表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春は2人いるとうるさい!?  作者: 澄田 葵伊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/29

海のコイはうるさい

「えっ、」


「ゆっ、悠斗くん?」


遭遇したのは奏だった。ダボっとした白いシャツに、短いデニムパンツを履いていて、周りから見たら今の奏は魔性だろう。


「偶然だね!ひとり?」


「いや、きょうは、」


妹と言おうとしたところ後ろから声がした。


「日焼け止め塗ってくれませんか?」


澪だった。奏は「えっ」と戸惑った表情をして、その場が一瞬凍りついた。


「ごっ、ごめんお邪魔しちゃった、じゃあ!」


顔を赤くしながら一目散に遠くに走っていった。止めようとしたが、気づいたらもう姿は見えなかった。


「はぁー、」


「にい、今の人お友達ですか?」


「まあ、そうだけど、変に誤解されたなー」


それを聞いて澪はニヤニヤしながら俺の腕にしがみついてきた。


「私は、誤解されたままでいいですよ?」


俺がもし、血のつながった兄妹でなければ確実に恋に堕ちてたであろう。


「からかうな」


優しく頭にチョップをしたら、澪は口を尖らせてむすっと少し怒っていた。


自分たちの荷物のところに戻るとシートが敷かれてあった。


「さあ、日焼け止め塗ってください!」


「ええっ、届くだろ」


「届きません!」


そうやって俯いて俺に背中を見せてくるが、流石に俺は高校生だ。思春期真っ只中、この場面はさすがに緊張する、、、わけではなかった。


「おーけいおーけい」


手際よくクリームを敵両手に取り出し満遍なく手のひらに広げる。澪の首筋から足までしっかり塗る。それはもう作業のように


「はい、終わり!」


そうすると、澪が不満そうな顔で言った。


「じゃあ、前も!」


「んなっ!」


流石に平然としていた俺も驚いた。この謎の対抗心はなんなんだと不思議に思いつつ、抵抗できずに恐る恐るクリームを塗っていく。


「うぉぉぉー!」


ものすごい勢いと速さかつ、摩擦で火傷しないように設置面積は最小で隅から隅まで全身をくまなく塗る。


「はい!完璧!あっ、せっかくだし泳ぐかー」


俺はなぜかわからないが、大量の汗をかいていた。それがバレないように焦るように海に飛び込む。ひんやりとした海の感触が気持ちがいい。


「悠斗くん、、なにしてるの?」


「かっ、奏!?」


ぷかぷかと波に身を任せていると奏に話しかけられた。


「おねーちゃんどーしたの?」


奏の懐から出てきたのは、小学校低学年だと思われる可愛らしい少女だ。どことなく奏に顔が似ていると言うことは


「この子は?」


「ああ、渚 南美。私の妹。ほら、あいさつして」


そう言って奏が妹の顔を俺に向ける。


「はじめまして、なぎさみなみです!しょうがく3年生です!」


元気に挨拶と自己紹介をしてくれたので俺も返した。


「あーっ、にい、こんなまで流されてたんですかー」


ちょうど澪が追いついてきた。また変な空気になると思いきや、奏はハテナの表情を浮かべている。


「にい?悠斗くん、この子は?」


「えっと、田中 澪、俺の妹」


「えっ、えええっっっ!」


初めて見る奏の本気の驚いた顔に不覚にも笑ってしまいそうになった。横にいた南美はその顔を見てゲラゲラ笑っている。


「はじめまして、私は悠斗にいの妹の澪と言います。よろしくお願いします」


「こっ、こちらこそ」


澪の礼儀正しい挨拶に、取り乱した奏もしっかりと挨拶を返した。


その後このまま泳ぐ気にもなれなかった俺たちは花々あるカフェで一休みながら話をすることにした。


「まさか、悠斗くんにこんなに可愛い妹さんがいるなんて、私はてっきり、、」


「私は別に構わないんですけどね?」


「やめろ誤解を生む」


いつもの澪の冗談に奏はついていけず、頭がこんがらがっていそうだ。


「そっそれにしても澪ちゃんは、敬語使うんだね」


「はい、もちろんです。私は世界で誰よりも、にいのことを尊敬してますもの。」


「悠斗くんのこと大好きなんだね」


なんか親が自分の馴れ初めを聞いているような感じがしてとても居心地が悪かったので、頑張って顔を晒し、存在を消していた。


「それはもちろん、この命はにいにもらったと言っても過言じゃありませんもの」


「命?」


「いやっ、特に深い意味はないです」


俺の心臓もドクッと音がなり、少しだけ冷や汗が出た。少しだけあの時のことを思い出した。あの日から、澪は俺への接し方も変わり、俺のことを1番に思ってくれるようになった。


「それにしても、にいと奏さんはお付き合いしてるんですか?」


「ブフゥ!」


俺と奏は同時に、口に含んでいた麦茶を勢いよく吹き出してしまった。奏は口を拭き、咳き込みながら質問した。


「なっ、なんでそうなるの」


「だって、奏さんのにいを見るときの目が、恋する乙女そのものですもの」


それを聞いた奏は顔を赤くて恥ずかしそうにしていた。その横で麦茶が鼻の中に入り苦しくもがいている俺、高一2人同時にノックアウトさせたことにも気づかずに、オレンジジュースを飲んでいる澪、地面にある砂で無邪気に遊んでいる南美。側から見たら異様な集団であった。


ビーチのカフェはうるさい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ