俺の家は4人いるとうるさい
田中家 家族構成
父:田中和也 有名チェーン店商品開発部長
母:田中歌 エリート弁護士
長男:田中悠斗 大平大高校1年
長女:田中澪 八百万中学1年
ペット:ニコ ハリネズミ、今後登場!
いつもの帰り道で、一と共にアイスを買い、食べながら雑談をして帰る。
「じゃあ、悠斗また明日な」
「あぁ」
そう言ってお互いの家に入る。これが俺たちの日課になっていた。
「ただいまー」
「にい!おかえりぃー!」
ガチャンと玄関のドアを閉めた途端、奥の部屋から飛んできたのは、昨日で晴れて中学生になった俺の妹、田中澪。
「にい!まず帰ってきたら手洗いです!」
「へいへい」
見ればわかる通り澪は、ひかりに負けず劣らずの元気さである。小学校の時もなにかと問題ごとを起こしたり、事件に巻き込まれたりして俺や親が大変だった。
「あら、おかえり悠ちゃん」
「母さんただいま。って父さん、今日もう仕事終わったの?」
「そのことについて話があるんだ」
神妙な面持ちで俺と母さんと澪をリビングの椅子に座らせる。父と母が隣同士、それに向き合うように俺と澪が座る。昔から変わらない席順だ。俺たち3人は姿勢を正し、この空気感から、父はとんでもないことを言い出すと覚悟をし身構える。
「あのな俺、、、、、、、、、仕事クビになっちった!」
「はぁ!?」
「クビー!?」
「そーですかーーー」
俺と母さんはその言葉の破壊力にかなり絶望した。身構えていたが、これほどのものだとは母も思っていなかったようだ。澪は特に興味がなさそうである。
「父さん、クビって、、、なにしたの?」
「なんか、会社の1番のお得意さんの壺壊したら、、、ね。」
「ね。じゃねーーよ!」
自信たっぷりな顔で俺にグッドマークなんて向けてきた。
「父さんどーなってんの!何したら壺壊すわけ!?逆になんで弁償請求させられてないの?それが怖いわ!一家の大黒柱がニートって話にならねーだろーがよ!!」
「てへぺろっ」
色んな言いたいことが爆発してしまったが、それを聞いて、てへぺろで済まそうとしていることに関してさらにイラついたのと同時に、この人、これのせいでクビになったのだなと理解した。
「まったく、ほら!母さんもなんか言っ、、、母さん!?」
「あっ、、、あーー、、、、、、」
そういって頭の端からモノクロになり母の体が散り散りに灰になって飛んでいく。
「母さーーん!ちゃんと固体保って!」
父は歳と見た目に似合わないてへぺろ、母はパラパラと飛んでいき、妹はテレビに夢中ではしゃいでいる。この家は大丈夫なのか、行き先が不安な俺であったーーー。
なんとか父は普通のおじさんに戻し、母はなんとか掃除機でチリを集めて接着剤で元に戻し、妹は部屋に戻し、3人でしっかり話をしようとした。
「それで、父さんこれからどうするの」
「うーーん、いっときは仕事探しかなー。その間は母さんの収入でなんとかしないといけないな」
今は父がニートといえ、うちの家は父が今朝まで有名チェーン店の商品開発部長(もう元)、母はエリート弁護士と、金銭面は父がいなくても特に困りはしないのである。
「まあ、私の収入でも全然足りるんだし、ゆっくり考えなさいよこの際。新しいこと始めるのもいいんじゃない?」
「ほう」
ほうやめろやと思いつつ、母の力の大きさに驚く。しかし、この発言がフラグとなって父が変な職業目指さないかが心配である。(こういうのがフラグになるんだよな)
「はい!じゃあこの話終わりーーー。晩ご飯作ったのにー」
「え、ええもう終わったの?」
「2人とも部屋で着替えておいで、できたら呼ぶから」
そう言わらたので、俺と澪はリビングの机の上から解散した。普通このレベルの問題がこんな短時間で解決する家庭はここだけだろう。自室へ向かう階段を登っている途中、こんな家そうそうないだろうなと我に帰った。
「ご飯できたわよー」
部屋に荷物を置いて着替えた途端、一階から声がした。俺が部屋を出ると同時に、澪も隣の部屋から出てきた。
「にいにい、今日の夜メシなにになるんでしょうかね」
「なんだろなー。澪の好きな親子丼ならうれしいな」
横で澪がにっこにっこしながら「それならサイコー」というようなジェスチャーをする。その姿を見て微笑ましくなった。
「なんだろなっ、、、、、、」
自分も心を躍らせリビングのドアを開けてみると、そこに並べられた豪華な刺身、寿司、あら汁、肉、カニなど大量の豪華料理の数々。
「普通のご飯じゃねぇー!」
「あら?せっかくお父さんがクビになったんだし、パーっといきましょパーっと」
「いやおかしいだろ何縁起がいいことみたいになってんの!?」
父親が会社クビになったというのに父も母もワインなんか開けてお祭り気分でテンションが上がっているのである。
「ちょちょちょワイン、、、、、、って澪ーーーーー!」
「刺身ちゃんうまうまうまいです!」
親のワインをツッコんでいたら、それに気を取られて澪が大食いをし始めた。澪は大食いであるのだ。刺身をバクバク幸せそうに食べている。
「あーもう!この家はまともにならんのかーーー!」
俺の叫び虚しく、父母共に酒がすでに入っておりテンション高めでわちゃわちゃ、妹は机に並べられた豪華食事を思う存分楽しんでガツガツ食べている。
田中家は4人いるとうるさいのであった




