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殺しですか? いいえ清掃活動です

 彼女がワープした先。そこは魔王城(済世庁)の本館最上階、自身の執務室でした。

 如何にも乙女チックなピンク一色の自室とは異なり、執務室は黒を基調としたシックなデザインとなっています。

 しかしどうにも幼げな印象を受ける魔王には、この大人びた部屋は合っていないようですね。

 ぱっと見、親の会社に遊びに来た子供――といった感じでしょうか。




「――タブレット操作」


 そう呟くと、彼女の手元が急に輝き出し、透明なアクリル板のようなタブレットが姿を顕しました。


 このタブレットの詳細は、追々語らせて頂きますが、今簡単に説明すると『魔王の行動をアシストする万能機器』だということです。




 タブレットの画面には幾つものアイコンが並んでいます。が、魔王はその内の『領内マップ』をタッチ。

 すると、この城を含めた彼女が所有する領土の立体的な縮図が表示されました。



1Fに異常を感知、確認しますか? YES,NO――。



 躊躇うことなく『YES』をタッチ。

 さらに詳細な城内1Fの平面図が表示されます。

 そして、その図の中にはチカチカと赤く光る幾つもの点々。これこそが異常の根源――つまりは、領内不法侵入者達です。


 今回、魔王が引き受けた仕事は、この不届き共を追い出すこと。

 別に彼らの生死は問いません。むしろ、殺しちゃった方が何かとラクでしょう。




 標的の更なる詳細を知るため、マップ上の赤い斑点共をタッチし『検索(サーチ)』を掛けます。



――1F

斧士Lv19

剣士Lv15

剣士Lv12

弓士Lv8【索敵++】



 特徴も面白みも感じられない平々凡々なパーティー。しいてあげるなら、全体的に弱すぎるところでしょうか。

 十中八九力試しで立ち入った冒険者達です。


「明らか初心者パーティーですねぇ。というか、このレベルで私の城へ挑戦しにくるとは……世間ナメてんでしょうか?」


 自分達が甘く見られていることに静かにイラついているのは、世間という世間を未だ味わってすらいない魔王サマ。 そんな険しい顔をして……せっかくの可愛らしい顔が台無しですよ?


 ちなみにこの世界はレベル制。

 基本的な一市民の平均レベルが1〜5、一人前と呼べる冒険者のボーダーラインが20レベルとしています。彼らはちょうど半人前といったところでしょうか。


「しょうがない……若い芽を摘むのは可哀想ですが、サックリと倒しますか」


 手加減するつもりがないことなんて、最初から分かってましたよ。ええ、その顔を見て確信的になりましたね。

 ……といいますか、あなたの方がどう考えても若いですからね?


「ちょうど兵を鍛えようと思っていたところですし、まあ良い訓練相手です。さて、どの兵にしますか……」


 魔王は続いてタブレットの『自軍編成』をタッチ。

 すると、ゴブリン、オーク……といった如何にも魔物らしい兵達の名前が、ズラーッとリストアップされます。

 実際は魔王同様、“魔”ですらない兵なのですけどね。




「何か良さげなのはないかな〜、っと。……あ、これなんて良いんじゃないですか。ちょうどギフト持ちですし」


 ギフトとは、通常では持ち得ない稀少的な特殊な能力のこと。人間と魔族、種類は異なりますが、ごくまれにそういったモノを所持している者がいます。


 また、そうしたギフト持ちのことを、『ギフテッド』や『ユニークモンスター』とも呼んだりします。尤も、後者を呼ぶのは人間だけですが。


 ちなみに余談ですが、ギフトとは遺伝によるものが大きいとも云われています。




「では後は彼らにお任せしますか。手加減無用でヤっちゃっていいですからねー。むしろ取り逃がした方が汚名ですよ?」


 確かに、初心者パーティーが生きて生還出来たとなれば、城の勢力が衰退したと思われ、城内が冒険者フィーバーになるのは目に見えてます。

 しかし初心者相手に手加減無用って……あなた鬼ですか? あ、そういえば魔王でしたね。すっかり、忘れていましたよ。





 ――暫くして、執務室に召還されたそれらは、まるで日の入り直前の地平線のような、鮮やかな紅色の鱗を身に纏っていました。

 ……今回のパーティー。全滅は必至でしょうね。


 こんにちは。ブラジルの人はこんばんは。

 次回からは、フィーンの策略に見事はまっていく冒険者達の話になります!

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