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青春は2人いるとうるさい  作者: 澄田 葵伊


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2/4

自己紹介は2人いるとうるさい

入学してからの授業の進め方、教科書や資料の配布、各イベントの詳細、テストや評価についての説明が終わりひと段落ついた頃。


「それでは早速なのですが、席替えをします」


先生は机の中からくじを出した。


席替えーー。それは学生時代の一大イベントである。隣の席に好きな人来たら嬉しいなーなどということは考えてはいるものの、毎回隣になるのは仲のいい友達か、あまり話さない異性だったりする。そんな幸せを掴み取ることは、不可能に等しいのにわくわくしてしまう、それが席替えなのである!


「やったー!」


クラスのみんなが喜びに満ち溢れる。


「それじゃあ、くじ引いたら黒板に名前書いていけよー」


いちばん前の廊下側の席から順番にくじを引いていく、みんな主人公ポジと呼ばれる校庭側のいちばん後ろの席を確保したがるがなかなか当たらない。


「えー俺いちばん前かよー」

「やった!ーちゃんの横だ!」


みんな席替えのスリルを楽しんでいるが、俺は席替えに対して特に楽しみもスリルも感じないなぜなら


「やった!悠斗また隣だね!」


どんなに席替えをしようがなんでかひかりの隣になってしまうからだ。


「いやおかしいだろ!」


みんなくじを引き終わり席を移動したが、俺は本音が溢れてしまった。いわゆる主人公ポジに一、その横に翔、一の前に俺、翔の前にひかり。なんと、4人が固まってしまった。


「また固まったね。何回目だ?」


流石に翔が口を開いた。


「数えたところで無駄だよ。席替えするたび配置が変わるだけで人は変わらない呪いかかってるんだし」


一の指摘どうりである。全員見慣れた顔だ。


(あくまでこれはメタ的な要素である。そうでないと物語が始まらないからでもある。)


「さて、席替えもしたところで自己紹介といきますかね」


高校初めのイベントといえばこれである。自己紹介で高校生活が決まると言っても過言ではない。ここで失敗することは許されないのだ。


「それじゃあ、くじで当たった人が自己紹介しよう。じゃあまずはーーー、ーーさん。お願いします」


「初めまして、名前はーー。」


といった感じで自己紹介が始まった。他の人のを聞きながら何にしようか考えていたところ


「ねえねえ悠斗、自己紹介って何言ったらいいんだろ」


「普通に名前と自己紹介でいいだろ」


「趣味かーー、昼寝ってアウト?」


「正直すぎるだろ」


ひかりはよく寝る。中学の時もしょっちゅう居眠りで怒られたし、寝過ごして遅刻することもあったくらいだ


「じゃあ睡眠研究とか?」


「なんだそりゃ」


「次、佐藤ひかりさん」


そんな話をしていたら趣味が決まる前に名前が呼ばれてしまった。


「は、はい!佐藤ひかりです。趣味はえっと、、、、、、人間観察?」


少し考えて出した結論がそれだとは。さすがにクラスのみんなもざわついた。


「おい流石にそれは変人認定されるぞ」


「今更言わないでよー」


小声でなんとか助言に入るが、ここで止まらないのが佐藤ひかりという人間である。


「特に緊張してる人を見るのが好きです!」


「だめだこりゃ」


さすがの俺もフォローの下手さに頭を抱えてしまった。後ろの2人は笑いをこらえるので精一杯だった。


「えーじゃあ、、、次、田中悠斗くん」


「あ、はい。えっと田中悠斗です。趣味はーー」


俺も特に趣味を考えていなかった。不意打ちすぎて思考が遅くなる。


「正直にいいなよー」


横からひかりがちょっかいをかけてくる。


「お前がうるさくなくなるなら言うよ」


「それはむりー」


「じゃあ黙れ」


クラス中にかすかな笑いが溢れる。こいつのせいで余計に目立ってしまった。


「えっと趣味は、静かな場所で過ごすことです」


「えっ、嘘じゃん」


せっかく人がいい感じに導き出した結論を、簡単に破壊してくるこの生命体は恐ろしい。


「今この瞬間を除けばな」


微かな笑いどころではなく、クラスのみんなが笑い始めた。


「お前ら、もうコンビじゃねーか」


一がさすがにツッコミを入れた。この流れを中学から経験してきた一だから言える一言だったが、ひかりはこれが気に食わなかったみたいだ。


「誰と誰が!?」


「うるさい!」


さすがのひかりの声の大きさには俺も反射的に反応せざるを得なかった。そのあと自己紹介は着々と進んでいくが、俺たちに対するであろうかすかな笑い声は、いっときは止むことはなかった。


俺たちがいれば入学初日の自己紹介もうるさい

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