クラスマッチはうるさい 1
今日、7月18日は全校生徒が待ちに待ったクラスマッチの日である。
「それじゃあ、みんな優勝するぞ!」
「おー!」
クラスのみんなで円陣を組んで士気を高める。その声かけをしているのが学級委員長である国見健吾だ。発言力があり、みんなをまとめるのが上手く、人望も厚い、とても信頼される人間だ。
「これより、クラスマッチの開催します」
チャイムと共に放送が聞こえた。これから2日間にわたり、波乱の勝負が巻き起こるクラスマッチの火蓋が切られた。
男子サッカー
ルールは普通のサッカーと同じ、11人で1チーム。選手交代は自由。ファウルは審判の先生の裁量で取られ、前半後半合わせて30分、間のインターバル5分。
『一回戦 1年1、2組 VS 2年2組』
最初のスタメンに俺と一は入った。その他、健吾やマードレーがいる。
「みんながんばれー!」
グラウンドの端のベンチでひかり含め、各クラスの生徒が応援している。応援ができるように時間がうまく調整されていた。
「みんな、初戦だ。落ち着いて勝とう!」
このチームのキャプテンになったのが健吾だ。サッカー部の推薦枠でもある健吾はキャプテンに向いているだろう。
「フォワードは俺と、悠斗と将の3人だ。悠斗、無理そうだったら俺たちに出してくれて構わないからな。」
「おう」
「将も頼んだ」
「まかせろよ!」
明智将、2組のサッカー部であり、健吾と同じく推薦枠だ。
「ままなくキックオフです。ポジションについてください。」
審判からの指示があった。各クラスの男女共の応援が響く。ポジションについて選手みんなが深呼吸をする。
「ピッ!」
開始のホイッスルがなった、キックオフだ。最初のボールは2年だった。
「いくぞ!」
勢いよくドリブルして抜けてきたのはサッカー部の増田だ。1人が守りにつき、ボールを取ろうと試みるが、綺麗なフェイントとスピードに圧倒され簡単に抜かれてしまう。
「ごめん、」
「大丈夫!」
右サイドにいた健吾がボールを取りに入った。さすがサッカー部。後輩といえどなかなか抜かせない。
「やるな、健吾」
「増田先輩こそ」
「一年でそれはすごいけど、、、」
増田が健吾の隙間からパスをした。健吾が増田に入ったことでできた穴、右サイドだ。
「ナイッス!」
そこでパスを受けたのがサッカー部の秋田だ。秋田はスピード系であり、通常の試合でも右サイドポジションで多くの点をアシストしてきた。
「行かせませんよ」
そんな秋田の前に立ったのは将だ。サッカー部にはサッカー部をぶつかるという健吾の作戦だ。
「俺を、止められるか!」
足を地面に強く踏み込み、ものすごい加速をする秋田。そのドリブルを真正面で止めようとする将。将の目の前に来たとき、そのスピードを維持したまま、将の股を抜き、トップスピードを維持したまま走る。
「くっ」
ボールを持っているとはいえ、最速の右サイドには将でも追いつけない。そのまま駆け抜け、ラインギリギリからゴールに向かって大きくパスをする。将は秋田の後ろ、健吾はまだ前線に戻れていない。そんな中ボールの下に合わせるように入る人が1人。3人目のサッカー部、如月。
「最高だぜ」
「キーパー!ごめん!」
健吾がキーパーに任せると言い、キーパーは構えた。誰もが身構えた途端、トラップせずに、そのままシュートモーションに入る。ボールが足に吸い付き、すごい音と共にゴールに向かう。そのボールは1ミリのズレもなく、綺麗に右角に入った。キーパーは反応することすらできなかった。
「よっしゃあ!」
「ナイスー!」
「ピッ」というホイッスルと共に得点板が捲られる。
「ごめん俺が抜かれたせいだ」
「いや、あれはしょうがないよ」
「強敵だな、健吾、将、どうするんだ」
このままいけば同じように攻められて、手も足も出ず負けてしまうだろう。ここで俺たちが意見を出しても意味がない。サッカー部の2人の意見を聞こうと考えた。
「次はこっちの攻撃だ。みんなでパスを丁寧に回しながら攻撃していこう」
健吾の作戦にはみんなが賛成した。センターラインにボールを置き、健吾から将へのパスで始まった。
「悠斗!」
将からボールが飛んできた。なんとかトラップをして、ドリブルを始める、作戦通り、前に人が来たら近くの味方にパスをする。これを繋げて時間がかかったがゴール前まで持ってくることができた。
「こっちだ、悠斗!」
「任せたぞ健吾!」
ゴール前で空いているところにパスを出す。そこに飛び出すように現れた健吾。完全に出し抜き、届く範囲には誰もいなかった。ワンバウンドさせ、力強い蹴りと共にボールはゴールネットを揺らした。
「よっしゃー!」
「ないす!健吾ーー!悠斗のパスもナイスだった!」
「ああ、悠斗のおかげだな」
みんなが集まっておれと看護を褒める。
「悠斗ーー!ナイスパスー!健吾くんもナイスゴール!」
応援席からひかりの大きな声が聞こえてくる。俺の名前が呼ばれたことがとても恥ずかしかった。ちょうど15分経ったので、5分間のインターバルが挟まる。
「悠斗いいねー。あんなに動けるとは思わなかったよ」
「そんなことないよ。健吾のゴールも凄かったし。さあ、次の作戦を教えてくれ」
あんまり騒がれるのははずかしいのと、次の攻撃をどうするのかという考えがあった。
「守備は前話した通り、各番号のマークについてくれ。攻撃はさっきと同じパターンでいく。絶対勝つぞ!!」
「おう!!」
円陣を組んで、掛け声をだす。笛の音と共にグラウンドの自分のポジションに戻る。息を整え、ホイッスルの音が鳴る。
その後、健吾の守備の作戦はドンピシャハマり、先ほど圧倒的された攻撃もかろうじで守ることができた。残り3分でボールは俺たちの手に渡った。
「いくぞ!」
「ラストアタックだ!」
健吾と将の掛け声と共に全員が相手ゴールに向かって走り始めた。
「くっ、、、一!」
健吾がボールを持つが、秋田に守られる。近くにいた一にパスをするが、足元がジタバタして上手くドリブルできない。応援席からも一を応援する声が聞こえる。
「一!こっちだ!!」
「っ、悠斗!!」
一は上を向き、俺に向かってボールを蹴った。前には3人。サッカー部はいない。最後のチャンスだ。
「悠斗ー!いっけー!」
応援席からひかりの声援が聞こえた。ボールをトラップし、ゴールの方へドリブルする。
「さあ、ぶちかましてやる」
スピードで1人目、ドリブルから急停止で裏をつき2人目、股を抜いて3人目。最後はゴールキーパーとの1体1。応援席のボルテージが上がる。
「いけーーーー!!」
そのひかりの声と共にボールを強く蹴る。ゴールキーパーの手をかわし、ゴールネットを揺らす。それと同時に終了のホイッスルが鳴った。その時の俺の表情は、今年一番の笑顔だったのだろう。
サッカーは盛り上がるとうるさい




