夏休みはうるさくなりそう
クラスマッチの決勝戦は、ひかりや奏が完全に燃焼してしまったのと、相手チームの全員がバレー部か経験者だったこともあり、14-25と惨敗した。それでも、唯一のクラス内の表彰だったので、みんな満足そうにしていた。その後の打ち上げでは、さらに盛り上がりを見てたが、これはまた別のお話で。
いろいろなことがあったクラスマッチを無事終え、俺たちの高校一年生の一学期が幕を閉じようとしていた。
「やーっと夏休みだ!」
ひかりが嬉しそうに舞い上がっている。そのひかりをやれやれという表情で見ている翔。
「それにしても、翔は部活ないのか?」
一が疑問を問いかける。
「あー、たいていの日は部活あるけど、お盆休みとか、休みがないこっちゃないけど」
そういって翔は部活の計画表を見せた。その計画表にはだいたい毎日朝9時から夜7時までの部活時間が書かれていた。
「うっわ!ブラックすぎない?」
「お盆休みも入れて休み8日かよ」
そのハードさにひかりと一がつい声に出して驚いた。ここまでハードにならないと全国トップを争えないのだろう。
「まあ、いつものことだし」
翔も完全にブラック部活に慣れてしまったのか、ケラケラ笑っている。
「じゃあ、遊ぶなら翔がオフの日だな。いつにするか決めよう」
俺は先の予定は早めに決めて、その前日にバタバタしないようにしたい人間だ。たとえ数週間後の遊びでもしっかり用意をする。
「ひかり、そもそもなにするの?」
「うーんっと、、、」
ひかりはしばらく考えてハッと目を見開いて話し始めた。
「海とか山もいいね!それから、、、やっぱ夏といえば花火!」
「花火か」
いいなと思い賛成しようとしたが、ふと部活動計画表を見ると、打ち上げ花火のある日、8月21日は合宿が入っていた。
「ひかり、21日は翔合宿あるぞ」
「あーっほんとじゃん!」
花火を見たいという願いは叶いそうになく、4人全員で悩んでいた。その時、
「みんな、何悩んでるの?」
話しかけてきた声の主は奏だ。
「ああ、夏休みに打ち上げ花火見たいんだけど、翔の部活の合宿が被ってて、、、」
「このシチュどこかであったよな」
ひかりが奏の質問に答えるが、この会話のやり取りはクラスマッチ2日目の放課後と全く同じだったことにツッコんでしまった。
「翔ちゃんが休みの日に花火やるとかは?」
「ああ!」
全員の声が重なる。
「その発想はなかったな」
「うっかり花火大会だけに焦点がいってしまってた」
翔と一が、感心する。奏も嬉しそうにニコニコしている。しかし問題がもう一つ思い浮かんだので共有することにした。
「どこでするかだよな」
根本的な問題だ。今の世の中、花火をできる公園はなかなかないし、あるにしても手続きが少々めんどくさい。
「そうだよなー」
「うーん」
また考え込んでしまった。そのとき、奏が思いついたように話した。
「それじゃあ、私んちのプラビでやる?」
「プラビ??」
俺たちは口を揃えて声に出した。初めて聞いた単語、「プラビ」。生きていくなかで、知ることがあるのだろうか。
「私んちのプライベートビーチね。みんなプラビって言わない?」
「そもそもプライベートビーチなんてもってねーし」
お金持ち天然ボケにツッコまずにはいられなかった。
「でも、プライベートビーチ使っていいの?」
ひかりが奏に問いかける。
「私がもらったビーチだし、全然いいよー!毎年夏にそこで祭り開くんだー」
奏の口から出てくる話はすべて一般人じゃ理解できないものばかりだ。俺たちはそれを聞いて口を開けて聞いていることしかできない。
「、、、ってわけだから!そこで打ち上げ花火しよう!」
奏が話をやっと終わらせて本題に入った。
「やったー!決定!」
ひかりは嬉しそうにしている。翔も珍しく満面の笑みで嬉しそうに笑っていた。
夏休みはうるさくなりそうだった




