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体育会系教師はうるさい

最後の終礼が終わり、いつも通りの放課後が始まる。職員室にいる先生に用事があるので、終わってすぐ教室を後にした。前の角を曲がってまっすぐ進んだ先にあるのが職員室だ。生徒の通りも少なくなり、空気が少しずつ重くなる。


「お!田中少年じゃないか!どーしたんだね」


職員室まであと少しというところで話しかけられた。声の主は女子の体育教師である長谷部梨花だった。


「あ、職員室に用事があって」


彼女は男女共に人気があるとても良い先生なのだが、俺はこういう系は苦手なのである。元気なのはひかりだけで十分だからだ。


「そうかそうか!なら、私の後ろに隠れていけばよいな!」


「じゃあそうさせていただき、、、って、??????」


何を言っているのかがよくわからなかった。職員室に行くのに、先生の後ろに隠れて入るという考えなのだろうか。どちらにせよ頭の中がハテナで埋まったことは確かだ。


「呪文言うのいやだろ?だから私の後ろに隠れるんだ!」


職員室に入るときに、自分の学年、学科、組、名前、誰に、何の用事で来たのかを入り口で言ってから入らなければならないルールがある。生徒の間でこれは呪文と言われている。おそらく、長谷部はこれを生徒が言うのをめんどくさがっていることを知っており、自分の後ろに隠れればこれを言わなくて済むと思っているのだろう。


「そんなことしても、すぐバレるし、長谷部先生が他の先生に怒られますよ」


「ああ、それもそうか!」


そんなことしたらどうなるかなんて考えていなかったのか、と呆れてしまった。大きな声で「あはは」と笑っている長谷部を見て、やはり苦手だと思ってしまった。


「じゃあ、行くか!」


「ええ、話聞いてましたか」


さっき話したことをちゃんと考えているのかどうかわからないが、俺は手を引っ張られて、職員室に強制的に連れていかれた。


「それで、誰に用事があるんだ?」


「えっと、担任の水谷先生に」


放課後、職員室に来いと呼ばれていたのは俺たちの担任である水谷先生だ。要件は何かわからない。水谷先生に用があることを言うと、職員室のドアを開き水谷先生を呼んでくれるのかと思いきや


「水谷!お前のとこの生徒が用があるそうだ!説教は程々にしろよ!」


と職員室に大きく響く声で水谷先生を呼んだ。この人は何をしてくれたんだという動揺と共に、職員室中の注目が俺に集まることに対してすごく恥ずかしかった。


「わ、わるいな、長谷部先生にはあとから言っておく」


「いえ、、、ありがとうございます」


水谷の机まで歩いた俺に謝ってくれた。そんなことはないという仕草をしたが、本音はほっとしていた。


「俺に用事ってなんでしたか?」


長谷部のせいで本来の目的を忘れてしまっていたが、なんとか思い出すことができた。


「ああ、そうだったな、お前部活動に興味ないか?」


何かやらかして説教なのかと思ったら、部活動への勧誘だった。


「実はいくつかの部活から勧誘が来てるんだぞ」


「なんで急に」


「体力測定の結果を見たんだろうな」


納得した。今回の体力測定はちょっと本気でやりすぎたと反省せざるを得なかった。


「バド部、男子バレー、レスリング、陸上、駅伝、バスケ、その他いくつかの部活から勧誘来てるがどうするか?」


「いえ、やりません」


部活動に入る気は全くないので、そういうのは興味がなかった。おそらく推薦権がある部活動からの勧誘はものすごく価値のあるものだろう。しかし、運動部がめんどくさいという固定概念があるせいか、即答で断ってしまった。


「ええ、お前、推薦権ある部活からの勧誘とかすごいことだぞ」


「そうなんですけど、、、部活はちょっと、しかも運動部となると、、、」


と断ろうとしていたところ、後ろのドアがガラガラと音を立てて開いた。そこに立っていたのは、とても美しい顔立ちの女子だった。


「2年、普通科、愛澤姫華です。顧問の楠木先生に用があります。」


そう言って、1番奥にいる楠木先生の元に行った。すれ違う際、一度目があったが、これが初対面じゃない気がした。


「まあ、今度から勧誘来たら断っておいてもらえますか」


勧誘を受けたければ自分からまた言えばいいので、勧誘はいっときパスでいいだろうと思った。先生に一言挨拶をしてから職員室を後にした。



「おーいっ!」


教室に帰る途中、後ろから背中をトンと叩かれた。誰かと思ったら先ほど職員室に来た愛澤姫華だった。


「君、翔ちゃんのお友達だったんだね」


「あ、あのどこかで会いましたか?」


俺はさっきが初対面だと思ったのだが、どうやら話しかけ方からするにそうではないらしい。


「入学式の帰りの階段で見かけたんだよねー。覚えてない?」


「入学式、、、ああ!あの人か」


思い出した。一度階段で会ったいるが、特にもう会うことはないだろうと思い忘れていた。


「私、愛澤姫華。バレー部の翔の先輩」


「お、俺は田中悠斗です。よろしくお願いします」


「なるほどね、部活から大量の勧誘ねー。君すごい優秀なんだね」


顔を近づけてきたので、少し顔を赤くしながら後退した。距離感が近い人なのだろうか。


「俺もう行かないとなので、」


澪が、放課後買い物に行こうと誘ってくれて、予定があるので早く帰らないといけなかった。


「引き止めてごめんね、じゃあねー」


そう言って教室に帰って行った。俺も準備をして急いで学校を出なければならない。




悠斗と別れ、教室に向かっている姫華。


「田中悠斗くんかー、ふふっ、また近いうちに会おうね」


不気味な笑みを浮かべながら、階段を降りていった。



職員室は元気な人がいるとうるさい

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