灰色の襲撃者
あとがき
普通はどのくらい書くんだろ
空はどこまでも蒼く、退屈なほど平和だった。
三階の教室の窓から地面を見ている私はみこ。校舎の影に「彼」を見つけた。
名前は、らいき。
いつも一人で空を見つめている、謎めいた転校生。その視線の先に何があるのか、その時の私は知る由もなかった。
――キィィィィィィィン!!
鼓膜を刺すような不快な音が響き、蒼い空がガラスのように割れた。
そこから降り注いだのは、コンクリートのような肌を持つ異形の怪物――三手。
「ヒャハハハハ! 壊せ! 殺せ!」
平和だった校庭が、一瞬で悲鳴と砂煙に包まれる。
逃げ遅れたゆうま君を庇い、和也君が倒れた。
「ゆうま君!」
助けようと駆け寄った私の前にも、別の怪物が立ちふさがる。逃げる間もなく、丸太のような腕が私を壁際まで弾き飛ばした。
「……っ、がは……っ」
肺の空気が漏れ出し、視界がチカチカと火花を散らす。
なぶり殺そうとニヤニヤ笑いながら歩み寄ってくる怪物。
もう、だめだ。私が死を覚悟して目を閉じた、その時。
ドォォォォォン!!
衝撃波と共に、目の前の怪物が地面に叩き伏せられた。
目の前に立っていたのは、あの少年。らいき君だった。
彼は足元のゴミを払うように怪物を踏みつけると、少しだけ肩を揺らし、ゆっくりと私の方を振り返った。
優しい目だった。
「いやごめん、遅れちゃった。すぐかたづけるから。痛いけど我慢してて」
彼は私と、震えるゆうま君を背に隠すように一歩前へ出て、確かな体温を感じさせる声で言った。
その背中から溢れ出した漆黒のオーラが、灰色の絶望を塗り替えていく。
私は遠のく意識の中で、その静かな怒りに満ちた後ろ姿を、ただ見つめていた。




