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VS.初心者パーティー1

全三部になる予定の一部目です。

『出番なし、だけども魔王』



「――本当に大丈夫なんですか〜?」


 場所は移り変わり、魔王城(済世庁)1F。

 全20層で構成されている魔王城は、外部からの侵攻を防ぐため複雑に造られています。そのため、内部は迷宮のような体裁。

 当然、半人前の冒険者などでは攻略出来るハズもないのですが。


 しかし、この冒険者達はやって来ました。自分達の実力も理解しないままに。


「あー、もうウルセェぞ! そんなに帰りたけりゃ一人で帰りゃいいだろ」

「そっ、そんな〜!」


 やや小心者のLv12の剣士があまりにも喚くので、最年長のLv19の斧士が一喝します。

 しかしこの場合、正論を言っているのはLv12の剣士。 死にたくなければ、とっとと出るべきだったのです。


 魔王城――済世庁はいわば、人類を倒さんとする軍の本部。

 そんなところに、未熟な冒険者が四人で乗り込むなど、自殺志願をしているものです。

 では何故、彼らはそんな愚行を犯したのでしょう。それは、ひとえに国と彼らの間にある認識の違いが原因なのです。……まあ、この話もまた今後ということで。


「二人とも、仲間割れしている場合じゃないッスよ」


 如何にも下っ端な喋り方をするLv15の剣士が、両者を宥めます。

「そうよ。仮にも此処はダンジョン。バラバラになってたんじゃ、勝てる敵にも勝てないわよ」


 それに便乗した形で、弓士Lv8の女性も口を開きます。

 といいますか、あなた方のレベルでは、勝てる敵の方が圧倒的に少ないでしょうが。


「……まあ、そうだな。悪い、キツく言い過ぎた」

「い、いや僕がいけなかったんです。すいません」


 そうして両者、仲直りの握手へ。……敵の本拠地でする行為じゃありませんよね。





「それにしても、ダンジョンという割には全く魔物が出て来ないッスよね」


 キチンと陣形を組んだ状態で、慎重に廊下を進んでいく半人前冒険者達。

 Lv12の剣士が前衛。片手に盾を携えて、恐る恐る歩を進めていきます。

 それを斧士と剣士Lv15、弓士が後から続きます。


「な、何だか、奥へどんどん誘われているようで気味が悪いです……」

「なワケねぇだろ。……ま、まあ一応敵の確認頼めるか?」

「今、感知してみるわ……周辺に敵の存在は皆無。少なくとも今は安全ね」

「ほらなっ? お前が心配し過ぎなだけ。きっと此処穴場、敵なんか出て来ないんだよ」


 魔王城は、侵入者対策に複雑な構造体をしています。

 廊下は迷路のように入り組んでおり、数多くある部屋にはトラップやカギがキチンと仕掛けてあります。防犯対策がしっかり行き届いているようで感心ですね。


 しかし今日においては、何故かそのトラップが一つも作動しません。おかげで彼らは金品を盗みたい放題、というワケです。



「また宝箱だぜ! 今日だけで金がガッポガポ貯まりそうだぜ」

「魔物もまったく出て来ないし、案外ココって敵の縄張り跡だったりするんスかねぇ?」


 ちなみに此処のトラップは、一般人では即死レベル。彼らが食らっても重傷は免れないでしょう。

 もう、お気付きでしょうか? 今日に限ってトラップが作動しないワケ。それは「作動しない」のではなく、「作動させてない」だけなのです。


「あっちにも宝箱があるッスよ!」

「その奥の部屋にもありますよっ」

「まるで宝箱でつくられた道ね……」


 宝箱でつくられた道。普通は訝しく思いますよね。やはり、そこに気付かないのが未熟者なんでしょう。

 どう考えても誘導されている、というのに……。


 魔王の地道な誘導、引っかかる冒険者もアホですよね。

 今回のフィーンはあくまで裏方に徹しています。ちなみに次回も、出てこないです(笑)

 最後の話にちょっと出そうかな?

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