奮した様子でそれを否定。更には仲裁に入った剣士Lv15の言葉をも否定します。
「い、一体どうしたんですか……?」
「何がムリなんだ?」
「……だって、、、」
グルォォオオ!!
突如上がる雄叫び声。どう考えても人間のモノではありません。
四人はただひたすらに、固まったように声の響いた方角を注視しています。
やがて足音が鳴り出し、その足音がどんどん大きくなり、数秒後にはその音源が姿を表れました。
その姿は、歩くトカゲ。ファンタジーお馴染みのリザードマンさんが五体です。
しかし、本来は緑色の鱗に覆われているハズの身体は、焼けるような深い紅色……。
「――だって、勝てっこない。勝てっこないのよ、、、」
顔を硬直させながら震える声で言葉を紡ぐ弓士。
「……ッ!?」
「ま、マジかよ……」
「ゆ、ユニークモンスター……」
メンバーも信じられない、といった表情で迫り来る敵を、ただただ見つめていました。
ユニークモンスター……人間にそう呼ばれるそれは、同じ種族の中でも特殊な能力を持って産まれてきた希少種を指します。
またそれは、天界内では『ギフテッド』とも呼ばれていますね。
ギフテッドはその希少な特殊能力から、通常種族の何倍もの力を所持し。そのため人々からは脅威の対象として、畏れられてきました。
彼ら半熟パーティーが若干退け腰になっているのもそれが原因です。
ギュォォォォォオ゛!!
再度雄叫びが上がります。それは彼らにとっては、もはや恐怖の対象でしかありません。
勝てるハズがないのです。
「ひっ、に、逃げろォォォォオ」
横一列に広がり突き進んでくる紅蓮の集団は、まるで揺れ動く陽炎のよう。
逃げても無駄と頭では分かっていても逃げてしまう。その先が行き止まりだと知っていてもなお、です。
「クソッ……行き止まりかよ!」
そんなことは最初から分かっていたのに、思わずそう漏らしてしまう斧士。
もう逃げ道は何処にも無く、迫り来る脅威がただただ怯えるだけしかありません。
一同は、自然とその場に座り込んでしまいました。
こんにちは。ブラジルの人はこんばんは。
次回で冒険者ぶちのめします。バトル描写は無く、少々(?)グロテスクな描写が含まれると思います。
こんな稚文でも読んで下さる方々に感謝感激雨あられです。