打倒勇者と寝落ち
「取り敢えず、今のところは大丈夫だろう。これから少しずつ人数が増えてくると思うが」
「了解しました。殺されないよう、『ギッタンギタン』の『ケッチョンケチョン』にしてやりますから安心して下さい」
立ち直ったフィーン。その目に一切の容赦はありません。
完璧にヤる気ですよ、この子……。
「そ、そうか……。まあ、こちらも出来る限りの援助をするつもりだ。何かあれば何時でも言いなさい」
「では、兵を増やしたり、城の増設を行ったりしたいので、軍資金を増額してください」
なお天界にもお金のような物は存在しています。
しかし、それはお金と呼ぶにはあまりに価値がありすぎるものですが。
「いくらだ?」
「出せる分だけで結構ですよ」
「お前の場合そう言って、私がどれくらい出せるか把握しているんだろう? ……はぁ、しょうがない。後で振り込んでおこう」
「ありがとうございますっ、お父様」
幾分、子供のお小遣いにしては……といいますか、社会人が持つにしてもあまりに多すぎる額を貰い嬉しそうなフィーン。
「それで、兵はどうする気だ? 正雇用か?」
「いえ派遣にするつもりです」
「派遣か……。ではショップへ行くつもりだな?」
「はい。といっても通販ですけど」
「どちらにしろ同じことだ。分かった、では私が顔を利かせておこう」
それでは頑張りなさい。そう一言告げると、タブレットの画面に映っていた神の姿は消え、代わりにメニュー画面が表示されます。
「勇者かぁ……」
昼食後のホクホク顔は何処へやら、すっかり思案モードのフィーン。
考えていることは勿論、勇者をどう倒すか、ということ。
「ちょっとこれは要相談だよなぁ。いっそ市街区にギガース召還しよっかな……?」
小さい頭で必死に何かを考えている姿は微笑ましいですね。
考えている内容が内容ですが……。
その日の午後はずっと自室に籠もって策を練っていましたが、疲れてしまったのでしょう。
最終的には寝落ちしてしまうフィーンでした。
いつもいつも御拝読ありがとうございます。
年末で少々更新ペースが落ちそうですが、何卒これからも宜しく御願いいたします。




