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青春は2人いるとうるさい!?  作者: 澄田 葵伊


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22/29

帰路の2人はしずかになった

その後、女子バレーは2回戦も難なく勝利し、2日目の決勝トーナメントに進出することができた。


登校後、いつも通り集まっては雑談をしている。今日は珍しく奏も混ざって5人だ。


「さあ、今日は勝負の日だ!」


朝早々にやる気があるひかり。


「今日全部勝てば表彰台確定だからね」


「私、翔ちゃんとひかりちゃんの足引っ張らないように頑張る」


そうはりきっている奏だが、どちらかというとひかりが足を引っ張らないか心配だ。昨日はできたが、調子に乗ってしまいそうで怖い。


「ひかり、大丈夫か?」


「悠斗は心配しすぎ、昨日寝ずにバレーの動画で動き見てきたから大丈夫!」


「徹夜は大丈夫じゃないだろ!」


ひかりはこういうところがあるから心配なのだ。


「強打をスパイスって言うんでしょ」


「ちがーう!スパイク!」


笑いながら見守っていた翔が急に反応した。やはり、バレー部からして名前を間違われることは許せないのだろう。他の技も間違えて翔に指摘されているひかりの横で、奏が楽しそうに笑っている。


「大丈夫か」


「ほんとにな」


そんな3人を見ながら俺と一の心にははさらに不安が広がっていた。



女子バレー1試合目


「がんばろ!」


「うん!」


翔の掛け声に反応してみんなで反応する。1日目と同じく、俺たちは2階の応援席で見守っている。翔や奏、ひかりの応援隊の声も聞こえてきた。


「ピーーッ!」


開始のブザーがなり、サーバーは翔で始まった。ネットスレスレのいいサーバが入った。相手はそのスピードで体制を崩した。それでもすかさず綺麗なトスを上げ、スパイクを打ち込んでくる。


「ひかり!」


翔が正面で綺麗なレシーブをし、ひかりに上げる。そのボールを焦らずトスをして、つなぐ。それに反応して飛んだのが奏だ。小さい体ながらも体のしなりを上手に使い、相手コートにボールを叩き込んだ。


「ナイス!」


「やったー」


チームのみんなでハイタッチをし、応援の俺たちやベンチのメンバーも得点を喜ぶ掛け声をしていた。そんな中、俺は奏と視線があった。


「いえい。」


その瞬間、ニコッと笑ってピースをしてきた。一瞬だったため、周りの男子は気づいていない。すぐ相手に目を向け試合モードに入ったが、俺は今の奏の行動が心に引っかかっていた。



12-11

試合も折り返し地点で、どちらも連続得点を許さず、シーソーゲームになっていた。10分にもわたる熱戦だったからか、ひかりや奏に疲れが見えていた。


「一本!」


翔の掛け声が体育館に響く。クラスの女子のサーブからラリーが開始し、どちらともくらいつき、長いラリーになった。相手のスパイクが奏に向かって飛んできたが、奏は上手くあげることができず、12-12の同点になってしまった。


「はぁ、はぁ、ごめん」


「大丈夫、気にしないで」


長いラリーからか、奏に疲れが見える。いくら運動神経が良いといえど、バレーでたくさん動く体力と弓道で集中するための体力とでは役割が全く違う。故に奏の体に限界が来ていた。


「審判、選手交代で。奏」


翔は即座に異変に気付き、交代させる。ベンチメンバーと入れ替わった奏だったが、その姿を見ると悔しそうにしていた。新しいメンバーが入り、安定感が復活した翔たちは、長いラリーの中、確実に一点をもぎ取っていった。相手も体力が限界に達していたため、後半は翔たち優勢で試合が進んだ。結果、12-11で折り返した点数は25-19と点差を6点も広げて勝利することができた。


「お疲れ様ー」


「よかったねー」


「いえーい」


帰ってきた女子バレーチームにさまざまな歓喜の声が上がる中、奏はあまり元気がないように見えた。


昼休憩に入るため、体育館から教室まで歩いて移動していた。隣にいた奏がまだ元気ではなかったので、話しかけてみることにした。


「奏、体調わるいのか?大丈夫?」


「ああ、悠斗くん、、、大丈夫だよ」


笑って大丈夫と答えてくれた。いつもと変わらない奏のにこやかな笑顔だ。俺の直感は少し無理をしているように感じる。


「無理に言わなくてもいい、でも、辛くなったらいつでも言えよ」


「なんであるってわかるの」


「うーんと、いつもより表情が堅かったからかな。いつもはもっと天使みたいに微笑むから」


その俺の言葉を聞いて奏がどんな顔をしたかはわからない。自分でも言ってて恥ずかしくなった。


「ごめんね、私、悠斗くんにすごいって言われたくて頑張ってたんだけど、、、交代して試合出れないから悔しくて」


「えっ」


流石の俺でもこの言葉の奥にある真意がわからないわけがなかった。少しだけ気まずさを感じ、シーンと静まり返った。


「なーに話してんのっ!?」


静寂を切り裂いて入ってきたのはひかりだ。


「いや、なにも」


「うん、べつに」


お互い今話したことは隠したほうがいいだろうと判断した回答。俺がこれを言って仕舞えば奏がみんなから揶揄われたりしてしまうだろうと考えた。


「ふーーん」


疑ったような顔で俺たちを交互に見るひかり。それに対して俺たちは変わらず何もないふりを続けるのだった。


静寂を切り裂くひかりはうるさい

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