巡る廻る解決策と最終案
※はい。説明的文章オンリーの解説回です。
彼は彼女の実父ではありません。
引き取った、そういえば聞こえはいいかもしれませんが、実際は違います。
彼は偶然彼女を引き取ったのではなく、そうなるように仕組んでいたのです。
天界は、いわば世界を管理する機関のような役割を担っています。
食物連鎖の均衡を保ち、生態系の崩壊を防止し、世界のバランスを守る。それが天界の主な務め。
しかしある時。あの生命が現れてからは、それが崩れていってしまいました。
その生命こそが、人間なのです。
世界の管理をする傍ら、天界では他にもう一つある研究が行われてきました。
それは“生命の創造”。
より優れた生命を創り出す、そのことをモットーに研究を続けてきた天界。末に辿り着いたその完成品は、彼らにとって最高傑作にして最悪の生命となってしまったのです。
人間は創造主たる神の手から離れた時から、世界を破壊し、自身らの領土を広げていき。そして今となっては、地上界を支配し、天界を征服せんとするまでの力を付けてしまっています。
では何故、天界はそうなる前に手を打たなかったのでしょうか?
いいえ。打たなかったのではなく、打てなかったのです。
人間を含めた万物は創造主たる神が創ったもの。
それを神自身が見捨てるなど、どんな事情であろうとあってはならないことなのです。
ならば間接的に、つまり神以外の誰かを代理を立てればいいではないか?
これも不可能です。
天界内では軍隊を動かせるのは神とその親族だけ。
どれも顔に泥を塗ってはいけない立場の人達しかいません。
当然、動かせる人も、動かそうとする人も出てきません。
なら養子をとれば解決するんじゃないか?
残念ですが、これも没。
天界内に孤児などは存在せず、全ての者が等しく戸籍を所持しています。養子をとることは不可能なのです。
じゃあ……
没。
なら……
没。
そういえば……
没。
――そうやって試行錯誤をした結果、辿り着いた先にフィーンがいました。
積み重なっていく条件を全てクリアする案。それは、外部から孤児を輸入する……というもの。所謂、転生です。
世界というものは一つだけではなく、幾つかの世界が並立して存在しています。
外部とは、その幾つかの世界。そこから一人融通してもらえばいい、そういう発想です。
異世界から来た者に当然、戸籍は無く。
それを神が養子としてとれば、血は繋がってなくとも家族。
しがらみも何もない者が、天界から独立し。
自軍で人類を攻撃させれば……。
神や天界は何の罪も被らずに、危険分子である人類を殲滅出来るのです。
そういった彼らの薄汚い思考が渦巻く中、それに選ばれてしまったのが地球のとある少女。フィーンだったのです。
かなり強引な形ですが、だいぶ伏線回収が終わりました〜。
そろそろ物語を動かさないと……!




